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中禅寺湖でブラウントラウトの「解禁延期要請」が解除 原発事故の影響薄れる

TSURINEWS

ブラウントラウト(提供:PhotoAC)

人気の釣魚であり食べても美味しいブラウントラウト。超有名釣りポイントの湖でも自由に持ち帰ることが可能になりました。

中禅寺湖でブラウントラウトの「解禁延期要請」が解除

栃木県奥日光に位置する全国有数の天然湖・中禅寺湖。様々な魚が釣れ、特にマス類の種類が多いことからファンからは「聖地」と呼ばれています。

中禅寺湖(提供:PhotoAC)

そんな中禅寺湖で先月半ば「ブラウントラウトの漁業解禁延期要請」が解除されたというニュースが発表されました。

解禁延期要請解除と聞いても、知らない人には全く意味がわからないと思いますが、これは栃木県の漁業については大きな意味を持っています。

栃木県内の水産物の規制は全て解除

ブラウントラウトはサケやニジマスと同じサケ科の魚で、中禅寺湖には放流によって定着したものです。そんなブラウントラウトがなぜ「漁業解禁延期要請」されていたのかというと、東日本大震災による原発事故の影響が続いていたからです。

ブラウントラウト(提供:PhotoAC)

奥日光の雄大な山を水源とする中禅寺湖は、原発事故によって放出された放射性物質による汚染の規模が大きく、その影響で事故後、多くの魚が出荷できなくなってしまい、漁業に多大な悪影響がもたらされました。

しかし時間が経つにつれ、徐々に放射性物質の検出量が減少し、2016年にはヒメマスが、2021年にはニジマスが放射性物質の基準値を下回り、出荷可能となりました。そして今回ブラウントラウトも基準値を下回り、延期要請が解除、すなわち漁業が解禁されたのです。

そしてこれにより、中禅寺湖の魚で漁業解禁延期要請が行われているものがなくなり、あらゆる漁業権魚種の漁業、出荷が可能となったのです。

「生体移植」は厳禁!

しかしこのことは、環境保護の側面から見ると多少の不安が残るものでもあります。というのも、ブラウントラウトはいま各地の河川や湖において多大な被害をもたらしている有害外来種だからです。

水中のブラウントラウト(提供:PhotoAC)

ブラウントラウトは幼魚から老成魚に至るまで強い魚食性があり、在来の魚を盛んに捕食します。これが侵入した北海道など寒冷地の河川ではブラウントラウト以外の魚が極めて少なくなっているようなところもあり、今のままではブラックバスやブルーギル道路に、特定外来生物リスト入りもありうるのではないかと言われています。

中禅寺湖においては人気が高く愛される魚ですが、他の地域では招かれざる存在というのがブラウントラウトなのです。中禅寺湖で採れたものを他の水域に放すようなことは厳に慎むべきと言えるでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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