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チェッカーズにとって唯一無二の個性!高杢禎彦のステージングは “魅せて、楽しませて”

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1992年06月19日 ザ・チェッカーズのアルバム「BLUE MOON STONE」発売日(Yellow cab 収録)

チェッカーズのルーツのひとつ、フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズ


ザ・チェッカーズ(以下:チェッカーズ)のルーツを紐解くと、そこには2つのグループの大きな影響が見られる。ひとつは、フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズ。1954年に結成され、映画『アメリカン・グラフィティ』のサウンドトラックにも収録された「恋は曲者」(Why Do Fools Fall in Love)のヒットで知られるドゥーワップ・グループだ。リーダーの武内享はこの曲からインスピレーションを得てバンドの方向性を決めたという。

それは、バスボーカルとファルセットのコーラスを効果的に活かしながら、ユーモアを加味した誰もが踊りたくなるような立体感のあるバンドサウンドだと僕は思っている。さらに、聴かせるだけではなく、チェッカーズは、ドゥーワップという音楽スタイルを踏襲しながらも、魅せて、楽しませるという部分にプライオリティを置いたバンドだということだろう。そしてその構想は解散まで貫かれることになる。魅せて、楽しませてというステージはアマチュア時代から変わることなく、音楽的に熟成し、変化を厭わずあらