標高1900メートルで活躍する「天文台の猫」は、職員の心を癒しネズミも捕る働き者 米国
標高1900メートルで暮らす猫
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米国にある「ワシントン山天文台」では、1932年からずっと猫を代々飼い続けています。海抜約6228 フィート(約1900メートル)という、米国北東部でもっとも標高の高い山頂にあって、ときどき建物に侵入してくるネズミを退治してくれる猫は貴重な存在なのです。
メインクーンのMartyは、その中でもとくに有名でした。2008年1月からこの天文台で12年間勤務し、SNSには写真入りでたびたび登場しました。2015年に出版された本「Cats on the Job: 50 Fabulous Felines who Purr, Mouse, and Even Sing For Their Supper(原題)」の中でも大きく紹介され、ネット上のファンも多かったのです。
「若いころはバケツなどに入って水をはね散らかし、自分の足でできる水面の波紋を見るのが大好きでした。本当に猫らしい猫で、ご機嫌で甘えていると思うと、突然人間を無視して知らん顔をするのです」と話すのは、この天文台で働く気象学者Ryan Knappさんです。
優秀なネズミハンター
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「天気予報を書いていると、私の足に体をこすりつけてきます。膝の上に跳び乗るのも好きです。だから猫を膝に乗せたままキーボードを打たなければなりませんでした。たまにそのキーボードのすぐ前で眠りこむこともありましたね」
Martyは施設内を自由に歩き回ることができました。6日間の交代勤務をするスタッフの宿舎でも気象観測所でも、好きな場所に入り込みそのまま眠ったりしていたのです。
ワシントン山は複数の嵐の通り道として有名で、長年、国内最高風速記録を出し続けています。にもかかわらずMartyは野外で過ごすのが好きで、凍てつく冬の日でも毛を凍り付かせながら外にたたずんでいました。
「ネズミ捕りのハンターとしては優秀で、夜間によく活動していました。遠く離れた湖や別の山まで遠征することもありましたね。でも遠くに出かけて疲れすぎてしまうこともあって、ときどき人間が迎えに行ってバックパックに入れたり腕に抱いて天文台まで連れ帰りました。Martyは本当にアウトドア派の猫です」とRyanさん。
伝統はこれからも続く
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残念ながらMartyは2020年11月9日に突然亡くなってしまいました。おそらく14歳か15歳だったということです。その翌年には引退することになっていました。
「前の週はいつも通り元気そうだったので、信じられませんでした」と話すRyanさん。
Marty死去のニュースは、当時さまざまなメディアで報道され、逝去を悼むコメントが数多く寄せられました。この猫は、これまで天文台で働いていた数々の猫たちとともに、天国で楽しく遊んでいることでしょう。
その後2021年になって、天文台にはNimbusという新しい猫がやってきました。この子は「Conway Humane Society」で保護されていた猫で、Martyの後任を立派に勤めています。
運営管理責任者のRebecca Scholandさんは「天文台の猫は、この施設の一部といってもいい存在です。職員が1週間のシフト勤務中に自宅にいるようにくつろげるのは、猫のおかげなのです」と語ってくれました。
出典:
・Cat of the Clouds
・Meet Nimbus, The New Summit Cat At The Mount Washington Observatory