造形の可能性を提示する「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展が7月21日まで、『東京都現代美術館』で開催中
日本を代表する造形作家であり、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域を手がけ、批評家としても活躍してきた岡﨑乾二郎(1955~)。彼の核心に迫る東京での初の大規模な展覧会「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展が2025年7月21日(月・祝)まで、東京都江東区の『東京都現代美術館』で開催中だ。TOP画像=《Heads poking out, a shape with lion body and man’s head. A gaze blank and pitiless as the sun. Embankment crowded, a vast image troubles my sight. Everyone shouting, voices affectionate, half-crying. We’re all gonna die. Darkness drops again. I heard ducks floating.Black rocks absorbed light. Was I all along born on the far shore? Cave pitch dark. Colors fade. Stretch out a hand. World already ended.Spread legs. Never to perish again. Only a presence – the subtle movement of air as someone searched. Solely ephemeral presence lingers. I remember who I am.Earthquake shook. Sun black as sackcloth. Moon like blood. Stars fell to earth, fig tree dropping unripe fruit. Sky split apart, mountains and islands moved. Kings, slaves shouted, “Hide us from the throne, from the Lamb’s wrath.” Their day has come. I’m gonna faint!》2024 Photo: Shu Nakagawa。
“造形”をキーワードに芸術活動の全貌に迫る
1982年、パリ・ビエンナーレに招聘以来、数多くの国際展に出品してきた岡﨑乾二郎氏。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作をはじめ、「なかつくに公園」(広島県庄原市)などのランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)など、常に先鋭的な芸術活動を展開してきた。
広報担当者は、「日本を代表する造形作家・批評家であるとともに建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発など幅広い表現領域でも革新的な仕事を手がけ、その全貌の把握が困難であった岡﨑の仕事を、その根底に一貫する造形という主題から総覧する大規模個展です。近年国際的な評価も高まるこの作家が大きく転回した2021年以降の新作・近作約100点を中心として、過去の代表作を網羅しつつ、その仕事の全貌を展望します」と見どころを語る。
2021年以降に制作された新作群が一堂に
展覧会タイトルは、「而今而後(これから先、ずっと先も)」という『論語』の一節から取られたもの。2021年以降、岡﨑氏は社会的な情勢と個人的経験の2つの変化のなかで、思考を位置づける時空の枠組みについて大きな転回を迎えたと言う。本展は岡﨑氏が2021年以降の旺盛な活動期に入ってからの新作・近作約100点が発表されているのが大きな見どころとなっている。
開催概要
「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展
開催期間:2025年4月29日(火・祝)~7月21日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00※入館は閉館30分前まで。
休館日:月(ただし5月5日・7月21日は開館。月が祝・休の場合は開館、翌休)、5月7日(水)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2000円、学生・65歳以上1400円、中学生・高校生800円
※小学生以下無料。
【問い合わせ先】
東京都現代美術館☏03-5245-4111(代表)
公式HP https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kenjiro/
取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。