坪ノ内 養国院 「思い出の遊具残して」 処分惜しむ園児の声で
市内坪ノ内にある大乗山養国院(宇都宮昌徳住職)の境内の一角に、幼児用の遊具がお目見えした。これは、宇都宮住職が理事長を務めていた相模原市の中和田幼稚園(齋藤淑子園長)が3月31日で閉園となったことから移転したもの。
同幼稚園は1966年4月、「正しく強くのびのびと」を掲げ、創立者の願いであった仏教の教えのもと、「自立と慈悲深い心、思いやりと感謝の心を忘れずに」をモットーに、明るく健やかな仏教情操教育による園児の育成に力を注いできた。
しかし、少子化や認定こども園のニーズの高まりなど、子育て環境の変化の波を受けて3年前に閉園が決定。このたび3月末をもって59年間の歴史に幕を閉じた。
閉園にあたり、遊具が廃棄処分されることを知った同園最後の卒園生7人の園児や保護者らから、「思い出がたくさん詰まった遊具がなくなってしまうのが寂しい」と処分を惜しむ声が上がった。そこで先代理事長から後を託され、8年前から同園の理事長を務めてきた宇都宮住職が「子どもたちの思いを少しでもかなえられるなら」と養国院で引き取ることを決めた。
遊具の移転については、ブランコや滑り台などの大型遊具は運ぶことが困難であることから断念。かろうじて軽トラックで運べる小型の遊具のみを引き取ることにしたという。また遊具は、長年にわたって多くの園児に愛されてきたため、塗装の劣化などがあったが、移転にあわせて塗りなおした。
宇都宮住職は「寺は敷居が高いと思われがちなので、気軽に遊びに来てほしい。この後鉄棒も移転させる予定なので、多くの方に足を運んでもらい、寺の存在を知ってもらえたらありがたい」と話す。
齋藤園長は「昭和の時代から園や園児たちを守ってきた遊具たちが、伊勢原の地で、新たに地域の方に利用していただけるのはうれしい。卒園児たちも学び、触れていた遊具を懐かしむことができるので喜んでくれるのでは」と語った。