何度でも産みたい! 初産でもかなえられた、痛みも恐怖もない出産
3人の子どもを育てるママ在宅ライターの“あしださき”です。初めての妊娠は25歳の時でした。結婚式から約4ヶ月後、生理が遅れている自覚がある中、いつもの生理とは様子が違う出血がありました。「絶対赤ちゃんだ!」という予感は的中。うれしくて叫びたいほどの幸福感を感じた妊娠発覚でした。
「仕事か、妊娠中の穏やかな生活か?」では迷わない
当時私はモデル事務所に所属し、ブライダルショーのオーディションに受かったばかりという、大きなチャンスに恵まれた時期でした。大好きな仕事、苦節何年かで得たショー出演。しかし迷うことはありませんでした。
事務所には迷惑をかけましたが、妊娠を機にお仕事の予定は全て白紙にさせていただきました。存在を知った瞬間、何者にも代え難くなる。それがおなかの赤ちゃんとの出会いでした。
「情報を制する者、出産を制する」を実感!
私の祖母は元助産師で、その道のプロです。頼もしい祖母の存在が、里帰り出産に対する決意を後押ししてくれました。私の妊娠を知ると、祖母は驚異のスピードで情報収集を開始。実は私の地元は、全国でも有数の「分娩激戦区」だったのです。
そして私が妊娠8週位のタイミングで、里帰り出産に対応可能な産婦人科を見つけて電話で打診をしてくれるという早業でした。ぼーっとしていたら、里帰りしたくても出産できる病院がない、または実家から遠いところになってしまうところでした。
祖母のファインプレーが決め手となり、初めてのお産は地元でするということが決まりました。
出産の兆候に期待高まる。お産への恐怖はどこへ?
順調に臨月を迎えて里帰りし、妊娠39週目前まできても、全く怖さはありませんでした。入院そのものが初めてで、逆に遠足の前のような高揚感を楽しむ余裕があったほどです。
「これから死ぬほど痛い思いをする」などと考えなかったのは、通っていたマタニティヨガのおかげかもしれません。教室で指導者がしきりに「力の抜きかた」を教えてくれました。全身から力を抜いて、体の声を聞けば痛みを遠くに感じる。そのトレーニングが瞑想だと聞き、よく自宅でも実践していました。ですから「痛くならないはずだ」と。
出産の予兆は、妊娠38週頃からありました。それは恐らく「前駆陣痛」というものだと思います。夜中になるとおなかが不規則に張るようになって、それがある程度の間隔で長く継続するのです。「これは陣痛?」と思うも、気付けば朝に…。これが出産の前日までの1週間継続しました。
出産の当日。午前2時から始まったおなかの張りは、はじめ10分間隔で少し痛みがありました。破水していなかったので心を静めるためにお風呂に入りました。陣痛はそのあと、7分、5分と短くなり病院に向かうことになりました。
自宅にいる間の陣痛は、「張り」を1レベル強くした程度のものでした。数回に1回「おや?」と違和感のある痛みがありましたが、うずくまるでも、声を出すでもなく、淡々とやり過ごしながら入院の準備ができました。
微弱陣痛からの陣痛促進剤点滴でも、最高に安産!
お風呂効果か、病院では大変リラックスしていました。「リラックスが、恐怖感と痛みを遠ざける」とヨガで教わり、意識していたのもあります。そんな中、医師が子宮口の様子を見ると、すでに8センチ開いており、驚かれてしまいました。
入院後“あまり痛くない”陣痛にヨガポーズで対処すること3時間。夫も到着して、立ち合う準備も万端です。何度目かの内診の後、医師から「微弱陣痛」であることが説明されました。また、赤ちゃんは見えるところまで降りているから、お産を進めるため破水させて、陣痛促進剤を使う提案がありました。
分娩室で点滴を始めると、ハイキング級だった陣痛が富士登山級に。しかし「まだ、こんなもんじゃない」という思い込みがあり、それほど苦しんではいませんでした。最後まで痛みに飲み込まれることは全くなく、40分後には元気な女の子が誕生しました。
「1度で十分。もう懲り懲り」ではなく、私の出産の感想は「これなら何度でも産んでみたい!」でした。妊娠期間中、初めて超音波画像で心拍の音を聞き、拍動を見たこと。あまりの激しい胎動に笑ったこと。数え切れない神秘を見せてもらって、ようやく対面できるのが本当に楽しみでした。陣痛は強ければ強いほど、赤ちゃんが出て来やすいと考え、痛みの時も赤ちゃんを応援する気持ちでいました。初めて顔を見た娘にかけた言葉は「やったね!」なのですが、涙は一滴もなしです。チームスポーツで勝利したような、すがすがしい出産でした。
[あしださき * プロフィール]
高校の担任からも「楽観的な性格」と評され、とにかく楽観思考の3児の母です。物事はあまり複雑に考えず、元気なわが子に会えればそれが安産だと思うタチ。主にママ業、時々在宅ライターを兼務中。
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