朝活の会「あさびや」 弾む会話、くすぐる知的好奇心 ”ゆる〜く”続けて10周年
朝の時間を有意義に活用し、スキルアップのための学習や運動・食事による健康づくり、趣味などに没頭する「朝活」。目覚めたばかりの脳は効率良く働く「ゴールデンタイム」と、記者が大学在学中の15年以上前に流行した。市内には「あさびや」と呼ばれる朝活の会が存在し、今年5月で10周年を迎えるという情報をキャッチした。まことしやかな噂を確かめるべく、記者が現場に向かった。
チュンチュン――。鳥のさえずりが聞こえる午前7時、藤沢商工会館ミナパーク隣の法律事務所内にはすでに、4人のメンバーが集まっていた。
この日は同事務所の代表弁護士、岸本寛之さんがパソコンと液晶画面を使い、「桜が見守る裁きの丘〜藤沢簡易裁判所をめぐる弁護士の活動〜」と題し、皆に発表する番だった。市内に点在する桜の見どころや、藤沢簡易裁判所に家庭裁判所出張所の併設を求める運動などについて紹介。「あそこの桜の木は切られたのか」「家事事件の解決に横浜まで行くのは億劫だ。弁護士の数は足りてるの」と発表の途中でも他のメンバーは容赦なくカットインし、質問を浴びせる。岸本さんもそれに丁寧に答えていた。
岸本さんは会の発起人の一人。「法律以外、他人に教えられることがない。交流の場もない」と事務所を設立したばかりの2015年、有志であさびやを発足した。会の名は「朝活」「遊び処」「学び舎」を掛け合わせた。当初は喫茶店で小規模に開催し、そのうち口コミで参加者が増え、現在約20人のメンバーが毎月第2木曜に岸本さんの事務所を訪れ、持ち回りで2時間発表する。会費はなく、参加も自由だ。
テーマは「地元のこと」「好きなこと」。例えば「湘南の定義」では、古地図を持ち出して「横須賀は湘南と記載されている」と熱弁したメンバーもいるという。
これまで会が継続できた理由をメンバーの穴水大介さんは「あらゆるバックグラウンドをもつ人の話を無料で聞ける時間は貴重。起業家交流にありがちな”ギラギラ”感もなく、ゆるいコミュニティーという気軽さもあるから」と説明する。
また弁護士や司法書士、弁理士など士業に携わる人も多い。不動産業を営む穴水さんは宅建士で、「記者さんはタウン『紙』ね」とあたたかく仲間に入れてもらえた。「発表を聞くと勉強になるし、発表をする自分も勉強する。答えを出す必要はない。互いの刺激になれば」と岸本さん。
知的好奇心をくすぐるあさびや。10年参加すれば、日々の行動も変わるかもしれない。