【低山歩き】静岡県小山町の金時山に登ってきました!初心者やシニアも楽しめるって本当!?必要な準備は?
静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「低山歩き」です。先生役は静岡新聞の山本淳樹生活報道部長が務めます。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年12月12日放送)
(山田)今日は静岡新聞の「しずおかアウトドアファン」というコーナーから、「低山歩き」についてですね。
(山本)12月11日付の特集ページで、私が低山ツアーに同行した時の様子についてルポ風に紹介したので、その話をしようと思います。
(山田)行きましたか!低山ツアー。
(山本)低山の定義は色々ありますが、本などによると標高1000メートル前後と解釈されています。それ以上になると、ちょっと高い山の方の部類に入ります。静岡でいうと、東海道沿線の近いところに、初心者でも中級者でも楽しめるような低山が結構あるということです。最近はガイドブックも多数出ていて、「日本百低山」などという本もあるし、低山を登るというテレビ番組もあったりします。
人気の理由は、やっぱり気軽さかなと思います。割と近くにあっていつでも行けるし、いろんな楽しみ方ができる。いろんな山に出かけるのもいいし、自分の好きな山に何回も何回も登るという方もいます。年齢層も幅広く、お年寄りでも自分のペースで登れるし、家族連れでも楽しめるので、そういったところが人気の秘訣なんじゃないかなと思います。
(山田)僕の家の近くに谷津山がありますが、毎日登ってる方もいますもんね。
(山本)気持ちがいいので、みなさんウオーキングの延長のような形で楽しんでいますね。
富士山が綺麗に見える金時山。登山客から人気
(山本)今回行ったのは人気の金時山です。静岡県と神奈川県の県境で、小山町と神奈川県の箱根町、南足柄市が重なったところにあります。何がいいかというと、富士山の眺望が素晴らしいんですね。
(山田)金時山から見る富士山。
(山本)新聞にも写真が出ていますが、富士山の一部が見えるわけではなく、麓から頂上まで見ることができて、この眺望を目当てに登る方が多いそうです。しかも、首都圏に近い静岡県東部にあるので、箱根に来たついでに登る方もいます。トレイルランニングのコースとして回っている方にも途中で出会いました。
(山田)全国から来るってことですか。
(山本)そうですね。東京方面からの方が多いように見受けられました。
標高は、1212m。箱根にはこれより高い山もあるんですが、箱根の外輪山の中で一番高いということです。富士山と別の方向を見ると、箱根の仙石原や芦ノ湖なども見下ろすことができ、非常に眺望が良いといえます。しかもルートも割と単純なので、登り口はいくつかあるんですが、山頂へのアプローチがしやすいということです。
(山田)で、実際に登られたわけですね。
(山本)11月16日に金時山へ行ってきました。今回のツアーは「NPO法人静岡山岳自然ガイド協会」というプロのガイドの皆さんで作る団体が一般参加者を募集をしていたので、ち取材を兼ねて参加してきました。
今回のルートは御殿場市深沢の乙女駐車場からスタートでしたが、この駐車場自体も景色がいいところでした。ここから登り始めて4.5キロくらい、その中で山あり谷ありといいますか、上って下ってという形で歩きました。
低山といえども、装備は必須
(山本)私は富士山は仕事で登ったことがあったんですが、好きで山に行くということ自体がないので…。どういう準備をしたらいいかガイドの方に伺ってから参加しました。
新しく買ったものもあったんですが、それらが非常に役に立ったので、ご紹介したいと思います。
このツアーの参加者は、私以外に十数人いました。60代以上の方が多いように見受けられましたが、大体皆さん普段から山が好きでいろんなところに行ってる方々が多く、歩き慣れた感じでしたね。私はほとんど経験がないので、大丈夫か非常に心配していたんです。
(山田)低山といえども。
