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私たちにしかできない、唯一無二の調べを、歌を。『バンドリ!』Morfonicaの2nd Album『Polyphony』に刻まれた、彼女たちの“今”と“これから”。二葉つくし役・mikaさん、八潮瑠唯役・Ayasaさんインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2025年3月に活動5周年を迎えたMorfonica。本作には、彼女たちが見つめる“現在地”を音で綴るリード曲「Polyphonyscape」をはじめ、心躍るクリスマスソング「Merry Merry Thanks!!」、ミステリアスな雰囲気漂う「ティリカモニカリラ」など、多彩な楽曲を全12曲収録。これまでの歩みを感じさせると同時に、未来へと進む意志を鮮やかに描き出す作品となった。

さらにBlu-ray付生産限定盤には、2024年10月に河口湖ステラシアターで開催されたMorfonica Concept LIVE「ff」を収録。バンドのルーツとも言える場所で繰り広げられた「forte」シリーズの集大成を映像でも体感できる。

そして、『バンドリ!』がアニバーサリーイヤーを迎える2025年。その中で、Morfonicaも3月に結成5周年を迎え、新たなライブ 「Rubato」 の開催が決定している。2nd Album『Polyphony』の調べ、歌に刻まれた、彼女たちの“今”と“これから”。Dr.二葉つくし役のmikaさん、Vn.八潮瑠唯役のAyasaさんに話を聞いた。

【写真】『バンドリ!』mika&Ayasaが語るMorfonicaの現在と未来。2nd Album『Polyphony』 インタビュー

「Daylight -デイライト- 」からはじまったライブの歴史

──MorfonicaとしてのフルAlbumは約2年ぶりになりますが、この2年間を振り返ってのお気持ちを聞かせてください。

Dr.二葉つくし役・mikaさん(以下、mika):前作の『QUINTET』(1st Album)がリリースされたのが2023年……ということですよね。今「もう2年経ったんだ」としみじみと思いました。ツアーもありましたし、コロナ禍が明けて、お客さんの声出しができるようになったことで、ライブの形も変わりました。それまでとは違うスタイルでのライブを経験することができましたし、1年をかけてコンセプトライブにも取り組みました。本当に濃密でしたね。

Vn.八潮瑠唯役・Ayasaさん(以下、Ayasa):『QUINTET』にも収録されている「誓いのWingbeat」が、私たちにとってすごく大事な曲になっていたんです。それからの2年間で、「誓いのWingbeat」は本当にたくさんの場面で演奏しましたし、ライブでもお客さんと一緒に作り上げる曲として育っていきました。前作から今日までの間で、うちら何回やったんだろう?と思うくらい(笑)。

さきほどmikaさんも声出しについて言及されていましたけど、コロナ禍が明けて、声出しが解禁されたことで、ライブの一体感が増しましたよね。「Daylight -デイライト- 」にも言えることですが、「Daylight -デイライト- 」を大事にしてきた自分たちのもとに、今度は「誓いのWingbeat」が届いて、それを大事に進んできた2年間という印象です。「アニサマ」など、新しいイベントにも参加させていただけるようになって。

──コロナ禍の終盤から現在にかけて、Morfonicaの楽曲も変化してきたと感じる部分はありますか?

mika:ありますね。前作の『QUINTET』の時は、「さあ、今からMorfonicaは羽ばたくぞ!」というイメージだったんです。でも、今回は「もうすでに進み始めている」という感覚があります。バンドの物語が動き出して、それがAlbumにも表れているなと。新しいモニカの曲調というか。バンドリーマーさんと一緒に楽しめるような曲が増えた印象です。

Ayasa:『QUINTET』が今からMonicaが羽ばたくぞ、という「スタート地点」だったとしたら、『Polyphony』はそこから前進した姿を描いている感じがしています。『ガルパ』(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)のストーリーの中でもメンバーの関係性がより深まっているし、学年も上がったことでキャラクターとしての成長も見える。だからこそ、楽曲の雰囲気にも変化が出ているのかなって思います。

──今回のAlbumを聴いたとき、みんなで楽しめる曲が増えた印象がありました。例えば、コール&レスポンスができる曲も増えましたよね。

mika:そうですね。Albumに収録されている「Tempest」なんかも、そういう雰囲気が強いと思います。

Ayasa:確かに。「Tempest」はソロ回しもあって、より一体感を感じられる曲になっています。まもなく5周年を迎えることもあり、バンドとして成長する中で、それぞれの楽器の見せ場も増えてきました。

──その変化は、意識的なものだったのでしょうか?

