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瑞々しく弾ける歌声!アイドル松田聖子のイメージをつくった作詞家は三浦徳子である

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2024年11月06日 松田聖子のベストアルバム「Seiko My Love ―Yoshiko Miura Works―」発売日

松田聖子のデビュー曲の「裸足の季節」から「夏の扉」まで詞を提供した三浦徳子


アイドル全盛期だった1980年代。ヒット曲を手がけた作詞家にスポットを当ててみると、80年代の売上ランキングの総合1位は松本隆。女性作詞家の1位は三浦徳子であった。ご存じの通り松本隆は松田聖子に多くの詞を提供しているが、デビュー曲の「裸足の季節」から「夏の扉」までは三浦徳子が詞を提供している。

三浦徳子の本格的な作詞家デビューは1978年。八神純子のシングル「みずいろの雨」が大ヒットし、一躍、女性作詞家として注目される存在に。1979年には、松原みきのデビュー曲「真夜中のドア〜Stay With Me」を手がけているが、2020年あたりからストリーミングサービスなどの普及でリバイバルヒットになっており、現在Spotifyだけで3億回以上も再生されている驚異のヒットになっている。この曲が、海外のリスナーからも支持されている現象を受けて三浦徳子は “サビを “Stay With Me” という英語のフレーズにしておいて良かった(笑)” と生前、出演したラジオ番組で冗談交じりに語っている。

新人としては異例の30万枚に迫る大ヒットになった「裸足の季節」


80年代に入り、新進気鋭の女性作詞家として注目されていた三浦徳子のもとに、松田聖子のデビュー曲の依頼が舞い込むことになる。当時のCBS・ソニーは山口百恵の引退がすでに決まっており、次世代の大型新人を売り出すことがミッションになっていた。作詞の依頼が来たのはデビューのわずか2カ月前で、デビュー曲のタイトルはすでに「裸足の季節」に決まっていた。

このデビュー曲には資生堂『エクボ洗顔フォーム』のCMソングという大型タイアップが付いており、当初は聖子がCMに出演する予定だった。しかし、聖子の頬にはエクボが出なかったという理由からCMにはタレントの山田由起子が出演。聖子は曲のみの起用になったが、「♪エクボの秘密あげたいわ」というサビのフレーズはお茶の間に大きなインパクトを与え、CMにクレジットが出なかったことから問い合わせが殺到。デビュー曲「裸足の季節」は新人としては異例の30万枚に迫る大ヒットになった。

聖子のはつらつとした女の子像を作り上げた三浦徳子と小田裕一郎


「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」の3枚のシングル、そしてアルバム『SQUALL』『North Wind』は全曲、三浦徳子と作曲家の小田裕一郎とのコンビによって制作されているが、聖子のはつらつとした女の子像を作りあげた2人の作家の功績は非常に大きい。デビュー当時の聖子を知る関係者に制作秘話を伺うと、とにかく聖子の “歌声” は圧倒的なインパクトがあったという。三浦徳子ものちにインタビューで “だっていい声だったから。そのときになかった声。ポップだったし、声がいくらでも出たのよ。彼女みたいな声の人はいなかった” と語っている。

4枚目の「チェリーブラッサム」から財津和夫が作曲に関わるようになり、この時期から徐々にニューミュージック系のカラーが色濃くなり、新たな聖子ワールドを形成していくようになる。5枚目の「夏の扉」は、現在も聖子のコンサートのクライマックスシーンでは欠かせない重要な1曲だ。しかし、松本隆が詞を提供した「白いパラソル」あたりから聖子が喉の調子を崩したということもあり、その後のボーカルスタイルにも変化が見られるようになっていく。

アルバム『SQUALL』『North Wind』はそれまでのアイドルにはなかった、夏と冬のコンセプトアルバムとして制作されており、当時のニューミュージック系のアーティストにも引けをとらない売上を記録していた。三浦・小田コンビが全曲を手がけたということもあり、ストーリー性を強く感じる名盤となっている。「SQALL」や「Only My Love」はコンサートでも歌われる定番曲だが、個人的には「潮騒」や「冬のアルバム」などの艶っぽいボーカルに松田聖子の表現力や才能を強く感じる。

三浦徳子が松田聖子に詞を提供した全30曲が収録された2枚組CDが発売


三浦徳子は聖子の制作から離れた後も多くのヒットを世に送り出しており、1983年に発売された杏里の「CAT'S EYE」はキャリア最大のヒット曲になっている。これまでに手がけた作詞の数は2,000曲とも言われているが、2023年11月6日、残念ながらこの世を去られた。

そんな三浦徳子の一周忌にあたる、2024年11月6日、松田聖子『Seiko My Love ―Yoshiko Miura Works―』が発売になった。この作品は、三浦徳子が松田聖子に詞を提供した全30曲が収録された2枚組CDで、ブックレットには松田聖子からの心温まるコメントも掲載されている。ちなみに筆者は今回のこのCDのブックレットにライナーノーツを書かせていただいたので、生前のコメントや知られざる制作秘話等は、是非ライナーをチェックしていただきたい。

1980年4月1日に「裸足の季節」でデビューした聖子は、この時期の作品が “松田聖子” というアーティストのイメージや基盤を作ったといっても過言ではないだろう。来年、デビュー45周年を迎える聖子だが、今でもコンサートで歌われている名曲の数々をこの機会に改めて聴いていただきたい。

最後に、三浦徳子さんの一周忌を迎えるにあたり、改めてご冥福をお祈りいたします。

三浦徳子(Yoshiko Miura)
作詞家 1949/1/2〜2023/11/6(享年75)
青森県弘前市出身

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