一見するとサラダだが…佐賀市のご当地グルメ「シシリアンライス」の謎
先日、友人の結婚式で佐賀県に行ったときのこと……。
何かご当地グルメを食べたいなと思って空港のレストランを見たところ「シシリアンライス」なるメニューが激推しされてるのを発見! 僭越ながら初めてその存在を知った。
私の出身地・長崎には「トルコライス」があるけど、お隣の佐賀は「シシリアンライス」か……。
・シシリアンライス
シシリアンとは、つまりシチリア風ってことで、イタリアン的な感じかしら? と思いつつ注文してみたのだが……。
やってきたのは、ご飯の上にサラダが載ったような不思議な食べ物であった。
このサラダの山をめくると、牛肉と玉ねぎの甘辛炒めみたいなものが出てきた!
さらに、その下には温泉卵が!
サラダ×肉×ご飯……なんとなく既視感のある組み合わせである。沖縄あたりにこんな食べ物があったような……。
これを全部まぜまぜして食べるらしい。
なんというか、牛丼とサラダが道ならぬ恋に落ちて、佐賀から沖縄方面に駆け落ちした……という感じの食べ物である。シシリアンという言葉とはちょっとイメージできないというか。
ところがどっこい、食べるとこれが美味しいのである。牛丼の甘じょっぱさに、サラダの軽やかさ、マヨネーズの酸味が加わることでなんともいえないヘルシー感があるではないか。
・由来はなに?
そもそも佐賀は佐賀牛が有名。牛を使ったメニューが出るのも納得なんだけど、しかし、どのあたりがシシリアン(イタリア風)なのか。
気になったので調べてみたところ、佐賀市観光情報サイトの説明に……
「うわさによると、昭和50年頃、佐賀市中心街にある喫茶店でシシリアンライスなるものが誕生。
それから30年あまり喫茶店やレストランの定番メニューとして愛され続け、今では30軒を超えるお店で味わうことができます」
と書いてあるのみ。「昭和50年から」と意外と歴史があることは分かったのだが、一番気になる「シシリアン」の由来はまったくわからなかったのだった。
「長崎がトルコライスなら、こっちはシシリアンライスって名前にするか」的な感じじゃないか……と予想しているのだが。
・佐賀風のタコライスかと思いきや……
また、サラダ+肉+ご飯 という形式は沖縄のタコライスにも似ている。タコライスを真似した可能性もあるよなあと思ってタコライスの歴史についても調べたのだが……。
沖縄情報サイトOKINAWA CLIPの記事によると
「タコライスの始まりは、金武町店の前身である『パーラー千里』(2015年閉店)の、今は亡き創業者・故・儀保 松三(ぎぼ まつぞう)氏が、1984年に考案したオリジナル」
と書いてあるではないか。佐賀のシシリアンライスは昭和50年頃(1975年頃)から存在が確認されているらしいので、実はシシリアンライスの方がタコライスより10年近くも先輩であることが判明。(ちなみに長崎のトルコライスは1950年代からあったらしい)
まじかよ、佐賀すごいな。昭和50年代にサラダと米と肉を一緒に食べさせるってなかなかモダンな発想じゃないですか? タコライスに比べて知名度が低いのはもったいないような……。
・牛めしの素で再現してみた
シシリアンライスの基本は ご飯+牛肉の甘辛煮+野菜+マヨネーズで、簡単に作れそう。
会社にあった松屋の牛めしの素でシシリアンライスを再現してみた。
お皿にご飯をのせて……
上から牛丼の具を載せる。調べたところ、本当は甘辛い焼き肉のほうがいいっぽい。
温泉卵をトッピングして……
サラダをのせる。野菜はちょっと小さめに切った方が食べやすそう。
最後にマヨネーズをかけてできあがり。
野菜と肉をいっぺんに食べられて、ある意味完全食なので、みなさんもぜひ作ってみてほしい。しかし、まさかタコライスよりも古い歴史があったとは……。
松屋はよく世界の食事を限定メニューで出してるけど、佐賀のシシリアンライスを限定で出してもいいんじゃないかしら……と思ったのでした。
参考リンク:佐賀市観光サイト、沖縄CLIP
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.