ハリソン・フォードって誰?『ブレードランナー』での起用、リドリー・スコットが出資者を説き伏せていた ─ 「彼はまだスターじゃなかった」
SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)で主人公リック・デッカードを演じたハリソン・フォードは、本作に起用された当時、まだスター俳優ではなかった──。監督のリドリー・スコットが、フォードをキャスティングした当時の逸話を明かしている。
米のインタビューにて、スコットは「ハリソン・フォードはまだスターじゃなかった。『スター・ウォーズ』でミレニアム・ファルコンを飛ばしたばかりだったんです」と語った。「出資者から“ハリソン・フォードって誰ですか?”と言われ、“いずれわかりますよ”と答えました。それで、彼が主演俳優になったんです」。
かねて伝えられているところによると、『ブレードランナー』の映画化が始動したのは、まさしくフォードがハン・ソロ役を演じた『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が公開された1977年のこと。フォードは『アメリカン・グラフィティ』(1973)や『カンバセーション…盗聴…』(1974)などに出演していたが、まだ広く知られてはいなかった。
Blade Runner: The Final Cut © 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
スコットがフォードに興味を示し、実際にデッカード役のオファーを出した時期がいつなのか、撮影までにどれほどの期間が空いたのかはわからない(フォードは『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)の製作中、スティーブン・スピルバーグと『ブレードランナー』について話し合ったといわれる)。しかし、どうやらキャスティング作業は1980年以前から始まっていたようだ。
今回、スコットはレイチェル役のショーン・ヤングについて、「ヴィヴィアン・リーのようなダーク・ビューティを懸命に探し、18歳の少女を見つけました。まだ映画の経験がなく、彼女にとっては初めての映画だった」と言っている。ただし実際のところ、ヤングは『マンハッタンのジェーン・オースティン』(1980)と『パラダイス・アーミー』(1981)に出演しており、『ブレードランナー』は3本目の出演作だ。
おそらく、ポイントは“18歳”という年齢だろう。ヤングは1959年生まれだから、1977年の時点でスコットはヤングに注目していたのかもしれない。
Blade Runner: The Final Cut © 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
『ブレードランナー』で「新しい世界を一から創造した」と語るスコットは、脚本家ハンプトン・ファンチャーとの創作秘話も語っている。
「(最初は)小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』に基づく戯曲で、最初の20ページに数えきれないほどの物語があり、とても複雑でした。しかし、アパートを舞台とする美しい物語だった。そこでハンプトンに、“ハンターが獲物に恋をするという内面的な物語で、僕は脚本のテンポやセリフ、言葉のリズム、アイデアが大好きです。だから、彼が部屋の外に出たらどうなるのかを見てみたい”と話しました。」
スコットいわく、『ブレードランナー』は「そこからすべてが始まった」。ファンチャーとの脚本開発には、それからおよそ5ヶ月間を費やしたそうだ。
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