ためらいながら申請した息子の療育手帳。取得したら親子の世界が広がって。シンママ育児奮闘記
会社員として働きながらイラストや漫画を執筆、そして子育てに奮闘するシングルマザーの「まる」さん。忙しくも充実した日々の中、まるさんは息子のリュウ君が通う保育園で、リュウ君が発達障がいかもしれないと指摘を受けてしまう。親一人子一人、ただでさえ大変なのにどうしたらいいのだろう...そうまるさんが思い悩む中で、息子は他の子に比べればゆっくりと、しかし確実に成長していく。そんな息子に寄り添ううちに、これは息子の個性かもしれないと思えるようになっていき...。
ときにつまずきながらも、一歩ずつ進んでいくまるさんと息子のリュウ君の日々を描いたコミックエッセイ『シンママのはじめて育児は自閉症の子でした』。その一部を紹介しつつ、それぞれのシーンを描いていたときの心情をまるさんに聞きました。
本稿ではリュウ君の育児に欠かせない、療育手帳を申請・取得したときのエピソードが描かれます。
療育手帳とは、知的障がい者に交付されるもので、福祉や民間事業者が提供するサービスや優遇措置を受けることができる。面談は必要だが、医師の診断書が必要だと思っていたまるさんは不要だと知って驚く。
「簡単なやり取りも難しいのは知っていたので、診断を受けているときも『やっぱりできないかー』と思いながら見守っていました」と話してくれたまるさん。中度寄りの軽度知的障がい。2才手前くらいの知能という結果が出た。
療育手帳が交付されることは、リュウ君の知的障がいを認めることに。複雑な心境のまるさん。でも、手帳があることがこれからのリュウ君とまるさんの生活のきっと助けになるはず...。
ーー療育手帳をどう活用していますか?
まるさん(以下、まる) 公共施設で割引してもらったり、遊園地などのアトラクションでは列に並ばず別の場所で待って入れたりします。息子は多動なため列に長時間並ぶことができないので、本当に助かります。せっかく並んで入ったのに、嫌がって泣かれてすぐに退散することもありますが、割引してもらえて、長時間並ばなくていい制度があると、息子に振り回されて結局楽しめなくても、「ま、いいか」と気持ちに余裕ができるんです。手帳が使える施設が意外と多いですし、息子と出かける楽しみが増えたので、申請して良かったです。
ーー漫画からは取得をためらう気持ちがあったのが感じられました。
まる 手帳の所持=息子の障がいを認めてしまうことだ、なんてイメージを持っていて、申請を躊躇してしまったんです。実は、当時は手帳についてきちんと調べたわけではなく、何となく手帳の割引など福祉サービスがあると聞いたことがあったので、息子と出かけるときに「使えたらいいなぁ」くらいの気持ちでした。
結果的に療育手帳はまるさんの子育ての大きな助けに。出かけるのが大好きなリュウ君と、色々な経験をさせてあげたいと思うまるさん。2人の楽しそうな休日が目に浮かびます。
「どうしてうちの子が!?」と悩み、苦しみながらも、少しずつ成長する息子の姿に力を得て、一歩ずつ前に進んでいくまるさん。発達障がいを「障がい」ではなく「個性」と思えるほど子どもに寄り添い、一緒に成長していく姿を『シンママのはじめて育児は自閉症の子でした』で見守っていこう。
※療育手帳のサービスの内容は、自治体によって異なります。漫画および記事では、まるさんの居住自治体のケースについて説明しています