噛まれても好き!<イシガキフグ>で作った癒しのフグ提灯【私の好きなサカナたち】
Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・草間あやめさんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。
黒目がちでうるうるした瞳や、のんびりと泳ぐ姿がとっても可愛いイシガキフグ。でも実は、噛まれると非常に痛いんです!
私の好きな魚の一種であるイシガキフグの興味深い生態と、自作したフグ提灯をご紹介します。
イシガキフグの膨らむ体の仕組み
イシガキフグは身の危険を感じると、胃の一部が変化した「膨張のう」という袋に水や空気をため混んで、体を膨らませます。
このとき、なんと体重の2倍~4倍もの水を飲み込むことができるんです。体を大きく見せることで、外敵を威嚇し身を守っています。
また、イシガキフグのとげはハリセンボンに比べて短いのも特徴のひとつです。
噛まれると危険!
イシガキフグは甲殻類や貝を噛み砕いて食べるため、顎の力が非常に強いです。
実は筆者、過去にうっかり親指を噛まれたことがあるんです。強靭な歯に親指ががっちりとロックされ、イシガキフグの口からなかなか離れず本当に困りました。
痛みに悶えながら、なんとかイシガキフグの歯をこじ開けて大事には至らなかったのですが、もし噛まれたのが親指ではなく小指だったら…と思うとゾッとする程の痛さでした。
それもそのはず、イシガキフグには「歯板(しばん)」と呼ばれる板のような歯が上下に1本ずつあり、顎の力はワイヤーも噛み切るほど強いのです。
イシガキフグに触れる際には、絶対に噛まれないように注意してください。
癒しの<フグ提灯>を作ってみた
しかし、噛まれてもイシガキフグへの愛は止まりません。そこで、“Myフグ提灯”を作ってそばに置くことにしました。
捌いても可愛いイシガキフグ
まずはお腹を切って、身を綺麗に取り出します。すると、体内からこんな可愛いパーツが!
これが、イシガキフグの「浮き袋」。これまで魚を捌く際、いろいろな浮き袋を目にしてきましたが、個人的にはダントツに好きな形の浮き袋です。
ネコミミのような、ウサミミのような、可愛らしい形。目を描いてキーホルダーにしたくなりましたが、家族に止められたのでやめました。
綺麗な形を保つために
身を綺麗に取り除いたらキッチンペーパーで皮の水気をとり、数日間乾燥させます。
このとき、皮の内側に膨らませた風船とキッチンペーパーを入れて、形が崩れないようにします。
お腹は、皮が柔らかいうちに透明な糸で縫い合わせます。
ヒレの形も綺麗に保ちたかったので、透明なビニールフィルムでヒレを挟み、数日間乾燥させました。
いよいよ完成!
全体が乾燥してきたら中の風船を針で刺してしぼませ、口やヒレの付け根にある隙間から、ピンセットを使って取り出し、完成です。
中に小さなライトを入れて灯してみると、幻想的で綺麗ですよ。
筆者にとってお気に入りの癒しアイテムです。
食べても美味い、飾っても癒されるイシガキフグ
ちなみに身は、沖縄の名物料理でもあるアバサー汁にして美味しくいただきました。食べても美味い、飾っても癒されるイシガキフグの魅力が伝わったでしょうか。
でも、海で出会った際にはくれぐれも噛まれないように気をつけてくださいね。
※補足:イシガキフグを含むハリセンボン科の魚は、フグ毒であるテトロドトキシンを含有しないという特徴があります。そのため生息数の多い沖縄などでは食用にされており、「あばさー」と呼ばれて人気のある食材となっています。一方でフグの仲間ではあるため、法律上は肝臓や卵巣が販売禁止となっており、流通させることは禁止されています。これはあくまで売ってはいけないと言うだけで、自分で手配したものを食用にすることは、現時点では問題ありません。自己責任のもと、他人に提供せず自分だけで食べましょう。なお、フグは種類によって毒を含む部位が異なるため、判別がつかないフグの喫食は控えましょう。
(サカナトライター:草間あやめ)