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奇跡の出会いが話題に 約1000km離れて住むフォロワーが旅先で「隣部屋どうし」

おたくま経済新聞

普段900km離れたフォロワー同士と偶然宿で隣部屋同士となった「一人旅研究会」栗原悠人さん(@hitoritabiken)のXポスト

 日常を離れ、いつもと違った景色に身を置く体験ができるのが一人旅の魅力ですが、ふとした場所で思わぬ知り合いに出会うことも。しかも宿の隣の部屋に……! そんな驚きの出来事がSNS上で話題となりました。

偶然隣同士の部屋であることに気づき、「壊れかけのRadio」さんにコンタクトを試みる栗原さん

 驚きの出来事に遭遇したのは、旅情や郷愁を求めて全国を一人旅し、出会った素敵な景色を写真集や動画として紹介する「一人旅研究会」運営の栗原悠人さんと、普段は会社員をしながら、週末にふらっと公共交通で旅に出ることを趣味とする「壊れかけのRadio」さん。

 ふたりが訪れたのは、かつて水運で栄え、幕末から明治にかけての風情が残る、徳島県三好市井川町。宿泊したのは、木造の素敵な雰囲気を持つ老舗の旅館・勇楼旅館でした。

 まず、壊れかけのRadioさんが宿泊先の宿の写真をポスト。それを見た栗原さんが「自分と同じ宿に宿泊しているのでは?」と気付いてコンタクトを取ったところ、なんと結果はまさかのビンゴ。

 それぞれ普段は千葉と福岡に住み、1000km以上離れたフォロワー同士。それが宿で隣同士の部屋に宿泊するという、奇跡的な出会いを果たしたのでした。

 それぞれどのような経緯で旅程を立て、「出会う」にまで至ったのか。栗原さん、壊れかけのRadioさんのおふたりに、背景をうかがいました。

■ たまたま気になっていた宿が一緒、仕事の都合で日程がずれて「同じタイミング」に

── 今回の旅の行き先と宿は、どのような理由から決められたのでしょうか?

栗原さん:夏の四国、特に沈下橋や山肌に張り付くように形成される集落を巡りたくて訪れました。普段は車中泊なのですが、夏は暑いので宿を取ることにしまして、どうせなら木造の素敵な和風旅館に泊まりたく、勇楼旅館に泊まりました。実はもう一軒、気になっていた宿があったのですが、その日はお休みだったので、そちらは諦めたという経緯があります。

壊れかけのRadioさん:以前も訪れたことのある町だったのですが、その際に勇楼旅館さんの佇まいに惹かれ、次この付近を訪れたときには必ず泊まろうと決めていました。それと今回は、地元を走る四国交通のバス路線を巡りたいという目的がありました。

── 宿泊先のみならず、宿泊日もぴったり揃うというところが驚きでしたが、日程はどのような経緯から決められたのでしょうか。

栗原さん:お盆休みは混むので、一週間ずらして会社の休みを取り、高速バス含めて4泊4日で訪れました。

壊れかけのRadioさん:基本的には土日に出かけているのですが、今回は仕事の都合で金土が休みになり、この日に出かけることとなりました。それがなければ栗原さんとお会いすることはできませんでしたので、それも含めて偶然が重なりました。

■ 「外れていたらやばいな」ドキドキを乗り越えた先に感動の出会い

── 部屋が隣同士ではないか、ということは、どのような点から気づかれたのでしょうか?

栗原さん:壊れかけのRadioさんが当日日中の投稿から、同じ徳島県内にいることは分かっており、宿から数駅離れた阿波池田駅辺りで泊まるんだろうな、と予想していました。さらに夕飯時の投稿で宿が同じだと分かり、更に投宿投稿の間取り、女将さんからの「自分の他に2組泊まっている」という情報から、お隣の部屋だと気づきました。

── 壊れかけのRadioさんへメンションしたときは、どのようなお気持ちでしたか?

栗原さん:万が一外れていたらやばいな、夜遅くにいきなり連絡されても困るよな……という想いはありましたが、以前から素敵な旅投稿をされていて気になっていたので、思い切って連絡しました。その後、メンションに気づいた壊れかけのRadioさんにトントン、と部屋の扉を叩かれて、「やっぱりw」と嬉しくなりました!

壊れかけのRadioさん:旅館好きの方を多数フォローしていると、フォロワー同士が偶然同じ宿に泊まるというのはごく稀にお見かけするような状況なのですが、それも年末年始やGWなど皆がこぞって出掛けているような時期のことで。こんな何でもない週末に、まさか自分が……と思いました。

■ 「お隣の部屋はフォロワーさんかも……」旅に新たなワクワクが

── 実際にお二人で会われて、どのようなやりとりをされましたか?

栗原さん:いつもの旅のスタイルや、共通のフォロワーさんの話、四国内のオススメの宿やその状況、今後の「ひなび系」の景色の行く末などのお話をしておりました!

壊れかけのRadioさん:栗原さんはブログでの発信や商業出版をされたりと、趣味活動を精力的に形にされており、私から見ると少し遠い場所に居る方、というイメージがありました。しかし実際に顔を合わせて会話してみると、仕事や普段の生活の話など、Twitterでは普段見えてこないようなリアルな場面の話題もあり、意外な共通点などにも気づくことができました。

── 奇跡的な今回の出来事について、率直なご感想をお聞かせいただければ幸いです。

壊れかけのRadioさん:こういうことがあるから旅は面白い、と改めて思いました。

栗原さん:相互フォロワーの方と数日違いで同じ宿に泊まっていたことは今まであって、同じ趣味を持つ人が似た系統の宿に泊まることは珍しくはないのですが、それでも全国に何百~数千もある「ひなび界隈」が好きな宿に、同一日に泊まるのは確率的に相当低いと思います。しかも四国から離れた関東と九州に在住している同士ですので、なおさらびっくりしました。こんな経験をしてしまうと、ひなびたお宿に泊まって他の宿泊客を見るたびに「あの方、もしかしてフォロワーさんなのかな?」って思うようになってしまいそうです(笑)

* * * *

 なんともドラマチックな、お二人の出会い。日常の外を感じるだけでなく、日常同士がシャッフルされて、思わぬ扉が開くのも、また一人旅の魅力なのかもしれません。

 現在、栗原さんが主宰する「一人旅研究会」が著者となった写真集「ノスタルジック写真集」がマール社から発売中。山里や海辺の町、温泉、宿など、全国の旅情・郷愁を感じられる風景を詰めこんだ、「行ったこともないのに、なぜか懐かしくなるような極上の空間」が詰まっています。「一冊で日本を旅した気分になれること間違いなしです!」(栗原さん)とのことなので、旅情をかきたてられた方は、ぜひチェックしてみてください。

<記事化協力>
一人旅研究会 栗原悠人さん(@hitoritabiken)
壊れかけのRadioさん(@k_radio6924)

<参考>
勇楼旅館

(天谷窓大)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024092902.html

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