Ayasa:もしかしたらたまたまかもしれませんが、その間に発表した「forte」(2023年発売)を挟んで、今回のAlbumではましろちゃんを主軸に、メンバーそれぞれをフィーチャーした楽曲がちゃんと全部入っていて。

例えば、「Secret Dawn」は七深の曲、「One step at a time」は透子の曲というように、それぞれのキャラクターにフォーカスした楽曲がしっかり収録されているんです。で、「Merry Merry Thanks!!」はつくしが歌っていたり、「Steer to Utopia」は瑠唯のストーリーとリンクしていたり……そういう点でもバンドの個性がより明確になったAlbumだと思います。

──キャラクターとリンクした楽曲が増えたことで、より深みのある作品になったんですね。

Ayasa:そう思います。初期は曲調的にもバイオリンの存在感が強かったんですけど、それぞれの楽器がどんどん進化していって、特に透子のギターの成長がすごく感じられます。ましろちゃんの歌も、表現の幅が広がってきましたし、バンドとしての成長をAlbum全体で感じられると思います。

──まさに『Polyphony』というタイトルの通り、5人の音が重なり合って響くような作品になったんですね。

mika:いろいろな音が交じり合って、一つの音楽としてまとまる。バンドとしての今の姿をしっかり表現できたAlbumになったと思います。

Ayasa:今回はより「バンドらしい」楽曲が増えたなと感じています。「両翼のBrilliance」は特にベースがフィーチャーされていたり、イントロからバンド感が強まっている印象があります。

Poppin’Partyが切り拓いてくれた道を私たちも盛り上げたい

──ここからは少し話を広げて、この5年間の活動を振り返りたいのですが、お二人にとってMorfonicaという存在を言葉にするなら、どんなものになりますか?

mika:やっぱり「一緒に歩んできた存在」ですね。私たちは最初からこのバンドで活動してきて、ミュージシャン経験がないメンバーもすごく成長してきて。その子たちに触発されて、曲の中の物語性を意識するようになりました。Morfonicaがあるからこそ、自分自身も成長できたと感じていますし、これからも一緒に成長していきたいですね。

──5年間でリアルのメンバー同士の関係性も変化してきましたか?

mika:そうですね! 結成当初からすごく仲が良くて。リハーサルのあとにはお茶会をするのが恒例になっていて。Ayasaさんもいつも美味しいお菓子を持ってきてくれるんです(笑)。

Ayasa:お茶会しています(笑)。メンバーとの関係性はすごく変わりましたね。最初は「お互いどんな人なんだろう?」と探り探りだったんですが、今ではすっかり信頼し合える関係になっています。リハーサルでも、本番でも、それぞれの動きがなんとなく予測できるようになりましたし、5年間ずっと一緒に歩んできたからこそ、良い意味で気を使わずに過ごせるようになりました。本当に良い意味で、気を使わなくなったというか。

最初はステージで緊張していたメンバーも、今ではライブ前に落ち着いてお弁当を食べられるようになりました(笑)。特に我ら以外は初めての楽器を持ってのライブだったり、あまねすは初めてセンターで歌うことになったりと、いろいろな初めてがあったけど、どんどんと慣れていって。今ではそれが自然になってきていて、成長を感じます。

──『バンドリ!』プロジェクト自体も10周年を迎えて、その大きな歴史の中でMorfonicaは独自の存在感を持っているように感じます。

mika:ああ、確かに。さっきの話にもつながりますが、Morfonicaってそれぞれが自由に羽ばたいていて。もちろん 『バンドリ!』の一員として、一緒にシーンを盛り上げたいという思いでスタートしましたが、コロナ禍の影響でライブができない時期もあって、悔しいこともあったんですけども……でも、今はライブができる環境が整って、ようやく本来の勢いを取り戻してきたなと感じます。

そういう中で『バンドリ!』が10周年を迎えて、そのタイミングで、MorfonicaもAlbumを出すことができて。予想外の動きもしたいなって思っているんですよね。去年のリリースイベントでは、いろんな地域に行って、普段会えないバンドリーマーさんにも直接お会いできました。今年もまた、そういう機会が作れたらいいなと思っています。

──ということは、『Polyphony』を引っさげて、新たな動きが期待できるということですね?

