宮前区地域デザイン会議 アートの力 街づくりに 芸術関係者ら意見交換
宮前区の課題解決を目指す「地域デザイン会議」が5月26日、区役所で開催された。「アートでつながる宮前区」をテーマに、区内在住のイラストレーターやデザイナーら有識者10人が参加し、アートを通じた街づくりについて意見交換を行った。
同会議は、区民の行政参加の機会を広げ、多様な意見を政策に反映することが目的。宮前区が主催し、昨年度から本格的に実施している。今年度は今回が初めて。
総務省統計局の調査によると、宮前区は政令指定都市の行政区の中でも「文筆家・芸術家・芸能家の数」が上位にランクされており、アーティストとして活動する区民が多い一方で、作品を展示する場が少ないことが課題となっている。こうした中、昨年、区民が主体となり駅前のシェアオフィスで開催したアート展やマルシェが多くの来場者で賑わいを見せたことから、その可能性に期待が寄せられ、今回のテーマ設定に至った。
会議では、参加者からアートの魅力や可能性について多くの意見が出された。アート専門の障害者通所施設を運営する大高玲さんは、障害のある人とない人が共に参加する展覧会の活動に触れ、「区別のない社会を実現する上で、アートは非常に魅力的」と発言。アーティストのKeppyこと武藤慧子さんは、落書きされたシャッターを子どもたちの絵で塗り替えた取り組みを例に挙げ、「大変好評で、アートには街を元気にする力がある」と語った。
また、アートと連携可能な分野として、「空き地活用」「防災」「子ども食堂」「高齢者施設」「食育」など、参加者から多岐にわたるアイデアが提案され、その可能性の大きさが示された。
会議に出席した齋藤正孝区長は、「有意義な意見が多く、議論をさらに深めたい」と強調。今夏予定している区役所でのアートイベントについて「区役所での展示をきっかけに、区内でアートがより身近なものとなり、新たなコミュニティーが広がっていくことを期待している」と述べた。