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小さな古道具の美術館、見附市の「shutter²」。

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小さな古道具の美術館、見附市の「shutter²」。

見附市の「フラスコ」を、みなさんはご存知でしょうか。1階に日替わりのコーヒースタンドが入り、2階に「shutter²」という古道具屋さんの入ったこの場所、コンセプトは「小さな美術館」なんだとか。このお店ができた経緯や、古道具のことなどを、「shutter²」 の五十嵐さんと松井さんに聞いてきました。

shutter²

五十嵐 弘一 Koichi Ikarashi

1985年見附市出身。東京の大学で建築を学び、卒業後は都内の建築事務所で働く。その後、新潟に戻り公務員として10年働く。2023年に実家の車庫を改装し、ヒト、モノ、コトが出会う場所として「フラスコ」をつくる。松井さんとともに、5月から「shutter²」をはじめる。最近の趣味は子どもと虫取りに行くこと。

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松井 貴之 Takayuki Matsui

1986年燕市出身。県内の短大を卒業後、印刷会社やコーヒースタンドなどで働く。7年前から自身で焙煎もはじめ、現在は「原型」という名前で「フラスコ」やイベントなどでコーヒーを提供している。五十嵐さんに誘われ、「shutter²」をともにはじめる。趣味は読書と散歩。

古道具が好きなふたりがはじめた、小さなお店。

——「shutter²」は五十嵐さんと松井さんが一緒にはじめたお店なんですね。まず、おふたりがこれまでどんなことをされていたか、教えてください。

五十嵐さん:大学を卒業した後、都内の建築事務所で働いてから、新潟に帰ってきて公務員として働いていました。その後、実家の車庫を改装して「フラスコ」という場所をつくったんです。実家が大工をやっていたのもあって、資材倉庫でもあったんですが、最近は使われてなくて。それなら、お店をつくったら面白いかなと思ったんです。

松井さん:僕は短大を卒業した後、いろんな職を経験しました。その中で、アパレルショップの中にあるコーヒースタンドで働くことになって。それよりも前からコーヒーを淹れたり、カフェを巡ったりしていました。7年くらい前から「原型」という名前で豆の焙煎をはじめて、その後「フラスコ」でコーヒーを淹れることになったんです。

——ということは、おふたりは「フラスコ」で知り合ったんですか?

五十嵐さん:いえ、見附市の「今町商店街まちあるきマルシェ」で知り合いました。僕の奥さんがやっている「aiueomise」というお菓子屋さんと「原型」 さんが出店していたんですよ。

松井さん:僕はそのときコーヒーを提供できる場所を探していて、「フラスコ」の1階を借りられるかも、っていう話を聞いていて。五十嵐さんに声をかけたんですよね。

——その後、ふたりで「shutter²」をはじめたんですね。

五十嵐さん:もともと、「フラスコ」の2階はレンタルスペースとして使っていました。その中で、古道具屋さんをやりたいなとは思っていて、「ひとりでもやってみようかな」と考えたことはあったんですけど、なかなか踏み出せずにいたんです。松井さんと話すようになって、お互いの価値観や審美眼のようなものが合っているな、と思うようになって。

松井さん:僕も、もともと古道具は好きで、いつか自分のお店を出したら古道具も一緒に販売しようと思っていたくらいだったので。

——そもそも、おふたりが古道具好きになったきっかけは?

五十嵐さん:僕はここを改装していたときに、ずっとそこにあった桐のタンスを見つけて、使えるようにきれいにしたのがきっかけでしたね。古いものでも、手をかけてあげれば朽ちずにまた使えるようになることが、すごく面白いなって思ったんです。

松井さん:僕はコーヒースタンドで働いていたとき、古いミシン台を再利用したドリップスタンドを使っていたんです。使っていくうちに風合いや色味が変化していくのが面白くて。そこから古道具を日常的に取り入れるようになりましたね。

名もなき誰かの作品を手に取れる、小さな美術館。

——「shutter²」という名前の由来は?

