踊場の碑 「一体何が記されている?」 拓本で内容明らかに
「踊場の碑には一体何が記されているのか、知りたい」――。
踊場近くで生まれ育ち、現在は不動産管理会社を経営する石井慎一郎さん。職業柄、地元のことを知る中で「踊場に伝わる猫伝説で、地域活性をしたい」と思い立ち、今年から、猫の供養塔といわれる碑の研究・保全活動を始めた。
11月14日には、供養塔の拓本作業を実施。石井さんによると、拓本が取られた記録はないため、初めてのことだという。
拓本には専門業者の(有)東京文物(東京都大田区)から日野楠雄代表が協力。専用の道具を使うとだんだんと文字が浮かび上がってきた。
表側には「南無阿彌陀仏寒」の文字が浮かび上がった。日野さんの解読によると、寒念仏という厳しい寒さの中で行う修行の最後に建てられたものだという。
不明漢字や消えた地名も
裏側には「中田寺第七世」と「元文二丁巳天十二月」の文字が浮かび、1737年12月に中田寺の第七代住職が代表して建てたとわかった。
一方で、経年劣化や風雨による摩滅・損傷なども多く、解読不能な文字も多数あった。さらに、右側には建立に協力した地域として「宮ヶ谷」「鳥ヶ谷」など、現在は使われていない地名も記されていた。
石井さんは「猫伝説や猫供養との関係はまだ不明。調査で新たな発見があれば」と話した。