海外では当たり前なのに……日本は13.8%弱の「無痛分娩」 東京都が最大10万円の助成を開始 「地域格差」問題も発生
2025年10月1日より東京都で開始の「無痛分娩」への費用助成。最大10万円の補助はいつから誰が対象? 申請方法や対象病院、他県の状況まで、これから出産を迎えるママが知りたい情報をわかりやすくまとめました(全1回)。
【▶画像】「ママ」になったトランスジェンダー谷生俊美さん出産の痛みをやわらげる「無痛分娩」。海外では広く普及していますが、日本ではまだまだ一部の方しか利用できていない状況です。そんな中、東京都が都道府県としては初めて、無痛分娩にかかる費用を最大10万円助成する制度をスタートしました。
妊婦さんが安心してお産を迎えられるように──。誰が対象なのか、どうすれば利用できるのか、東京都以外ではどんな取り組みが進んでいるのか、無痛分娩を取り巻く現在の環境をまとめてみました。
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都の助成で自己負担はどう変わる? 無痛分娩の費用と制度の概要
無痛分娩とは、お産のときに麻酔(主に硬膜外麻酔)を使って、陣痛や出産の痛みをやわらげる方法です。お産の痛みをやわらげることで、出産時のストレスを軽減するなどの効果が期待できます。
「無痛」といっても、痛みがまったくなくなるわけではなく、痛みを大幅に軽くする方法です。
アメリカやヨーロッパなどの海外では無痛分娩が広く普及していて、国によっては無痛分娩のほうがスタンダードになっていることも。
例えばフィンランドの無痛分娩実施率は89%、フランスは82.7%、アメリカは73.1%に上ります。アジアでもお隣の韓国では40%が無痛分娩です。
その一方で、日本では文化的な背景もあり、年々増加傾向にあるものの、無痛分娩の実施率は13.8%と1割強にとどまっています(いずれも日本産科麻酔学会「無痛分娩Q&A」より)。
こうした中で、東京都は妊婦さんがより安心してお産にのぞめるように、都道府県としては全国でも初めて、無痛分娩の助成に踏み切りました。
都内で実施される無痛分娩の費用は10万円~20万円程度とされますが、このうち10万円が助成されます。
※都内医療機関の無痛分娩の費用(引用元:東京都福祉局ホームページ)
【助成金対象】チェックリスト
助成対象となるには、一定の条件を満たす必要があります。
条件は、下記のとおりです。
●どんな人が対象?
✔ 2025年10月1日以降に出産した人
(※出産予定が10月以降だったのに、少し早く9月に生まれた場合も対象になることがあります)
✔ 硬膜外麻酔や脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔で無痛分娩を受けた人
✔ 東京都が指定している病院やクリニックで出産した人
✔ 妊娠届と母子手帳を都内でもらい、助成金の申請時まで継続して都内に住んでいる人
✔ 出産の翌日から1年以内に申請する必要があります
●どんな費用が助成される?
✔ 麻酔の手技や管理の費用
✔ 麻酔薬の費用
✔ 無痛分娩にかかる一連の医療行為
※助成されないもの
✔ 個室代や食事代など入院費用
✔ 診断書などの文書料
✔ 保険がきく部分(例:緊急帝王切開)
●いくら助成されるの?
✔ 最大10万円まで
✔ それ以上は自己負担
✔ 1回の出産につき1回だけ(双子・三つ子でも同じ)
●どこで使えるの?
✔ 東京都が「対象医療機関」として公表している病院・クリニック
✔ 最新の対象リストは都の公式サイトでチェック
✔ 実際の予約方法や無痛分娩の可否は、必ず病院に直接問い合わせが必要です
東京だけじゃない! 全国に広がる“無痛分娩サポート”の今と課題
写真:beauty_box/イメージマート
【参考資料一覧】
日本産科麻酔学会 無痛分娩Q&A
無痛分娩費用の助成
無痛分娩に関する医療機関実態調査結果
無痛分娩費用助成金|みなかみ町
備前市無痛分娩費用助成事業
取手市/【10月1日から】無痛分娩費用を助成します
無痛分娩費用を助成します/いすみ市
下仁田町ホームページ:無痛分娩費用助成
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