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『ヌードルたべるプードル』のスウェーデン人作家、エマ・ヴィルケさんが語る、日本愛と創作への想い。

NHK出版デジタルマガジン

『ヌードルたべるプードル』のスウェーデン人作家、エマ・ヴィルケさんが語る、日本愛と創作への想い。

2023年秋にNHK出版より刊行された「数」の絵本『ヌードルたべるプードル』の文章を担当したエマ・ヴィルケさん。クリスマス休暇を利用して家族と一緒にスウェーデンから来日されたエマさんに、お話をうかがいました。

(NHK出版公式note「本がひらく」より転載。本記事用に一部を編集しています)

日本はわたしにとって特別な場所。これからも国をこえたコラボレーションを続けていきたい

──日本は2度目とうかがいましたが、印象をお聞かせください。

わたしは日本が大好きです。特にデザインやアートに関心があるのですが、街のなかには歴史的なものと新しいテクノロジーの対比が見られ、興味深いです。それに、わたしが出会った人々はとても親切で、おもてなしの心があります。前回日本を訪問したときは主に都市部を訪れましたが、今回は箱根や大磯など都市から少し離れたところや、気候のよい沖縄まで足を運んでみようと思っています。とても美しい場所と聞いているので楽しみです。

──エマさんが『ヌードルをたべるプードル』を創作されたきっかっけを教えてください。

わたしの子どもたちは小さいころ、数をかぞえるのが大好きだったので、カウンティングブックを創りたいと思ったのがきっかけです。とにかく楽しくて、予想外のものにしたいと思いました。絵を描いてくれたタカハシモグさんとわたしは、どちらも気まぐれなことをする奇抜なキャラクターを発明するのが好きでした。たとえば、「10」の数字のページでは卵が脚をふりふり、ダンスをしています! 本当は卵に脚はありませんが、脚を加えることで子どもの記憶に残りやすくなるはずです。

10このたまご、ゆかいにダンス

──‟2 poodles eating noodles”といったように、英文は韻がふまれていて楽しいですね。この英文をどう訳すかが日本語版では課題でしたが、コピーライターの坂本和加さんがとてもすてきな訳をつけてくださいました。

韻を踏むことで、子どもたちはフレーズを覚えやすくなるでしょう。その文章にメロディーをつけた動画はSpotifyやYouTubeで配信されていまして、スウェーデンの幼稚園では大人気なんですよ。

原書の英文を紹介した巻末ページ。アニメーション動画が楽しめるQRコード付き

──本書をコラボされたタカハシモグさんの魅力をお聞かせください。

モグさんの絵はとても遊び心があって、強い色を上品で愛らしく組み合わせています。表現はどこかユーモラスで少しひねったところがあって、楽しさが広がります。わたしたちはちょっと「クレイジーなもの」が好きなんです! この本を創るにあたって、モグさんの絵にインスピレーションを受けました。彼女はこの本にぴったりの、風変わりで愉快なキャラクターたちを描いてくれました。

──どのページがいちばん気に入っていらっしゃいますか。

そうですね……。どのページも好きで選びがたいですが、「7」のページかな。うさぎが好き放題にいたずらをしていて、おかしいでしょ。(右下の、耳をかじっているうさぎを指して)こうやって髪の先をかむ子ども、日本にもいませんか? 

エマさんがお気に入りだというページ

──『ヌードルをたべるプードル』刊行後、読者からはどのような感想が寄せられましたか?

スウェーデンの子どもたちから、「本と歌の動画、どちらも気に入っている」という、とても嬉しいコメントをいただいています。彼らは早い時期からスウェーデン語に吹き替えていないテレビやYouTubeで英語に触れ、それを真似することで英語を覚えていきます。多くの親は、子どもに英語で絵本の読み聞かせをし、子どもと会話をすることが楽しいと思っています。

──最後に、今後の創作活動のプランについて教えてください。

これからも、絵本の可能性を探求する子ども向けの絵本を作り続けたいと思っています。国を越えてコラボレーションをするのはとても楽しいことだと思いますし、実際にモグさんや同じく共作の経験がある絵本作家の小池ふみさんと新しい絵本の企画の相談をしています。こうした共同作業はとても充実していて、自分の本がさまざまな国の子どもたちにどのように受け止められているかを知るのもとても楽しいです。日本は私にとって特別な場所です!

エマさんと小社をつないでくださった日本・ユニーエージェンシーのオフィスにて

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エマ・ヴィルケ(文)

2010年に絵本作家としてデビュー。スウェーデンにおいて権威ある「アウグスト賞」に2回ノミネートされた経験をもつ。創造的で遊び心あふれる作家としてだけでなく、詩的な物語を創作する作家としても知られる。2013年にはボローニャ児童書ブックフェアに、スウェーデンを代表する31人のアーティストの一人として参加。2017年にはスウェーデンの優れた作家に贈られる「エルサ・ベスコフ賞」を受賞。

タカハシ モグ(絵)

日本人アーティスト。ドローイング、ペインティング、彫刻、あらゆる視覚的表現において、ユーモラスで遊び心のある作品は国内外展覧会をとおし、ファンを魅了。2018年にはスウェーデン政府の招致でストックホルムにてスピーチを行う。そのほかGUCCIやSHISEIDOといったブランドとコラボレーションするなど、幅広く活動をしている。

坂本和加(さかもと・わか)(訳)

ブランディングコピーライター/クリエイティブディレクター。主な仕事に「カラダにピース」「健康にアイデアを」「行くぜ、東北。」「WAON」「イット!」などがある。Eテレ「いないいないばあっ!」で「いっこにこだっこ」の作詞を担当。NHK for School 「アッ!とメディア」には講師として出演。本業のかたわら、考えることや想像することのおもしろさ、日本語の楽しさを広く一般向けに伝えつづけている。

ヌードルたべるプードル
絵:タカハシ モグ 
文:エマ・ヴィルケ  
訳:坂本和加
出版社:NHK出版
発売日:2023年10月25日
定価:1,540円(税込)
仕様:B5変型判上製
ページ数:28ページ

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