【キス】数釣りを楽しもう! 夏の風物詩、船からねらう「キス釣り」
日頃、堤防そのほかのオカッパリをメインに釣りをするなかで、「沖に出ればもっと大物が…、もっとたくさん釣れるのになぁ」なんて思ったことはありませんか? 釣り人として「もっと釣りたい」欲が生まれるのは必然です。とはいえ、船に乗るには道具や釣り方、そもそも船の乗り方さえも分からず、少々ハードルが高いのも事実。そんなモヤモヤを抱えつつ次のステップアップを夢見るアングラーに向けて、経験豊富なHEATライター陣が優しく指南してくれる当「船釣りのはじめ方」企画。
第3回目の今回は、HAZEKINGさんが夏の風物詩として名高い、人気のターゲット「キス釣り」について解説してくれます。
その最大の魅力は数釣り! 初心者の方でも釣果30尾は夢じゃありません。エサの準備から釣り方まで、実釣の様子を交えながら丁寧に解説。そして、キスの王道レシピ「天ぷら」のために、さばき方も紹介してくれていますよ。
キス釣りとはどんな釣りか?
コツコツとした小さなアタリと、体格に見合わないパワフルな引きがたまらない「キス釣り」。釣りのシーズンは5月から10月がメインの釣りモノです。
夏の産卵に向けて群れが次第に大きくなり、7月ごろにベストシーズンを迎えます。この時期になると運がよければ「入れ食い状態」の数釣りを楽しむことができます。一方、冬は釣れる数が少ないのですが、深場で大型個体「落ちギス」をねらうことができます。夏と比較するとやや難易度が高いので、少し経験を積んでから挑んだほうがいいかもしれません。
夏は暑いので熱中症対策が必須
仕掛は船にもよりますが「テンビン仕掛」か「胴突仕掛」を使用します。一般的にはキャストして広く探れるテンビン仕掛が主流です。道糸に片テンビン、ハリス、ハリの順で構成された仕掛です。
仕掛図
キスの食性は肉食で、おもなエサはゴカイなどの多毛類。水深10mから30mほどの砂地に生息しており、細長い形状の口で地中のエサを吸い込んで捕食します。そのため竿先に伝わるアタリは繊細。ラインが震える程度のアタリを感知することができれば達人の領域です。
エサの使い方としては時期によってキスのサイズが異なるので、20cm程度ならアオイソメ、10cm程度ならイシゴカイといった具合で使い分けるといいでしょう。
体のわりに口はとても小さい
キス自体の身は白身でクセのない美味しい魚です。天ぷら、刺身、煮付け、塩焼きなどいろんな料理で味わうことができます。ちなみに私はキスの天ぷらを食べると「夏が始まった」と感じます。
キス釣りの準備
船を事前に予約する
釣行の日程が決まったら、まずは遊漁船を予約しましょう。WEBサイトもしくは電話で魚種と希望の日程、それと、タックルなどをレンタルする場合は必要な用品を伝えましょう。自分1人や少人数で行く場合は乗合い、大勢で行く場合は貸し切りにするとコスパよく楽しむことができるので、あらかじめ同行者と相談しておくといいでしょう。
釣り仲間と行く釣行はとても楽しいですよキス釣りのタックル
最近は船の装備が充実しており、船によっては全てレンタルすることも可能です。もしマイセットをそろえる場合は、以下の内容を参考にしてみてください。
●ロッド
広く探る場合、キャストするので取り扱いのかんたんなスピニング用ロッドがおすすめです。また、船キス専用のロッドが一番使いやすいのですが、持っていない場合でも汎用性の高い船用のライトゲームロッドで代用することができます。
オモリは10号~20号なので適合する規格のものを選びましょう。
スピニングロッド
船用のライトゲームロッド
●リール
キス釣りはキャストをするので、ロッド同様、操作がかんたんなスピニングリールがおすすめです。距離としては5mほど投げることができれば十分なので、軽くて扱いやすい2000番~3000番がおすすめですよ。
ベイトロッドを使用する場合は船用の両軸リールが適しています。水深が最深部で30m程度なので、PEライン1号を200m巻ける容量が目安となります。
スピニングリール2500番
カウンター付き両軸リール
●仕掛
仕掛はキス専用のテンビン仕掛を用意します。すべて組まれたお手軽セットがあると、かんたんに準備できるのでおすすめですよ。また、船によってオモリのサイズを指定している場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
かんたん船キスセット 天秤式 2本鈎(ハヤブサ)など、最初からすべて組まれた仕掛を使えばかんたんで安心!
キス釣りの釣り場は砂地であることが多く根掛かりのリスクが低いので、仕掛の予備は5枚もあれば十分です。ただし、フグが多いポイントではハリスを頻繁に切られてしまうこともあります。少し多め(10枚程度)に持っておくと安心です。
また、魚のサイズに合わせてハリの号数を使い分けると、上手くフッキングできる確率が上がり釣果が伸びます。3サイズ程度のハリ号数に分けて仕掛を用意しておくのも手です。
船キス用の仕掛として、ハヤブサの「船キス仕掛 競技用キス赤 2本鈎2本セット」「船キス仕掛 早掛キス赤金 2本鈎2セット」「船キス 東京湾専用2本鈎2セット」などが、個人的におすすめ!
