【ふじのくに地球環境史ミュージアムの「白簱史朗南アルプス写真展」展】 山岳の「魔力」を浴びた
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアムで11月10日まで開催中の「白簱史朗南アルプス写真展」から。企画展「山とともに生きる-南アルプスの麓、井川地区の今-」の関連展示。
大井川の源流に位置する椹島ロッヂの「南アルプス白簱史朗写真館」から、通常非公開の大型写真パネル10点を持ち込んだ。
白簱史朗(1933~2019年)と言えば、「山岳写真」というジャンルを確立した写真家。南アルプスでの撮影をライフワークとしていた。静岡市で日々生活する者として、同じ「静岡市」の未知の一面を知らされた思いだ。
薄黄色からオレンジ、緑にグラデーションで移り変わる百間洞源頭(ひゃっけんぼらげんとう)から見える紅葉の斜面は絵の具で色を塗ったかのように鮮やか。三伏峠から冬の塩見岳を望む朝の風景は、前夜降った雪を照らす朝日の「熱」が伝わる。
標高3000メートル級の山岳だけが持つ「磁場」「吸引力」を存分に感じ取った。それは「魔力」とも言えるものだろう。(は)
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■ふじのくに地球環境史ミュージアム
住所:静岡市駿河区大谷5762
開館:午前10時~午後5時半(月曜休館)
料金(当日):一般300円、70歳以上と大学生以下無料
会期:11月10日まで