長田区『西市民病院』の移転計画で「事業費」を縮小するみたい。単年度収支の黒字化は「開院7年目」にずれる見通し
画像:西市民病院公式サイトより
新長田エリアへの移転が予定されている長田区の『神戸市立医療センター西市民病院』。神戸市は移転計画の事業費を見直し、80億円ほど圧縮するそうです。神戸市長田区一番町2-4
西市民病院は1970年に開院。阪神・淡路大震災で本館が全壊するも再建し、増改築を繰り返しながら地域医療を支えてきました。
今後の医療機能の進歩への対応や、建物の一部が老朽化していることから、新長田駅近くの長田区若松町に移転する計画が進められています。
当初予定では2024年度に着工し、2028年度に開院予定でしたが、全国的に大規模工事が相次いでいることから職人が不足し、着工が見込めないことから「2031年夏ごろ」まで開院が延期となっています。
かかる事業費は当初「約340億円」でしたが、建設工事費の高騰などで想定の2倍の「688億円」までに膨らむ見込みに。
しかし開設延期に伴って事業全体を見直し、現在の試算では、事業費は「605億円」になるそうです。
項目内容基本計画見直し前見直し後設計・
管理費等・基本設計
・実施設計
・設計監理 など15億円23億円20億円建設工事費・本体工事
・駐車場
・外構 など243億円522億円454億円医療機器等
整備費・医療機器
・情報システム
・什器・備品 など50億円50億円50億円その他費用・利息
・移転費 など32億円93億円81億円合計340億円688億円605億円
概算事業費の内訳はこんな感じ。
見直したのは、1床あたりの床面積を約100㎡から約95㎡にしたことで「50億円」、職員駐車場の廃止で「17億円」、受変電設備などの建物設備の見直しで「16億円」を圧縮したそうです。
※床面積参考:「中央市民病院」が99.3㎡/床、西神戸医療センターが96.6㎡/床
事業費とあわせて、収支計画も再度試算。基本計画では「開院2年目」に単年度収支黒字を目指していましたが、建設工事費の高騰による減価償却費の負担がさらに増えることで、黒字化は「開院7年目」になる見込みに。
画像:新西市民病院整備基本計画の変更について 資料より
今後のスケジュールは、2025年度に基本設計を完了し、2026年度に工事入札の公告・着工、2031年度夏ごろに開院予定です。
着工タイミングの時期にはさらに建設工事費が高騰している可能性もありますが、当初計画されていた医療機能を維持しつつ、可能な範囲で経費を削減することで、市民の理解も得られそうです。