キス釣りのエサ付けから釣り上げるまで
それではいよいよ本番。キスの釣り方について解説します。
仕掛にエサをセットする
まずは道糸に仕掛をセットします。ハヤブサの「かんたん船キスセット 天秤式 2本鈎」は道糸とオモリを結ぶだけで準備が完了するのですごく便利ですよ。
次にエサとなるイソメの頭にハリを通します。アオイソメを使用する場合は少し大きいので3cm程度にカットしておきましょう。
初心者はアンダーキャストがおすすめ
上手く誘ってキスを掛けるコツは?
ポイントに到着して船長の合図があったら仕掛を海に投入します。まずは正面5mほどにキャスト。ほかの方と投入する場所が被らないよう注意してください。初心者の方は投げやすいアンダーキャストがおすすめですよ。
アンダーキャスト①:オモリを持ってリールのベールを返す
アンダーキャスト②:竿を前に突き出してオモリを前方に下から投げ込む
アンダーキャスト③:オモリが着底してラインが止まったらリールのベールを戻す
キスは砂埃に興味を持って近づいてくるので、まずは竿を小刻みに上下に揺らしてオモリを海底で動かします(軽くバウンドさせます)。次にリールをゆっくりと巻いて仕掛を手前に寄せてきましょう。コツコツと竿先を叩く反応があったらキスがエサを食べている証拠です。
竿先を叩く反応(アタリ)を感じたら、竿を1mほど素早く持ち上げハリをキスの口に掛けましょう。小気味よい引きを楽しみながらリールを巻けば、キスが海面に浮上してきます。あとは、(竿受けがあれば)竿受けに竿を置いて、道糸を持ってキスを船に取り込みましょう。
※竿受けがない場合は、片手にロッドをしっかりと持ち竿を立てて、もう片方の手で道糸を手繰り寄せて船に引き込みましょう
竿受けに竿を置いて道糸を持ってキスを船に取り込みましょう釣り上げたキスは…
釣り上げたキスはフィッシュグリップで挟んで固定し、ハリを口から外してください。もしハリを飲み込まれてしまった場合は、エラに指を突っ込んでハリスをぐるぐる回すとかんたんにハリを外すことができますよ。
釣れたキスはバケツに生かしておき、釣りの隙間時間でクーラーボックスに移します。海水と氷で作った潮氷で氷締めすると、鮮度を保つことができますよ。
キャストは正面に!
自信がなければ真下に落とすだけでもOK!
船で行うキス釣りは仕掛を海に投入する際、少しキャストします。そのため、正面にキャストしないと隣の人とラインが絡まり迷惑をかけてしまいます。
もし、キャストする自信がない場合は、無理せず真下に仕掛を落とすようにしましょう。仕掛を引きずらなくても船が潮で流されるので誘いとなり、十分キスを釣ることができますよ。
キャストしない場合は船用のライトゲームロッドの方が扱いやすくておすすめです
キスを新鮮なまま保存
夏場はクーラーボックスの開け閉めに注意を!
釣れたキスは保冷したクーラーボックスに入れて持ち帰りましょう。ジッパー付き保存袋にキスを入れておけば、クーラーボックスの内側が汚れないのでおすすめです。
また夏場は暑く、保冷剤が溶けやすいです。魚を出し入れするとき以外は極力フタを閉めて、冷たい空気が逃げないよう注意しましょう。
美味しい天ぷらのために…手早くさばく方法
キスは白身でクセのない魚。刺身、天ぷら、塩焼き、煮付けなどさまざまな料理で美味しく食べることができます。そこで今回は、王道の「天ぷら」におけるキスのさばき方をご紹介します。
(1)ウロコを落とす。
(2)頭から内臓まで切れ込みを入れる(背骨を断ち切る)。
(3)内臓を引き抜く。
(4)開いて背骨を取り出す。
(5)あばら骨(腹骨)を取り除く。
(6)衣を付けて油で揚げれば完成。
今回は船からねらうキスの釣り方と、天ぷら用にキスのさばき方をお伝えしましたがいかがだったでしょうか?
エサの準備から誘い、フッキングと船釣りの基本が全て詰まっているキス釣り。釣って楽しい、食べても美味しい魚なので初めての釣りにはもってこいの釣りモノですね。
また、数が釣れる初心者向きの釣りではありますが、工夫するポイントはたくさんあります。エサのサイズや誘い方、仕掛の種類をアレンジすれば釣果をさらに伸ばすことできるでしょう。ぜひ、夏の風物詩キス釣りの奥深さを体験してみてはいかがでしょうか?
キス釣りの模様と美味しい料理については、HAZEKINGさんのYouTubeにもアップされているので、ぜひそちらもご参考に。
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Youtube「釣り師 HAZE KING」
レポーター
プロフィール:HAZEKING
東海エリアを中心に活動する釣りユーチューバー HAZEKINGです。エリアトラウト、ハゼ釣り、海釣り、ロックフィッシュなど釣りジャンルは全部! 今も自身の新ジャンルを開拓しています。初めて魚を釣ったときの感動をみなさんと共有するためSNSをスタートし、HEATでは1人でも多くの方に釣りの魅力を伝え、「よし、明日釣りに行こう!」と思ってもらえるような記事を執筆したいと思います。
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