五十嵐さん:名前には、ふたつの「シャッター」が掛けられています。ひとつは、ふたりの共通の趣味である、写真を撮るときのカメラのシャッター。2つ目は、車庫だったときから建物にシャッターがあったことから。それでこの名前にしました。僕と松井さんのふたりでやっているお店なので、名前の後ろに「²」をつけたんです。

——そんな「shutter²」のコンセプトは「小さな美術館」です。

五十嵐さん:古道具を作品として捉え、展示するように並べて、各商品にキャプションをつけています。キャプションのタイトルは、直感で考えたり、古道具を概念的に捉えたりして名付けています。

——どうして「小さな美術館」をコンセプトにしようと思ったのでしょう。

五十嵐さん:道具って、誰かに使われていた「味」を感じられるのが好きで。ずっと捨てられずに誰かの手に渡り続けるところが、長い間愛され続ける美術作品とすごく似ているな、と思ったんです。美術作品はすべて一点ものですよね。僕は古道具も「名もなき誰かがつくった作品」だと思っていて、美術作品と同じく一点ものと捉えることができますし。

——そう捉えると、古道具の見え方が変わりますね。

五十嵐さん:ここには、僕と松井さんの心を動かされたものを展示、販売しています。ふたりの美的感覚が似ているとはいえ、それぞれの好みの違いもあるので、そこも含め楽しんでもらいたいですね。

——「作品」たちの展示の仕方にも、こだわりが?

五十嵐さん:コンセプトは主に僕が考えていますが、かたちにしてくれるのは松井さんなんです。展示に使っている什器の中には、使われなくなった足場板を使っているものもありますよ。

松井さん:ディスプレイするとき、美術館で作品を觀るように、店内を回遊できることを意識して配置を考えています。

過ごし方も、美術館のように。「shutter²」だからできる、古道具の見せ方。

——「shutter²」で古道具を見てから、コーヒーを飲んでひと休みできる……。本当に美術館みたいな楽しみ方ができますね。

五十嵐さん:そうなんです。カフェが併設されている美術館って結構多いですよね。それと同じように、作品に見立てた古道具とコーヒーはいい組み合わせなんじゃないかなと思っています。。

——こちらには、「aiueomise」さんとのコラボ商品があると聞きました。

五十嵐:「あんこガトーショコラ」ですね。これも美術館のミュージアムショップでお土産を買うように、「shutter²」にも持ち帰れるお土産がほしかったんです。使っているあんこは僕が炊いていて、「原型」のコーヒーともよく合うと思いますよ。

——古道具のお店で、こういった楽しみ方ができるのは新鮮だなと、改めて感じます。

松井さん:古道具も美術作品も、生活の中で必ずしも必要ではないものだと思うんです。でも、自分の生活に取り入れると、より豊かに感じることも多い気がしていて。古道具の魅力や美しさを、いろんな方に伝えていけるような場所になっていけたらいいなと思っています。

——5月からお店をはじめてみて、いかがですか?

松井さん:自分たちが「こんなのあったらいいな」と思う古道具を選ぶのが、すごく面白くて、楽しいんです。販売することも楽しいんですが、僕としてはここに置いてあるだけでも満足しています。

——今後の「shutter²」としての目標を教えてください。

五十嵐さん:他のお店や人とコラボして、一緒に何かをやっていきたいですね。大きなイベントっていうよりは、そこまで大きくない、日常的なイベントみたいなものを。そのために、他のお店の方との関わりも増やしていきたいと思っています。あと、「shutter²」は僕たちの活動を広げるための場としても使っていきたいんです。

——と、言いますと?

五十嵐さん:店名の由来にもなっていたように、僕らは趣味で写真を撮っていて。店内には僕と松井さんの作品も展示してあるので、古道具と一緒に楽しんでもらえると嬉しいですね。写真以外でも、お互いの活動がより広がっていくようなことができたらいいなと思っています。

shutter²

見附市学校町1-11-27

月曜〜金曜

10:00-16:00

予約制

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