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女性に「ちゃん」付け、過剰な資料請求は不適切 上越市議会で初のハラスメント研修会

上越タウンジャーナル

新潟県上越市議会は2025年5月7日、全議員を対象にした初のハラスメント研修会を開いた。全国の自治体で地方議員による同僚議員や職員へのハラスメントが問題となっていることを踏まえ、「何がハラスメントにあたるのか」などについて、具体例を基にした講師の話に耳を傾けた。

研修会は、議会改革推進特別委員会の議会基本条例等検討分科会が「ハラスメントに対する知識に議員間でばらつきがある」として実施を提案したもので、都合がつかなかった4人を除く28人が参加した。

《画像:ハラスメント研修会で講師の話を聞く市議》

講師は、地方議員や議会事務局職員を対象としたセミナーなどを開催している廣瀬行政研究所の廣瀬和彦代表取締役が務めた。廣瀬さんはまず「ハラスメントの捉え方は人によって千差万別で、特に人間関係が希薄な状況では冗談が冗談として受け取られないので問題となる。議員は住民の代表として範となる行動をとらなければならず、違法行為でなくとも議員辞職など道徳的、政治的責任を取らされる恐れがある」と指摘した。

そして、政治分野でのハラスメント事例が紹介された内閣府作成の啓発動画や裁判例などを基に、ハラスメントの具体例を解説。議員控室に同僚議員や職員を長時間拘束して威圧的な言動を繰り返す、職員に過度な調査依頼や資料請求を行う、嫌がっている女性を“ちゃん”付けで呼ぶ、身体的特徴を話題にする、女性に懇親会で隣の席に座るよう強要するなどはパワハラやセクハラに該当するとした。

加えて「視察で市外に出た時に気が緩み、ハラスメントが一番起こりやすい。懇親会の二次会などで羽目を外さないように」と注意を促した。

またパワハラは①優越的な関係を背景とした言動②業務上必要かつ相当な範囲を超える③労働者の就業環境が害される――の3要件を全て満たす場合に該当すると説明した。

廣瀬さんは「感情的になった時や酔った勢いなど、良心が外れる中でハラスメントは起こる。同僚議員や職員に対し、高圧的、威圧的な言動は特に注意してほしい」と述べた。ハラスメント条例の制定については、「とりあえず作るだけなら作らない方がいい。よく吟味して、きちんと順守でき、条例自体が機能するものでないと意味がない」と提言した。

議会改革推進特別委員会の山田忠晴委員長は「ハラスメントについて勉強不足なところもあり、非常に有意義だった。今後も議員のハラスメントに対する理解を深めていきたい」と話した。

《画像:研修会で視聴した内閣府作成「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」》

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