ヴェルスパ大分 残り5試合 あくまでも理想の追求を 【大分県】
2024年のJFLリーグは残り5試合となった。J3昇格を目指すヴェルスパ大分は勝ち点37で8位。前節の首位・栃木シティ戦に敗れ、自動昇格の可能性は消えた。J3の19位との入れ替え戦となる2位との勝ち点差は11、逆転の可能性は極めて低いと言わざるを得ない。ならば残された試合を、選手たちもファン、サポーターも納得のいくパフォーマンスで締めくくりたいところだ。
今季は後方からしっかりパスをつなぎ、試合を組み立てるスタイルに加え、前線から最終ラインまで間延びすることなくコンパクトに保ち、高い位置からボールを奪いにいく守備を掲げた。全員のハードワークが基盤となるため練習から走るメニューを増やし、厳しいプレスを実践するなど、チームの共通理解が進んでいた。
状態のいい時の大分は、前線、中盤、最終の3ラインがコンパクトに並び、中盤でボールを奪って速攻につなげていた。前線の選手がプレスをかけ、サイドの選手へのパスコースをきっちり切る。その影響で後ろの選手が狙いどころを定めやすくなり、相手のミスを誘発してボールを奪うことができた。ただ、前に出る意識が強く、カウンターから簡単に失点してしまうことが多かった。山橋貴史監督は「選手は集中力を高めるために声をかけ合っているし、練習から意識してきたが、一瞬の隙が出てしまう」と改善できずにいる。
栃木戦で加入後初得点を決めた金崎夢生
これからの5試合は昇格の可能性が残っている以上、とにかく結果をつかみにいくことが最優先。問題を棚上げにして、目先の勝利を狙う状態であるのは重々承知だが、本質から目を背けていたら進歩は望めない。このチームなら、来シーズンに再び昇格争いを演じることも十分に可能だろう。どの対戦チームの監督も「大分は力がある」「アグレッシブな守備で好感が持てるチーム」とお世辞抜きに評価する。そうしたポテンシャルを持つチームだからこそ、恒久的に強いチームをつくり上げるために、監督、選手には高い理想を追い求めてほしい。
理想とするスタイルを追求するのは、昇格をつかみ取ることと同じくらい、価値のあることのように思う。その結果として昇格が転がり込んでくれば、これ以上の感動などないではないか。
残り5試合は結果と内容にこだわる
(柚野真也)