雪深い名水百選の地、秋田・湯沢で酒造り一筋に400年 【福小町】木村酒造‐秋田県
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第271回目の当記事では、秋田県湯沢市(ゆざわし)の木村酒造(きむらしゅぞう)を特集します。
豊臣家重臣から400年続く伝統
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
元和元年(1615)年、豊臣家の重臣木村重成の一族が大阪夏の陣を機に秋田湯沢に居を移して造り酒屋を創業。
以来400余年、酒造り一筋の歩みを続けています。
江戸時代には当主が銘醸地伊丹に赴き酒造技術を学んだ後、現地より杜氏を招いたほか、山形県の大山からも杜氏を招くなど、当時としては類い稀な技術導入をしてまいりました。
―代表銘柄は?
「福小町」
明治14年(1881年)天皇秋田巡幸の際、木村家が侍従の宿舎となり、木村の酒を賞されて侍従から「福娘」の銘を賜わりましたが、その後、商標登録の関係があり、蔵にほど近い地にある小野小町伝説に因んで「福小町」と改めました。
―イチオシ商品はなんですか?
「福小町 大吟醸(山田錦)」
海外ではロンドンで開催されたIWC2012SAKE部門最高賞チャンピオンサケ受賞、日本国内では2013年より全国新酒鑑評会9回連続金賞受賞等国内外で評価の高い銘柄です。
上品な立香や口の中で広がる柔らかい含み香、そして喉越しのキレが楽しめます。
お薦めの飲み方:ワイングラスのように香りを閉じ込める大きな空間がある薄手の口当たりの良いグラス。涼冷え(15℃)がお勧めです。
地元料理との合わせ方:シャインマスカット、イチゴ
手造りとこだわりの特定名称酒造り
―酒造りで心がけていることは?
「手造り、こだわり、寒造り」をモットーに厳寒の期に時間を掛けて、手間を惜しまず、特定名称酒に拘ってお酒を醸しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
秋田県湯沢市はその名の通り、温泉の豊富な地域です。
秋田県で最古の温泉地「秋ノ宮温泉」、大噴湯の小安温泉郷、秘湯・泥湯温泉、また、日本三大霊山川原毛地獄など観光地としても恵まれた地域です。
かつては東北の灘と呼ばれた銘醸地であり、その他に稲庭うどんやいぶりがっこ、三関せり等の食材も豊富です。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
創業より400有余年酒造り一筋に歩んでまいりました。
全国的には知名度が低く、首都圏では百貨店の催事で、時々見かける程度だと思います。しかし、福小町は東京の高級料亭や有名寿司店でハウス酒として採用していただいております。
また、2013年に2020年東京五輪招致活動で、スイス・ローザンヌで開催された国際オリンピック委員会のプレゼンテーション会場で振舞われIOC委員の皆様をもてなしたのも福小町大吟醸(山田錦)になります。
今回ご紹介した酒蔵について
【秋田県】
株式会社木村酒造
秋田県湯沢市田町2丁目1番11号
http://www.fukukomachi.com/