給食アレルギー事故で上越市を提訴 児童の保護者「話し合いできずやむなく」
上越市立小学校で2024年9月、低学年児童が給食の時間にアレルギー症状で救急搬送された事故について、被害児童の保護者は2025年6月9日までに、学校側が安全配慮義務を怠っていたなどとして、市に110万円の損害賠償を求め新潟地裁高田支部に提訴した。
児童は重度の卵アレルギーで、市教委の発表では昨年9月9日、卵成分を除いた給食を食べ終わった後、手を洗いに行って教室に戻ったところ、同級生のかきたま汁の食器などが自席に置いてあり、左肘が食器に触れた。訴状によると、児童が腹痛や体のかゆみなど症状を訴えた後も、担任や養護教諭は児童を安静にさせず、内服薬を飲ませるなどの対応をせず、安全配慮義務を怠ったとしている。学校に駆けつけた母親が投薬と症状を抑える「エピペン」注射を行っており、市側は当初こうした事実を発表していなかった。
保護者は事故後、原因究明や児童への対応などのため市に対して直接の話し合いを求めてきたが、市側は学校の対応に不適切な点はなかったなどとして、事実上応じなかった。訴状は「関係者間の自主的な話し合いによる解決を期待したが市教委が応じなかったためやむなく訴訟提起に至った」と経緯を説明している。
保護者によると、児童は事故後約2か月間不登校になり、その後登校できるようになったものの、現在も給食は食べられず、別室で一人で弁当を食べているという。
保護者は取材に対し「事故から半年以上が経つが市側が話し合いや原因究明に協力してくれず、何も進んでいないし、子どもが安心して学校生活を送る環境も整っていないままだ。こうしたかたくなな対応を続けていては事故はまた起こる。考えを改めきちんと対応してほしい」と話した。
上越市では、4月22日にこの児童が通う小学校の給食に蛍光灯の破片が混入する事故が発生。5月10日には市営の交流体験施設で中学生12人に毒素成分を含むこんにゃく芋を誤って夕食で提供。5月13日には市立直江津小学校で漂白剤が混入した水を教員が誤って提供し、児童6人が飲む事故が起きている。
市は「代理人と協議して対応する」とコメントした。