【横浜市港北区】新羽高校2年生 飴細工で“バズ”狙う Z世代×伝統工芸の融合
港北区の県立新羽高等学校(勝股正校長)の2年生全10クラスの生徒らは現在、日本の伝統文化・技術である「飴細工」の課題解決に挑んでいる。一人の飴細工アーティストを依頼人に、現代の若者が得意とするSNSを駆使して、その魅力をどのように発信するか、思案を巡らせている。
生徒の可能性を信じて
この取組みは、2年生の論理国語を担当する森拓也教諭が発案したもの。森教諭は、「生徒自身が自分の可能性を信じ、学校から飛び出し、社会とつながることで大きく成長してほしい」という強い思いを抱いていた。そこで、生徒らが日頃から慣れ親しんでいる動画制作を軸に、社会的課題を解決するプロジェクトを計画。社会問題の解決を目的とした事業を展開するNPO法人SoELaに協力を求め、後継者不足に悩む「飴細工」をテーマに選んだ。依頼人は、飴細工アーティストの蜜咲ばぅさん。彼女から出された依頼は「飴細工の魅力を現代文化として再発見し、後継者不足の改善や文化認知の拡大を目指してほしい」というものだった。
プロジェクトの初日、9月2日に蜜咲さんが来校。取材を行った2年9組の論理国語の授業で、生徒らの目の前でペガサスなどの飴細工を実演した。あっという間に形作られる繊細な飴細工に、生徒たちは「すごい」「おお」と歓声を上げた。実演後には、生徒ら11人が実際にウサギの飴細工作りに挑戦。すぐに固まってしまう繊細な飴に「難しい」と苦戦し、蜜咲さんの職人技を実感した様子だった。
「バズる」発想で
体験後、蜜咲さんは改めて生徒らに依頼内容を説明。日本の伝統芸能である飴細工が、後継者不足や保健所の規制、手軽な現代のスイーツに押されている現状を訴えた。これに対し、生徒らからは前向きな声が上がった。鈴木由奈さん(16)は「TikTokが一番”バズる(=ネットで大きな話題になる)”と思います」と、すでに発信プラットフォームの具体的な考えを述べ、「今の子たちにとって飴細工が身近になるきっかけをつくりたい」と意気込みを語った。新家聡馬さん(同)も「懐かしいものが流行っている今、SNSを通じて貢献できることがたくさんあると思う」と話した。森教諭は授業の最後に「仕事として、責任をもって取り組んでほしい」とプロデュース活動への真剣な姿勢を求め生徒らに呼び掛けた。
今後生徒らは、4人1組のチームで、1分程度の縦型ショート動画を制作する。提出された動画は11月17日(月)〜21日(金)のクラス発表を経て、来年1月の学年発表で最優秀作品が決定する予定だ。