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「カフェ店主が強盗を返り討ちに」「なぜそんなに強い?」謎多き男の過去を追う『レオ:ブラッディ・スウィート』

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「カフェ店主が強盗を返り討ちに」「なぜそんなに強い?」謎多き男の過去を追う『レオ:ブラッディ・スウィート』

ナメてたカフェ店主が…最強すぎた!

カフェを経営している妻子持ちの柔和な男が、強盗に襲われたことから豹変。明らかに常人ではない無双ぶりを発揮し悪人たちを瞬殺する……。まるでデヴィッド・クローネンバーグ監督の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005年)のような展開だが、これはインド・タミル語映画の『レオ:ブラッディ・スウィート』のワンシーンだ。

6月20日(金)より劇場公開中の『レオ:ブラッディ・スウィート』は、そのものズバリ『ヒストリー~』に着想を得たアクション映画。とはいえクローネンバーグ印のじっとりダークな作風とは印象は大きく異なり、独自要素をたっぷり盛り込んだエンタメ大作に仕上がっている。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

『レオ:ブラッディ・スウィート』~あらすじ~

インド北部、ヒマーチャル・プラデーシュ州シムラーに近いテオグの町。カフェを経営し、動物保護活動家でもあるタミル人のパールティバンは、妻と2人の子供とともに平穏な暮らしを営んでいた。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

しかしある時、シャンムガムが率いる凶悪な強盗団が一帯を荒らしまわり、夜にパールティバンのカフェに侵入する。レジの現金を渡してその場を収めようとするパールティバンだったが、女性スタッフと彼自身の娘に危害が及びそうになり、反撃に出る。驚くべき身体能力で5人の敵をあまりにも手際よく仕留めた彼に、周囲の人々は唖然とする。

事件が大きく報道されると、彼を標的として複数の闇の勢力が動き始める。その中には彼を“レオ”と呼んでつけ狙う謎の男たちもいた。“レオ”とはいったい何者なのか――?

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

ケレン味たっぷり! 映画2~3本ぶんの満足度

いわゆる「ナメてた相手が……」的な展開に始まり、過去の因縁がじわじわと滲み出てくる展開は昨今のタミル語映画らしいサスペンスみにあふれている。そして本作は『囚人ディリ』(2019年)~『ヴィクラム』(2022年)に続く、ローケーシュ・カナガラージ監督の手掛ける<ローケーシュ・シネマティック・ユニヴァース(LCU)>の第3作にあたり、タミル語映画のニューウェーブを味わうことができる作品でもある。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

本作は、前述の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』とは別作品として観るべき内容(趣向を変えたオマージュはあり)で、全体的な雰囲気はむしろ韓国ノワールなどに近いか。もちろんケレン味はその比ではなく、要所でしっかりと見栄を切ってくれるのでアニメ作品のように秒で没入できるだろう。もちろん冒頭のワイルドアニマル要素も注視しておきたい。

アクションシーンも刃物や鈍器メインのアグレッシブなもので、豊富なバイオレンス描写が緊張感を高めてくれる。また、絶妙な配分のパート立てによって160分という長尺を感じさせない構成が見事で、各40分4話のシリーズをイッキ観しているような分かりやすさはインド映画初心者にもありがたい。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

タミル語映画入門にも最適? 深堀り欲求を刺激する注目ユニバース

主演のヴィジャイは個性の異なる2役を難なく演じてみせるほどの名優なので、本作の主人公パールティバンの2面性も見事に表現。立派なヒゲを装備しているものの相変わらずのベビーフェイスで、本作ではガイアにもっと輝けと囁かれたかのようなボリューミーなヘアスタイルが特徴だ(その理由は後半でなんとなく分かる)。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

前半と後半でまったく違う映画のようなバイブスを放ち、もはや数え切れないほどの超大人数ダンスシーンで心拍数をブチ上げてくれる本作。とにかく<LCU>云々を抜きにしても、初見の観客も問題なく楽しめるであろうエンタメ度の高さなので、タミル語映画を遡って観ていくためのファーストステップとしても最適ではないだろうか。

『レオ:ブラッディ・スウィート』© Seven Screen Studio

『レオ:ブラッディ・スウィート』は6月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中

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