mika:そうですね! ライブが終わったあとや、Albumがリリースされたときに、どんなことを考えていたかを振り返る時間も楽しいんですよね。新曲ができるたびにそういう機会を作っていけたらと思います。

──そういう意味では、このAlbumをきっかけに、これからの活動の可能性がさらに広がっていくということですね。

mika:すごく楽しみです。『バンドリ!』も10周年を迎えましたし、Poppin’Partyの皆さんが切り拓いてくれた道を、私たちMorfonicaもしっかりと盛り上げていけたらと思っています。

「Polyphonyscape」が答えを出してくれた気がする

──先ほど「Daylight -デイライト- 」の話がありましたが、「Daylight -デイライト- 」と「Polyphonyscape」の歌詞を比べると、バンドとしての成長がすごく感じられるように思います。「Polyphonyscape」を初めて聴いたとき、どんな印象を持ちましたか?

mika:これはリハーサルの帰りに話しましたね! 「この曲、めちゃくちゃ良いね!」って。

Ayasa:そうそう!すごく印象的だったのを覚えています。初期の頃は、ライブでお客さんと盛り上がるというイメージの曲よりも、じっくり聴き入るような曲が多かったんです。ライブでは「Daylight -デイライト- 」と「flame of hope」を軸にしつつ、カバー曲で盛り上げるような形で、セットリストを組んでいました。

でも、そこに「誓いのWingbeat」という火力の高い武器が加わって、ライブの流れが大きく変わったんですよね。今回のAlbumには「Tempest」や「両翼のBrilliance」のような勢いのある楽曲もありますし、そういう曲をやっているMorfonicaも素晴らしいなって思います。

でも……『バンドリ!』の中には、それぞれのバンドごとに「激しさ」のスタイルがあると思うんですが、いざやってみて、それの良さを知った上で「Morfonicaにしかできない音楽って何だろう?」と考えたときに、「ブルームブルーム」(2021年発売の2nd Single)や「ハーモニー・デイ」(同年発売の3rd Single)ができるバンドって他にいるのかな?と個人的に思っていて。「Polyphonyscape」がまさに答えを出してくれた気がするんです。

──具体的には、どのあたりにMorfonicaらしさを感じましたか?

Ayasa:この曲は、バンドサウンドがしっかりしていて、細かいフレーズも多いんですけど、決して勢いだけで押すわけではなく、お洒落で、上品にまとまっているんですよね。テクニカルな要素を持ちつつ、繊細で洗練されたアレンジがされている。その中で、凛としたボーカルが際立つように作られているのが、とてもMorfonicaらしいなと思いました。

これまでの活動で培ったものが詰め込まれた楽曲というか、「成長した上での原点回帰」みたいな感覚を受けましたね。私はこの曲のデモをもらった時から「この曲ができるのは、やっぱりMorfonicaだけだな」って。

mika:激しく同意です(笑)。

──(笑)。

Ayasa:「金色へのプレリュード」の流れが自分の中のMorfonicaのイメージとしてあるんですけど、それがブーストされたというか……Morfonicaらしさを出せる曲だと思います。

mika:これもまた、激しく同意です(笑)。それしか言えないくらい。すごく良い楽曲をAlbumのリード曲としていただけて、本当に良かったなと思っています。イントロからの開かれた感じ、演奏も、メロも「こんなにも心を持っていかれる曲があるんだ!」って。まさにモニカにしかできない曲だなと。

さっきAyasaさんが話していたように、Morfonicaは一見激しそうに聴こえる曲の中にも繊細さが残っていて。よくメンバーとも話すんですが、Morfonicaの楽曲って「優雅な表面の下で足をジタバタさせている白鳥」みたいなイメージがあるんです。

表面的には綺麗で洗練されているけど、実際はすごく細かい部分まで計算されていて、演奏も難しい。でも、そこはリハでお互いに詰めていって。『ガルパ』らしさは残しつつも、繊細さを残すというのが、Morfonicaらしさなんですよね。

──すごく分かります。疾走感がありながらも、壮大さと繊細さが同居しているような、それでいて、上品にまとまっている曲。

mika:演奏しているとすごく楽しいんですよ。音符に奥行きがたくさんあって、聴くと救われた気持ちになるくらい。めちゃくちゃ上品さがありますよね。

Ayasa:なんであんなに上品なんだろう? なんでかは分からないんですけど。

mika:「Polyphonyscape」の歌詞には、過去のライブツアーやこれまでの活動で大切にしてきた言葉が散りばめられているんですよね。

例えば、ライブのコンセプトで使ったワードや、ツアー中に印象的だったフレーズが隠されていたりして……あまり言い過ぎると楽しみが減っちゃうので控えますが、例えば〈木馬〉とか。そういう遊び心も含めて、Morfonicaらしい楽曲になっています。これまでの活動をぎゅっと詰め込んで、表立って主張するのではなく、さりげなく秘めている感じがすごく良いなと。

