「凍える時期も釣りを感じていたい!」真冬のオフシーズンの過ごし方
海水温が極度に落ち込む1月から3月の厳冬期は、沿岸の釣りはほとんどできない。餌でもルアーでもまともに反応する魚がいない。では、このオフシーズンには何をしてすべきものか、考えてみよう。
釣行は限られる冬
魚がまだ餌にもルアーにも食ってくる水温は大体12℃まで、と筆者は考えている。メバルのような秋冬の釣り物でも14℃が適水温で、またこの魚は12月頃に産卵期に入るので、いったん姿を消すことになる。カレイのようなこの時期独特の釣り物もいるが、安定して釣果を出すことは難しい。そもそもそのような冬の釣り物が反応するのも、1月上旬の、まだ12月の海水温をぎりぎり留めている時期の話。
当然ながら海水温が下がるということは、我々人間が地上で感じる気温も非常に低くなっている。1月下旬から2月といえば、一桁台もザラだ。風をさえぎる遮蔽物がない海では、マイナス2℃ほどは低く感じられるので、体感気温は零度以下と思って釣ったほうがいい。いや、そんな海で釣る気になれるだろうか?
――ということで、真冬、厳冬期の釣行はごく限られたものになる。
ステイホームで釣りに思いをはせる
では、どのように釣りができない寒い時期を過ごすか。暇つぶしの方法は様々だが、釣り人たるもの魚を離れない範囲でいうと、次のようなものだろうか。
釣り具のメンテナンス
ロッド&リール、ライン、ルアー、その他の仕掛け。補充も含めて、メンテナンスは必須だ。この時期だからこそ、徹底的にやりたい。いつも釣りにいく時間を割いてやれば、充実したメンテができる。
特に気を付けたいのが秋冬の釣り、最盛期に使用したロッドと、ラインだ。強度の高いPEラインを使用していると、どうしてもガイド周りに傷がつくことがある。ガイドリングに傷が入っているとそこでラインがささくれて、さらに傷も深くなるという悪循環を招くので、よくチェックしておこう。
釣りを題にした本のすすめ
今は「釣り漫画ブーム」で、いろんな漫画がリリースされている。『放課後ていぼう日誌』『カワセミさんの釣りごはん』『スローループ』などは、筆者も読んでいるが、なかなか良いと思う。
小説でもしばしば取り上げられる題材だ。芥川賞受賞作に『影裏』『夏の流れ』などがあるので、読んでみてほしい。
やるなら温排水周りを探そう
もし、どうしても釣りが我慢できないなら、少しでも海水温が温かいところを見つけるしかない。魚探で群れを見つけてピンポイントでアタックしてくれる沖船が一番いいが、陸っぱりでも「温排水」を探すという手段がある。
温排水とは、工業地帯から海に向けて排水されるもので、温かい。筆者も一部大阪湾奥にポイントを知っているが(入ることはできない)、湯気が立っているほどで、相当温かいみたいだ。そのような釣り場には、沿岸の居着きの魚が集まるはず。メバルを主として、シーバス、チヌなどの反応が期待できる。
温排水回りでなくても、不思議と魚が集まるポイントはあるもので、そんな場所をドライブがてら探すといいだろう。あるいは、根魚の魚影の密度を見るために、連日別の消波ブロックに乗ってもいい。
凍える時期も釣りを感じたい
筆者もほとんど今の時期は納竿してしまい、退屈している。しかしそのぶん家で本を読んだり、友人と食事をする機会を楽しんでいる。習慣的に釣りをしているとたまに、潮見表を見て常に行動の予定を決める自分を、「釣りに振り回されているな」と苦々しく思う。
今くらいの時期は、せいぜい自制しておいたほうがいい。別に釣り以外にも楽しいことはいくらでもあるのだから、多少浮気しても魚は何も言わないし、みなさまも心の寒さに凍えない冬を過ごしてほしい。
<井上海生/TSURINEWSライター>