パティシエが教える。ラム酒香る本格サバランのレシピ
サバランとはどんなスイーツ?
サバランは、18世紀にフランスで生まれたデザート。リング状に焼かれたブリオッシュ生地に洋酒が入ったシロップをしみこませた、大人向けのクラシカルな菓子です。諸説ありますが、ラム酒風味の「ババ」をアレンジして作られたという説があり、フランスの美食家ブリア・サバランに敬意を表して名付けられた、といわれます。
サバランに使われる洋酒は、ラム酒やブランデー、キルシュなど特に決まりはありません。中心部にクリームやフルーツを飾るものも多く、生地に洋酒をしっかり含ませて芳醇な風味を楽しみます。
芳醇な香り!お酒好きな大人向けのデザート
洋酒入りのシロップを、生地にたっぷり含んだサバラン。生地はしっとりしていて、ひと口食べると口の中にじゅわっと洋酒の風味が広がります。「お酒の風味が強い」と初めて食べる人には驚かれますが、お酒好きな大人には好評。わが家ではフルーツを添えて、一緒に食べることが多いです。
生地に少し薄力粉を混ぜ、シロップに柑橘類の果汁を加えると、軽さが出て食べやすくなります。洋酒を入れずオレンジ果汁多めでシロップを作り、サバラン風としてお子さまと一緒に楽しんでもよいですね。
生地からこだわる。パティシエが教えるサバランレシピ
調理時間:90分
生地を発酵させる時間、休ませる時間は含みません
保存期間:冷蔵で翌日まで
生地から作る、サバランの基本レシピです。イーストで生地を発酵させ、しっかり焼いた生地にラム酒風味のシロップをたっぷりしみ込ませます。ひと口食べると生地はしっとりして、シロップが口の中にじゅわっと広がる独特の味わい。ぜひ手作りして堪能してみてください。
フルーツをトッピングすると見た目が華やかで、中にカスタードクリームを詰めてもリッチなおいしさが楽しめます。
材料(6個分)
サバラン生地
強力粉:95g
薄力粉:25g
グラニュー糖:10g
牛乳:30cc
ドライイースト:2g
卵:1.5個(75g)
バター(無塩):30g
型用
バター(無塩):適量
シロップ
水:300cc
グラニュー糖:120g
ラム酒:50cc
レモン果汁:大さじ1杯
ナパージュ
アプリコットジャム:75g
水:大さじ1と1/2杯
ホイップクリーム
生クリーム:100cc
グラニュー糖:7g
サバランのポイント5つ
生地はしっかりと発酵させる
牛乳は30℃程度にして加えるとイーストが発酵しやすい
型に対して生地を1/3~1/2量入れる
シロップは50~60℃程度にすると生地にしみ込みやすい
粗熱が取れてから生地に飾り付けする
下準備
・型にバター(型用)を塗り、冷蔵庫で冷やしておく
・強力粉と薄力粉は合わせてふるう
・発酵後オーブンを200℃に温めておく
・牛乳は温め、25~30℃程度に冷ましておく
作り方
サバラン生地を作る
ボウルに強力粉、薄力粉、グラニュー糖、塩、ドライイーストを入れ、軽く混ぜます。
牛乳、溶き卵の順に加え、その都度よく混ぜ合わせます。牛乳は30℃程度にして加えると、イーストが発酵しやすくなります。
粉気がなくなったら台の上に取り出し、まとまるまでこねます。水分が多い生地のため、カードでまとめながらこねるとやりやすいです。
バターを加え、生地に練り込むようにこねます。10分ほどこね、バターが生地に入ってまとまってきたらOKです。
ボウルに戻し入れてふんわりラップをし、オーブンの発酵機能(40℃)で30分ほど発酵させます。生地が2倍程度にふくらんだら、一次発酵完了です。
打ち粉をした台にサバラン生地をのせて軽く押さえ、空気を抜きます。
生地を絞り袋に詰め、生地が6等分になるよう型に絞り出し、水で濡らしたはさみで生地を切ります。やわらかい生地のため、絞り袋を使うと扱いやすいです。生地はふくらむので、型に対して1/3~1/2量になるように絞りましょう。
指を水で濡らし、軽くたたくようにしながら生地をならします。天板に並べ、ふんわりとラップをしてオーブンの発酵機能で約15分間(40℃で30分)発酵させます。1.5倍程度にふくらんだら、二次発酵完了です。
オーブンで焼く
オーブン200℃で、15~20分ほど焼きます。軽く焼き目がつく程度が目安です。焼きすぎると硬く、シロップが含みにくくなるので気をつけましょう。型から外し、網の上にのせて冷まします。シリコン型を使う場合は熱が伝わりにくいので、少し長く焼いてください。金属の型よりも、焼き目は付きにくいです。
シロップを作る
鍋に水とグラニュー糖を入れ、沸騰させてグラニュー糖を溶かします。火を止めて、ラム酒を加えます。風味が飛ばないよう、火を止めてからラム酒を加えてください。
ホイップを泡立てる
ボウルに生クリームとグラニュー糖を入れ、8分立てに泡立てます。ツノが立つまで泡立てたら、星口金を付けた絞り袋に詰めます。
ナパージュを作る
耐熱容器にアプリコットジャムと水を入れ、よく混ぜ合わせます。レンジ600Wで1分加熱し、ダマがなくなるまで泡立て器でよく混ぜ合わせてください。
組み立てる
3が50~60℃に冷めたら、2が入ったバットに加えて浸します。時々ひっくり返して両面まんべんなくしみこませ、30分ほど浸したらOK。シロップは50~60℃程度にすると、生地にしみ込みやすいです。網の上にのせてシロップを切り、粗熱を取って冷まします。仕上げ用のホイップクリームが溶けないように、十分冷ましてください。
6の表面に、はけで5を塗ります。
4を絞り、お好みで飾り付けしたらできあがりです。
よくある質問
強力粉の代わりに薄力粉でも作れますか?
薄力粉のみで作るとふんわり軽い食感に仕上がりますが、生地が崩れやすくサバラン特有の食べ応えがなくなります。薄力粉を加える場合は、粉全体の2~3割程度にするとよいでしょう。
サバランの型は別のもので代用できますか?
ドーナツ型やマフィン型、カップケーキ型でも作れます。
ナパージュはほかのもので代用できますか?
コーティングゼリーで代用可能です。粉ゼラチン5gを冷水大さじ2杯に振り入れてふやかし、水75ccとグラニュー糖大さじ1杯半を加熱して、グラニュー糖が溶けたら火を止めます。ふやかしたゼラチンを加えて溶かし、冷ましてとろみが付いたら使用してください。
市販のナパージュはどのように使用したらよいですか?
市販のナパージュは種類がいくつかあり、サバランにはナパージュアプリコットや製菓用のアプリコットジャムが向いています。製品にもよりますが10~30%程度の水を加えて加熱し、熱いうちにサバランの表面に塗ってください。
洋酒が香る!サバランの本格レシピに挑戦してみよう
サバランはクラシックなフランス菓子。生地から作ると手間はかかりますが、本格的な味わいに仕上がります。使う洋酒に決まりはないので、好みのものでシロップを作ればOK。手作りのサバランを食べながら、ゆったりと大人のスイーツタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。
ライター:堀田 らいむ(webライター)