──「こっそりと秘めている」のがまた上品さにつながっているところもあると。

mika:どれだけの人が気づいてくれるか分かりませんが、それもまた楽しみのひとつです。

──このタイトルもまた、Morfonicaにしか掲げられないように思います。

Ayasa:確かに。造語なんですよね。

──『バンドリ!』はタイトルも掘りがいがあるなあと。

Ayasa:タイトルにもさまざまな意味が隠れているので、ぜひ調べてもらいたいです。

ふたりが思い出深い曲

──おふたりの中で、心に残っている曲を強いてあげるなら?

mika:私は6曲目の「Steer to Utopia」がすごく好きですね。これまでのMorfonicaとは少し違う、攻める姿勢が感じられる楽曲になっていると思います。「ついてこいよ」みたいな、いつもとは違う強さが垣間見られるんですよね。

イントロがバイオリンのフレーズから始まるんですけど、優雅な感じでいくと思いきや「まさかこんな展開になるとは!」って思うくらい、途中からすごく力強いサウンドに変わるんですよね。みんなの思いを乗せて攻め込んでいく、ましろちゃんの歌声がすごく良いんですよ。しかも、ただ攻めるだけじゃなくて、ちゃんと聴いている人を引っ張っていくような……「誰一人置いていかないよ!」って感覚があるんです。背中は押してくれるけど、決して置いていかないような。

うまくいえないのですが、ましろちゃんがこの曲を歌うからこそ、ぐっとくるものがあるというか……。彼女の背中が大きくなったな、って思うんですよ。信頼できるというか、ついて行きたくなるような気持ちにさせてくれる。だから、この曲は個人的にすごく推しの一曲ですね。

──「両翼のBrilliance」の後にこの曲が続くのも、流れとしてかっこいいですよね。一方、mikaさんが歌われた3曲目「Merry Merry Thanks!!」はかわいらしい曲ですよね。

mika:はい(笑)。この曲は、『ガルパ』の中で、みんなでクリスマスパーティーに行こうとしたのにつくしだけ行けなくなってしまって、他のメンバーがつくしの家に来てキャンドルを届けてくれる、という温かいエピソードに紐づく楽曲なんです。そのかわいさがすべて出ているというか。楽曲の可愛さやMorfonicaの絆を感じられる曲になっています。ただ、演奏はめちゃくちゃ難しいんですけどね(笑)。

──聴いている分にはすごく楽しいんですけどね。

mika:そうなんですよね。特にこの曲のサビがすっごく難しいんです。聴いたときに笑ってしまいました(笑)。

Ayasa:そんなに!(笑) 今までライブでやったことがないんですよね。

mika:普通のサビって、だいたいキャッチーなビート感があるじゃないですか。例えば8ビートとか、聴いたときに分かりやすいリズムが多いんです。モニカはもともと特殊なところがあるんですが、この曲はさらに特殊で、その定番のビートを全部崩しています。テンポも速いし、ドラムの手数も普段の3〜4倍くらいあって(笑)。人には分からない悪あがきというか……。

──そんなに!?

mika:そうなんですよ。実際に演奏してみると「つくしちゃん、めちゃくちゃ頑張ってる……!」ってなります(笑)。多分、クリスマスパーティーにみんなに行けることをすごく楽しみにしていたんだと思うんですよね。それが演奏からも伝わってきます。「じゃないと、このフレーズ出てこないよな」っていう。だからこそ、すごく愛おしい曲なんですよね。

──いつかライブで聴けるのを楽しみにしています! サンタ帽子とか被って演奏したら、絶対かわいいですよね(笑)。

Ayasa:絶対かわいい!! キャンドルとかもステージに置きたいですね。

mika:ライブでやるとしたら……私が歌うってこと?(笑)

──楽しみにしています!(笑) クリスマスソングがあれば、ハロウィンソングの「ティリカモニカリラ」もありますよね。ゲーム内で配信された曲の待望の音源化というのも、このAlbumの魅力ですね。