(山本)そう、低山といえども(笑)。ガイドさんには「大丈夫だよ」と言っていただいて参加したものの、それでも体がすごい悲鳴をあげまして。足腰もキツイですが、ちょっと心臓がバクバクしながら何とかついていったような感じで、取材をする余裕があまりないぐらいだったんですが、そこで役に立ったのがポール(ステッキ)です。
トレッキングポールといいますが、両手にスキーのストックのような形のものを持って歩きます。登山用のものがあるんですけれども、これ、私は持ってなかったんです。富士山に行った時にはなくても何とかなったのですが、今回は全然富士山より低い山だったのに、不可欠だなと思いました。
(山田)足への負担が分散されるんですよね。
(山本)本当にその通りで、始まる前に皆さんとちょっと使う練習をしたり、握り方の確認や長さの調整などをしたりした上で使ってみましたが、教わった通りにしたら本当に楽でした。
上る時と下る時で長さをちょっと変えるなど、握り方や持ち方を工夫するんです。
歩き方も、「自分の足で行くというよりも体重移動を気にすると良い」というアドバイスを受け、それに従って歩いたところ、クタクタにはなったんですが、あのポールがなかったらと思うとぞっとします。
(山田)へぇー。
(山本)それからレインウェアとリュックのカバーは不可欠です。途中で案の定雨が降ってきて、小雨だったのですが、なかったら凍えてしまうかもしれない。
(山田)これ、低山って名前に惑わされて、ちょっとなめてかかっちゃうかと思うんですけども、山登りのグッズが必要なわけですね。
(山本)ほかに「行動食」として私はおにぎりを持っていきました。ちょっと長い距離を歩く場合はチョコレートや、すぐにエネルギーに変わるビーフジャーキーなんかもいいと聞きました。それから、ヘッドランプですね。
(山田)ほぉ、本格的ですね。
(山本)日帰りだからなくても全然構わないだろうと思ったら、帰りは下ってきたら午後5時ぐらいになり、やはり暗いんですよね。もうちょっと遅くなると登山道自体も暗くなります。
私達は日頃街での暮らしに慣れてると、夜でも何とかなりますよね。だけど山道って、真っ暗になるので、やっぱりヘッドランプなど何らかの灯は必要だなと実感しました。
(山田)ヘッドランプって本格的な登山のイメージがありますが、山に行く場合は必要なんですね。
肝心の景色は…晴れれば最高!
(山田)どうでした、上ったときは。
(山本)登って…残念だったんです、実は。一番の目当てのその山頂からの景色が、霧で全く見えなかったんです。この新聞の紙面のために、同僚記者が別の日に行って綺麗な富士山の写真を撮ってくれたというオチがあります(笑)
しかも、すごく人気の山だと話しましたが、非常に混んでいて、土曜日だったこともあり山頂はすごい人出でした。混む時間帯だったこともありましたが、座る余地もあまりないような状況でしたね。
(山田)そんな人気なんですね。
(山本)おそらく神奈川県側の方から登ってきた方も多かったんじゃないかなと思います。人気の山なので、昔からの名物の茶店も山頂に2軒営業しています。
静岡新聞社から「日帰り しずおか低山ウォークBest20」(2015年)という県内の山と登山ルート20選を紹介する本が出版されています。これを見ると、金時山だけでなく、富士山二ツ塚・御殿庭、満観峰・花沢山、竜爪山、粟ケ岳、竜頭山などなどいろんな山があります。低山と言いながら、やっぱり登るには準備が必要なところが多いかなと思います。
(山田)全然知らない山もある。
(山本)「日本百低山」の制覇を目指す方もいます。それだけ山へ行くってのは気持ちがいいということですよね。
いい景色は見えなくても、上りきると本当に「やったぞ」という思いになり、無事に戻ってきた時の達成感とはまた別なものがありました。あまりお金の掛からないアウトドアレジャーとして楽しんでいただければと思います。
ただ、県内の山で遭難する方が毎年たくさんいます。富士山や南アルプスだけではなく、近場の低山でも道に迷うこともあるので、それを想定して準備をして行っていただきたいなと思います。
(山田)これからの季節は寒かったり雪だったりってこともあるので十分チェックして行っていただきたいですね。今日の勉強はこれでおしまい!