「面白そうな本、見つけた!」沼津の老舗マルサン書店が学校で出張ブックフェア【週末は書店へ行こう!出張編】
読書の秋。皆さん「本との出会い」、最近してますか?
静岡新聞社出版部、営業担当のアッキーこと秋田です。
近年、スマホやタブレット端末が普及する中、子どもや若者の活字離れ、本離れの話を耳にする機会が増えています。子どもや若者に限らないことですが、皆さんは最近、お気に入りの本との出会いがありましたか?
今回の「週末は書店へ行こう!」は子どもたちにもっと紙の本に触れてもらおうと活動している沼津の老舗書店、マルサン書店が行っているある取り組みについて紹介します。
「本にもっと親しんで」。願いを込めて約2000冊を箱詰め
この日、私が伺ったのは、伊豆の国市にある静岡県立韮山高校です。校舎に入るとひと部屋に小説や歴史書、図鑑などあらゆるジャンルの本がずらりと並べられていました。その数、なんと約2千冊。段ボール80箱分です。実はこれ、マルサン書店が地元の学校で開催している「出張ブックフェア」の様子です。
この取り組みは同書店が2015年から、県東部や伊豆地域の中学・高校を中心に巡回している地域活動の一つです。私が初めて同行させていただいた韮山高でのフェアでは、昼休みになると生徒のほか教職員の方も会場に集まってきて、気になる本を手に取っていました。
生徒が「〇〇の本はないでしょうか?」と書店スタッフに尋ねたり、本を囲んだ生徒たちが本談議をしたりする姿など、店頭ではあまり見かけない光景がそこにはあって、私にとっては新鮮でした。
このフェアは、韮山高のほかに長泉中学校や日大三島高など他の学校でも開催されています。読みたくなる本との偶然の出合いを与える場としてだけでなく、生徒が学校の図書室に入れてほしいと思う本を直接リクエストできる場にもなっています。一人一人、書店が用意したリクエスト用紙を手に希望する書名を記入していました。
フェアでは普段、店頭に並ばない本も多く用意されているため、書店にとってはどんな本が選ばれているのか知るのが楽しみとのことです。ちなみに韮高の生徒たちには、歴史・芸術・自然科学・経済・社会科学・言語など、小説以外のジャンルが人気でした。
将来の夢に繋がる1冊に出会って
開催時期は6~9月で猛暑日もあり、運営する学校関係者や書店スタッフの方々は準備等でいろいろ苦労が多いと思います。
ですが、同書店の杉山孝常務執行役員は次のように語ります。
「ブックフェアを開くことで普段は図書室を訪れない生徒や先生も本を手に取ってくれるかもしれないし、本を通じたコミュニケーションが増えるかもしれない。さらに図書委員会の年間行事の一つになって図書室の活性化に繋がる可能性もあるのでは!?と期待を込めて開催しています」。そして、この場所がきっかけで「将来の夢に繋がる1冊に出合ってもらえたら、なおさら嬉しいですね」と語ってくれました。
コロナ禍以降は、書店の大幅な減少や人出不足で「本との出会い」は減少傾向にありますが、店頭以外での出会いの場をいつまでも提供し続けてほしいと感じました。
<DATA>
■マルサン書店 本社・外商部
住所:沼津市高島本町13-4
電話:055-922-8822
marusan-bookstore.com