春の潮干狩りシーズンにおすすめ!細長い<マテ貝> 生態を利用した不思議なとり方とは?
春先から初夏にかけて、多くの人が訪れる潮干狩り。中でも、潮干狩りでとれる貝のうち、一風変わった採取方法が楽しい「マテ貝」を知っていますか。
アサリなどと同じ二枚貝ですが、見た目は細長く、あまり貝には見えないかもしれません。とり方も特徴的で、穴に塩を入れて飛び出すところをつかまえます。
細長い二枚貝であるマテ貝はどういった生き物なのでしょうか。
細長くても二枚貝<マテ貝>はこんな貝
マテ貝は、細長い筒状の独特な形をしており、10センチから大きいもので15センチくらいの長さがあります。見た目は全く違いますが、アサリやハマグリなどと同じ二枚貝の仲間で、北海道以南に分布しています。
細い貝殻の先には水管があり、その反対側には「あし」と呼ばれる部位があり、これを使って砂の中に素早く潜れるのです。また、水管の先が節のようになっていて、危険を感じたらその水管の先を切って潜れるという能力まで持ち合わせています。
貝殻に見えないつるりとした殻なので、逃げる時はどこにも引っ掛からず、すぐに潜れそうです。
楽しいマテ貝の採り方とは
マテ貝はアサリなどを狙う潮干狩りと同じように干潮時の干潟でとれますが、とり方はアサリとは異なります。
少しスコップなどで表面の砂を削ると、楕円形の穴(生息孔)が出てくることがあります。そこに食塩をふりかけると、体の一部が出てくるので、出てきたところをつかまえるのです。
穴から出てくる様子は、チンアナゴがひょこっと顔を出して体をのばす様子と似て、とても面白いです。
注意点として、穴から少しだけ出てきた状態ではまだ触らないこと。しっかりつかまえられる長さが出てくるまでじっと待つことが大事です。筆者の経験上、いちど逃すともう出てきてくれません。
逃げ足が速く、すぐに深く潜ってしまいます。スコップや熊手で掘ってもなかなか出てこないので、その場合はあきらめて違う穴を狙いましょう。
筆者も、せっかく遠出してマテ貝を採りに行ったのに、収穫ゼロという悲しい経験があります。
穴から出てくるのは塩分濃度に敏感なため
なぜ生息孔に塩を入れるとマテ貝が出てくるのでしょうか。
マテ貝は塩分濃度にとても敏感で、塩が穴に入ると満潮になったと勘違いするからです。
その習性を利用して、マテ貝を採取することができるのです。
たくさん採れたら酒蒸しやバター醤油焼きがおすすめ
潮干狩りでマテ貝がたくさんとれたら、酒蒸しやバター醤油焼きにして食べるのがおすすめです。
マテ貝をとる時はとても楽しくて時間を忘れて夢中になってしまいますが、たくさんとれたらしっかり食べることも忘れずに。
砂抜きをしなくても食べることはできますが、アサリ同様に砂抜きをしてから食べる方がおいしく食べられます。
少々味にくせがありますが、身はアサリのようにやわらかいのが特長。筆者的には、バター醤油で味をしっかりめにつけると、お酒のあてとしても最高です。
マテ貝堀りはエンタメ性の高いレジャー
春がシーズンのマテ貝掘り。
その楽しさ・面白さ・美味しさについついハマってしまうかもしれません。
次のお休みは、ぜひ干潟にお出かけしてみませんか。
(サカナトライター:竹原とも)