Ayasa:そうですね。「Merry Merry Thanks!!」や「Angel's Ladder」など、すでに『ガルパ』では追加されていたけれど、ライブで披露したことがない曲や、フルサイズで聴いたことがなかった曲が収録されているのが、すごく楽しみなポイントですね。

「Fateful...」など、最近ライブでやっていなかった曲が入っているところもポイントなのかなって思います。ライブ先行ではなく、まずはこのAlbumでしっかりとした形で届けられるのが嬉しいです。

──Ayasaさんが思い入れのある楽曲というとどうでしょうか。

Ayasa:「Tempest」かなあ……。この曲は「forte」「ff」のコンセプトライブ、
「フレージング ミラージュ」「MUGEN Reverberate!」「わたしまちがいさがし」「esora no clover」「きょうもMerry go rounD」(2023年発売『forte』収録)を経て、成長してきたMorfonicaの、ある種の“終着点”とも言える楽曲のように感じています。これまでの歩みを振り返るような曲が並ぶAlbumの最後に、「Tempest」があることで、ストーリー的にも一区切りついたような印象を受けます。

──その曲をAlbumの最後に持ってきたのも、大きな意味があるといいますか。集大成的な意味も担っているようにも思いました。

Ayasa:そうですね。でも、「Tempest」は単なるまとめではなく、ここから次のステップへ向かうための曲でもあるんですよね。この曲の中で、メンバーそれぞれが抱えていた迷いが吹き飛ばされ、改めて「強く進んでいくんだ」という決意が感じられます。その流れを受けて「Polyphonyscape」や「Wreath of Brave」といった曲が“Morfonicaらしさ”が際立つというか……。

それこそ「しょっぱいものを食べると甘いものがより甘く感じる」みたいな、そういう作用を「Tempest」が担っている気がしています。

──「Tempest」は演奏的にもかなり難易度の高い印象があります。

Ayasa:そうですね。実際、弾くのもすごく大変。とにかくテンポが速いし、ボーカルも楽器パートも挑戦的な構成になっています。特に、(進藤)あまねちゃんはこの曲について「すごく難しい」とずっと言ってましたね。ボーカルもそうですが、楽器パートも「前へ前へ」と進むフレーズが多くて、演奏しながらついていくのが本当に大変なんです。

しかも、曲的に、これを「難しいものを頑張って弾く」みたいな曲であってはいけないので(笑)。とは言え、Morfonicaというバンドにとって、これほど“力”を感じさせる曲はないんじゃないかと思うくらい、バンドのスキルや表現力を引き上げてくれる楽曲だと感じています。

mika:改めて「Tempest」の歌詞を読むと、ものすごく攻めてる歌詞だよね。このときのましろちゃんの心情を考えると。

Ayasa:確かに。ちょっと男前な感じがする。この曲、この意思があったからこそ「Steer to Utopia」にも漕ぎ出せるようになった感じがします。「きょうもMerry go rounD」(『forte』収録)の時は、狭間にいたましろちゃんが、完全に前を向き始めたことを感じるんですよね。そこも良いなって。ましろちゃんの成長の記録でもあるというか。

mika:これまでの歩みを大切にしながら、新しい挑戦も詰め込まれていて。しかも、収録されている曲の“情緒”がそれぞれ違うんですよ。楽曲ごとに持っている空気感がまったく違うのに、一枚のAlbumとしてまとまっているのがすごいなって思います。それができるのって、ましろちゃんのキャラクター性が大きいんじゃないかな。

彼女って、すごく二面性を持っていると思うんです。繊細でネガティブな部分もあるけど、前に進むときの強さも持っている。その振れ幅があるからこそ、Morfonicaはいろんな曲を表現できるんじゃないかなって。

「Rubato」に向けて

──Blu-ray付生産限定盤には、2024年10月に河口湖ステラシアターにて開催されたMorfonica Concept LIVE「ff」も収録されています。河口湖ステラシアターはMorfonicaにとって“始まりの地”とも言える場所ですよね。改めて、あのライブを振り返ると、どんな想いがありますか?

mika:もう、本当に嬉しかったです。ライブ中には雨も降ってきて。

Ayasa:でも、途中でちゃんと雨が止んだりして。いろんな景色を見せてくれるライブだったなって思います。ステラシアターで「Daylight -デイライト- 」のMVを撮影したときって、まだMorfonicaが世に出る前で、どうなるんだろうっていうドキドキ感があったんですよね。でも、そこから(ライブ当時)4年間の活動を経て、ステラシアターで再び「Daylight -デイライト- 」を演奏することができたというのもすごく嬉しかったです。

