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2001年生まれの後追い世代が語る “岡田有希子のファンが今でも増加している理由” とは?

Re:minder

1984年09月21日 岡田有希子のシングル「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」発売日(気まぐれTeenage Love 収録)

子供心にも度肝を抜かれた「Love Fair」


8月22日は岡田有希子さんのお誕生日。昨年はデビュー40周年、そして『7インチシングル・コンプリートBOX』の発売もあったので、Re:minderでは多くのカタリベが彼女についてのコラムを寄稿していた。そして今回はリアルタイム世代ではなく、後追いで彼女の楽曲に出会った私(2001年生まれ)だからこそ感じることを綴りたい。

私が “岡田有希子” というアイドルを認識したのは、様々なジャンルの音楽を広く浅く聴こうとしていた中学3年のとき。まだサブスクの音楽配信が主流になっていなかった当時は、中古レコードを買うか、レンタルCDを聴くか、ネットで軽く音源を聴く程度だった。そのときYouTubeでなんとなく再生したのが、1985年にリリースされたシングル「Love Fair」(作詞・作曲:かしぶち哲郎)だった。その瞬間、子供心にも度肝を抜かれた。

1980年代のアイドルといえば明るく元気な曲、かっこいいダンスミュージックといった印象が強かったが、この曲は良い意味でこの枠組みから外れていた。まるで神秘のベールに包まれた一輪の花のように、簡単に触れてはいけない―― 直感的にそう認識して “今の自分にはまだ早い” と、それから数年間はあえて彼女の曲を聴かずに過ごしていた。

「気まぐれTeenage Love」の恋する女の子の少しくすぐったい心情


もちろん現在では、彼女が歌った多くの曲を聴くようになったのだが、意外と等身大の女の子の気持ちを歌っていることに気付いた。他のアイドルの楽曲では少し背伸びした女の子が歌詞に登場することが多いが、彼女の曲は共感しやすい。なかでも「気まぐれTeenage Love」(-Dreaming Girl- 恋、はじめまして B面)の恋する女の子の少しくすぐったい心情が、当時片思いをしていた私の気持ちと重なった。楽曲を手掛けた竹内まりやさんの爽やかな世界と相まってお気に入りの1曲である。つまり、「Love Fair」のかしぶちワールドが少々難しかっただけだったのだ。

ところで余談だが、岡田有希子は “ポスト・松田聖子" と呼ばれていたようだ。たしかに、当時のミュージックシーンで活躍していたアーティストによって作品が作られている点や、楽曲路線が松田聖子と共通しているという点ではその呼び方もうなずける。だが、後追い世代の私からすると、その “順列” のような捉え方はしっくりこない。どのアーティストも唯一無二の存在なのだから、“第2の〇〇” というレッテルはふさわしくない表現だと考える。

岡田有希子のファンが今でも増加している理由


先述のように、私が聴き始めた頃に比べ現在はサブスクサービスで音楽を聴くのが主流になり、なおかつInstagramやTikTokなどのSNSが急速に発達した影響もあり、同世代の1980年代アイドルファンはかなり増え、存在も可視化されるようになった。

これまで後追い世代は、若干カルチャーへのアクセスがしづらく、年代ごとに壁がつくられていたように感じる。年代で区切ることは歴史の流れを俯瞰するうえで便利だが、作品が古ければ古いほど “古いもの” という先入観を持たれやすく、敬遠される傾向もあっただろう。しかし、特にYouTubeやサブスクサービスが主流になって “おすすめに出てきて聴いたらファンになった” と答える人が増えたのを鑑みると、作品の新旧を意識せず新鮮に受け止められる傾向が強まってきたのだろう。

岡田有希子のファンが今でも増加している理由は、このように彼女の存在や作品に初めて触れる入り口が格段に広がったことも大きいに違いない。そして、リアルタイム世代と後追い世代では決定的に視点が異なることがある。それは、後追い世代は作品を知った後で、彼女が亡くなっていることを知るケースが多いということだ。この順序で知ることによって、驚きや衝撃とともに、より一層その歌声や表現に特別な感情を抱くようになり、彼女がいた日々のことを知りたくなるのかもしれない。

今も毎年開かれる「佳桜忌」


岡田有希子という存在は、時を経てもなお多くの人の中で生き続けている。その象徴のひとつが、命日である4月8日に毎年開かれる『佳桜忌』だ。この日には50〜100人ほどのファンが集まり、花を手向けている。参加者のほとんどは当時からのファンだが、最近は20〜30代の若い世代も増えてきている。また、近くにあるBar Doctor Headでは、彼女の曲を聴きながらファン同士で彼女を偲ぶ時間を設けているとか。バーのオーナーである吉本真一さんはこんなことを言っている。

「YouTubeで彼女の存在を知って、毎年命日に訪れる若いファンもいる。世代を超えたファンの人たちが同時に思いをはせる姿を見て、忘れないことの美しさを実感した」


私たち後追い世代にとって、岡田有希子は決して “過去のアイドル” ではない。透き通る歌声や等身大の歌詞、ふとした表情や仕草―― そのひとつひとつが、今を生きる私たちの心にもまっすぐ届く現在進行形の存在である。出会うきっかけは違っても、その歌と世界観が響き続ける限り、彼女は私たちの中で生きている。その輝きを絶やさぬよう、岡田有希子という存在を愛し、語り継いでいきたい。

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