昭和56年創業。オフィス街の一角に佇むレトロな喫茶店「コーヒー&キッチンひろまりこ」【福岡市博多区】
いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡にあるそんな「昭和レトロを感じられる喫茶店」や「ネオ喫茶」をご紹介していきたいと思います。
博多駅前のオフィス街の一角に佇む「ひろまりこ」
今回ご紹介する「コーヒー&キッチンひろまりこ」の場所は、福岡市博多区博多駅前3丁目。
博多駅前3丁目と言えば博多駅西側一帯に広がる一大オフィス街。その南側を走る「東林寺通り」を歩いていると、真っ赤な立て看板が目に入ります。
こちらの立て看板が「ひろまりこ」の目印です。博多駅からここまで、徒歩でほんの7分ほどです。
看板と同じく真っ赤なオーニング。オフィス街の中で独特の存在感を放っています。
エントランスにはいくつかの案内板があります。特筆すべきは入り口からトイレまでがバリアフリーとなっている点。
さらに車椅子の方はポストの中の呼び鈴を押すと、中からお迎えに来て入店をサポートしてくれるそうなのです。素敵なサービス精神ですね!
花壇から勇壮に伸びる太い木は「椨(たぶ)の木」という種類。オープンから2年後の「一九八三年」に植えられたもの。
そんな「椨の木」に吊り下げられているのは「雀のモーニングあります」「目白のモーニングあります」という木の札。
これはお店の前でスズメやメジロのエサを与えていることを鳥たちに伝えるための案内板なのです。遊び心が感じられますね。
入り口のドアにはオープン年である「1981」の文字が記されていますよ。
懐かしさと温かみを感じるアットホームな店内空間
ドアを開けるとまず目に入るのが、丸いカーブを描いたカウンター席。
これまでいろんな方々がこのカウンター席で語らいを楽しんでいたことでしょう。
こちらは木製のテーブル席。ベンチタイプの椅子の座面にはクッションが置かれており、座りやすいよう配慮されています。
テーブル席の横の飾り棚は季節ごとに飾るアイテムを変えているそうです。
ちょうどこの日は節分が近いということで、鬼のオブジェがたくさん飾られていました。
カウンター裏のカップボードには、いろんな種類のカップがズラリと並んでいます。
店内の至る所に様々な置き物が飾られています。こちらは千客万来を祈願した猫の置き物。
壁面には老眼鏡まで完備されてます!
取材中、店主の寛子ママが「ほらほら!」と指を指した先には、なんと一匹のメジロが!
どうやら近くの住吉神社に生息しているらしく、このようにたまに遊びに来てくれるんだそうです。
店頭の「目白のモーニングあります」の案内板、本当に効果があるのかもしれません。
しかし、都会の博多駅前にメジロがいること自体が驚きです!
「ひろまりこ」の歴史
オープン直後の「ひろまりこ」。レンガ調の壁や真っ赤なオーニングは今でも健在。花壇の立派な椨の木も、この頃はまだありませんでした。
今回ご紹介している「ひろまりこ」の店主は池松寛子ママ。
寛子ママは福岡県中間市のご出身。20代半ばのころから福岡市にお住まいになられ、OLとしてご勤務されていたそう。
同じ会社の同僚だった「まりこさん」と仲良くなり、やがて「二人でお店をやろう!」と意気投合。寛子ママが34歳になった昭和56年(1981年)12月、「コーヒー&キッチンひろまりこ」をオープンされました。
個性的な「ひろまりこ」という店名は、「寛子」「まりこ」という二人の名前を組み合わせたものだったのです!
オープン当初の寛子ママ(左)とまりこさん。
そんな二人でスタートした「ひろまりこ」。しかし、いざお店をオープンしたのは良いものの、実は二人とも飲食業の知識はほぼなかったそうなのです!
何をどうすれば良いかさっぱりわからないながらも営業を続けているうちに、救いの手を差し伸べてくれたのが「ご近所の店主さん」、そして「お客さん」でした。
今ではオフィスが立ち並ぶ博多駅前3丁目ですが、オープン当時はまだ個人経営のお店があちこちにあり、そんなご近所の店主さんたちが見るに見かねていろいろと手助けをしてくれたんだそうです。
また、日々来店するお客さんからも接客やメニューについていろんなアドバイスを受け、お客さんの声に誠実に耳を傾けながら営業を続けてこられました。
そんな「ひろまりこ」ですが、相棒のまりこさんはオープンの4年後にご結婚のためお店を離れることに。それ以来、寛子ママとアルバイトさんだけでお店を切り盛りをし続け、2024年12月にはめでたく創業43周年を迎えられました。
オープン時のチラシ。43年の時が経過しましたが、今でもこの頃の気持ちを変わらず持ち続けているそうです。
朝・昼のお食事がメインのメニュー構成
それではメニューのご紹介。
メインとなるお食事メニューは8:00〜10:30の朝食、11:30〜15:00の昼食の2分制になっています。(夕食は現在おやすみ中です)
なお、ドリンクメニューやトーストは全時間帯でオーダーできます。
朝食は洋食と和食の2種類から選べます。今回は洋食をオーダーしてみました。
内容はトーストにサラダ・ゆでたまご・マグカップに入ったミニ味噌汁とコーヒーが付いて税込650円です。
バターたっぷりのトーストはカリッカリに焼き上がっており、トーストにはカットバナナも添えられています。
注目すべきはマグカップで提供されるお味噌汁。トーストに味噌汁!?とちょぴり戸惑ったのですが、これが意外にも相性ばっちり!しかもこのお味噌汁がとっても美味しかった!
コーヒーは昔ながらのサイフォン方式で抽出。食後のコーヒーはやっぱり至福の味ですね。
愛煙家に朗報!「ひろまりこ」は店内喫煙OKです!
最近の博多駅界隈は喫煙スペースが少ないので、近隣の愛煙家の方々にとってかなり重宝な存在になっているんだとか。
ちなみに、こちらのおしぼりは使い捨てではなく店名が刺繍されたオリジナル。寛子ママの義理の妹さんが一枚づつ手で刺繍されているそうです。
使い捨てが便利な世の中になりましたが、「物を大切に使う」という古き良き時代の精神は今なお生き続いています。
日々発展を続ける博多駅前エリアに創業して43年。かつてまわりにあった個人経営のお店もそのほとんどが姿を消してしまいましたが、この「ひろまりこ」だけは昔から変わらぬスタイルで営業を続けています。
まるで昭和にタイムスリップしたかのような古き良き時代の喫茶店「ひろまりこ」。ぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。
コーヒー&キッチンひろまりこ
住所:福岡市博多区博多駅前3丁目7−3 皐月マンション博多1F
TEL:092-473-5889
営業時間:8:00〜17:00
定休日:土・日・祝日および月曜日(木曜日のみ17:00〜20:00ドリンクのみ提供可)
喫煙:可