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<春季高校野球静岡県大会>磐田南、32年ぶり春4強!公立進学校に現れた本格派右腕、山田が11回16奪三振の快投 「磐田から初の甲子園へ」

アットエス

春季高校野球静岡県大会は27日、草薙、愛鷹の両球場で準々決勝が行われた。公立進学校の磐田南が、春夏通算17度甲子園出場の伝統校・浜松商に延長11回タイブレークの末、5―3で競り勝ち、32年ぶりの4強入りを果たした。

エース右腕、山田堅正投手が11回154球を投げきり、5安打1四球16奪三振の快投。この日、有効だったスライダーで最後の打者を三振に仕留めると、派手なガッツポーズで喜びを表現した。「うれしい気持ちでいっぱいで、気持ちが(ガッツポーズに)入っちゃいました」
 

145キロ、最速更新にも力まず

11回16奪三振の快投を見せた磐田南のエース山田堅正

「全体的にバランス良く投げられた」と振り返る山田投手は、直球とスライダー、カーブをテンポ良く投げ分け、九回までわずか2安打しか許さなかった。二回は三者連続三振。自己最速を3キロ更新する145キロが出た。

「ここ(草薙球場は球速が)出やすいんですよね?(球速を気にすると)調子に乗っちゃうんで」と冷静を装いつつ、「球が走った感覚があった」と電光掲示板で数字を確認し、「ちょっとうれしかった」と笑う。ただ、この球速表示に力むことなく、その後はむしろ130キロ前後のスライダーを多投した。「相手のバッターを見ながら、真っすぐでいくか、かわすかを決めました」
 

七回2死まで無安打投球

七回2死まで無安打投球だったが「全く気にしていなかった。チームが勝てればいいと思っていたので」。9回完投の経験はあったが、タイブレークに入った延長十回以降は〝未知の世界〟。十一回には両脚がけいれんを起こしかけたが、最後まで投げ抜いた。

母校を率いる磯部祐監督(48)は「相手より先にマウンドを降りるのが嫌だったんでしょう。我慢強く、最後までよく投げたと思う」とエースの成長を感じ取った。
 

苦い敗戦から学んだこと

昨秋まではポテンシャルを生かせずにいた。

昨夏の静岡大会は3回戦で飛龍にコールド負け。下級生ながら4番、中堅手で先発出場していた山田選手は六回に救援登板したが踏ん張れず、コールド敗戦が決まった。昨秋も県大会予選1回戦敗退。指揮官は「5、6回でへばってしまった。チームに迷惑を掛けた、自分で負けたという期する思いがあったのでは」と話す。

本人は「冬に走り込みをしたり、ウエートをしたり、フォーム改善したりした。筋肥大系から瞬発系まで、トレーナーが組んでくれたメニューに取り組んだ」と明かす。

秋の最速は138キロ。高校生なら球速を追求したくなるところだが、速球だけでは勝てないことは苦い敗戦から学んでいた。秋に実現した慶応(神奈川)との練習試合でも「2巡目からついてこられた」。監督と話し合い、打者との駆け引き、投球術に目を向けるようになった。
 

〝山田のチーム〟とは言わせない

延長11回に勝ち越し打を放った磐田南・斎藤隆太

エースで4番の山田投手の存在は大きいが、決してワンマンチームではない。山田投手も「自分の結果より、チームが勝てればそれがベスト」と繰り返す。投球テンポも「チームに勢いが付くように」と意識している。

鈴木太一朗捕手は〝山田のチーム〟とは言わせない気概を言葉ににじませる。「山田に引っ張られるんじゃなくて、俺たちが引っ張っていくぞという感じ。自分たちは打撃のチームだと思っている」ときっぱり。

今春、静岡の高校野球界に最初にインパクトを与えたのは県大会予選1回戦、2023年夏の甲子園に出場した浜松開誠館にコールド勝ちした試合だった。さらに、県大会3試合でわずか1失策と守備も強固で、競り合いになっても動じない。「集中力とやり切る力が自分たちの持ち味」と鈴木捕手は言う。
 

強豪校と互角の勝負で得た自信

延長11回に適時三塁打で追加点を挙げた鈴木天真

昨秋から慶応のほか近江(滋賀)、花巻東(岩手)といった甲子園常連校と練習試合を組む機会があり、敗れはするものの互角に渡り合うことが多くなった。

磯部監督は「速いだけでコントロールが甘いピッチャーに対してはしっかりスイングできるという自信を持って堂々と対抗している。守備もうまくはないけれど、必死になって守るんです。山田自身、守ってもらっている、助けてもらっているという感覚があると思う」とうなずく。

さらに「特別な練習をしているわけじゃない。勉強も大変な中、ほかに選択肢がありながら野球を選んだ子たちなので意識は高い。最初は失敗だらけでボロボロでしたが、賢いので、それまでの失敗を覚えていて、同じ失敗をしないんですよ」と進学校の強みを強調する。

32年ぶりの4強は勢いだけではない。

山田投手は「磐田から初めての甲子園を狙いたくて磐南(バンナン)に入った。甲子園に出たい」と、地元の期待と応援を背に歴史を塗り替えていく。

(編集局ニュースセンター・結城啓子)

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