しばらくライブで「Daylight -デイライト- 」を演奏していなかったんです。最近は「Daylight -デイライト- 」を封印してもライブができるようになっていたんですよね。でも、今回のライブで、あえてあの場所で「Daylight -デイライト- 」を披露することができて……しかもアンコールでは、初期衣装を着て届けることができて。なんだかすごく特別な瞬間でしたね。

ファンの皆さんがいたからこそ、見せられた景色だと思いますし、私たち自身もここまで歩んできたからこそ感じられるものがあったライブでした。それと同時に、「ここまで頑張ってきてよかったな」って改めて思えた、自分としても心が打たれたライブでもありました。

mika:うんうん。すごく嬉しいライブでしたね。「このライブで新しいスタートを切るんだ」と。私たちは1年を通してコンセプトライブを重ねてきて、闇に潜ってきたモニカがここで晴れるというのは分かっていて。バンドリーマーさんたちも「Morfonicaがステラシアターでやるなら、絶対に見たい」と思ってくれていたのが伝わってきたのも嬉しかったです。

ライブ当日、まずは本編の最後に「Daylight -デイライト- 」を披露したんですけど、そこで皆さんが「ついに来た!」という感じで反応してくれたんですよね。さきほどAyasaさんも言ってましたが、それだけじゃなくて、アンコールで初期衣装に着替えて再登場したときに、最前列の方が泣いているのが見えて……。ステラシアターって、お客さんの表情がすごく見えるんですよ。それを見た瞬間、私も泣きそうになってしまって。でも、「いや、ここで泣いたらダメだ、これは新たなスタートのライブなんだから」と思い直しました。「Daylight -デイライト- 」をやり遂げないと!って。

──Morfonicaの初期からライブを見てきたファンにとっても、感慨深い瞬間だったんでしょうね。

mika:当初、メンバーもライブのたびに感極まって涙してしまうことも多かったんです。でも、今回はライブが終わった後、メンバーみんなが晴れやかな表情をしていたんです。それがまた嬉しかったですね。楽しみにしていた以上に楽しかったです。ただ、やっぱり、1年間かけてコンセプトライブをやったからこそ、その次はさらに良いものにしなきゃいけないというプレッシャーはあります。それより良いものにならないとって。でも、それも含めて、すごくいいライブだったと思っています。

Ayasa:でも4月のライブでは、さらに進化した姿をお見せできるようにしたいです。

──その4月のライブについても、ぜひお聞きしたいです。4月19日(土)、豊洲PITでのMorfonica LIVE「Rubato」はどんなものになりそうですか?

mika:もう、とにかく安心して楽しみに来てほしいですね! この1年間はツアーやコンセプトライブを通じて、バンドリーマーの皆さんに見守っていただいてきました。でも、今回はそういう心配は全部置いて、とにかく楽しんでもらいたいです。いろんな仕掛けを用意していますし、ね。

Ayasa:ふふふ。

mika:Morfonicaのライブがさらに進化する瞬間を一緒に楽しめると思います! さらに楽しさを更新できるんじゃないかなと思っています。

Ayasa:ちょうど1年前の4月は、すごく不安な気持ちの中でライブを迎えていたんですよ。でも、今回はまったく違います! もう、不安は一切ないです。今回のライブは、Morfonicaの「光の部分」をしっかりと押し出したものになると思います。もちろん、上品で繊細な部分もMorfonicaの魅力ですが、そこに、ブーストされた楽しさが加わるようなライブになりそうです。

──よりエネルギッシュなライブになりそうですね。

Ayasa:そうなんです。Albumをしっかり聴いてきてもらえたら、最高に楽しめるライブになると思います。

mika:本当にそう! だから、今のうちにたくさん聴き込んできてほしいですね(笑)。結構……はい。

Ayasa:カッコいいMorfonicaを補給しておいてもらって……みたいな。これ以上は言えない……。

mika:でも本当は言いたくて仕方がない。

──聞きたくて仕方がないところもあるんですがこらえておきます(笑)。

Ayasa:あとは、会場が豊洲PITであることでしょうか。豊洲PITってステージが広々としたイメージなんです。横が広い分、全方位楽しんでいただけるんじゃないかなって思っています。

【インタビュー・文:逆井マリ 撮影:小川遼 編集:鳥谷部宏平】

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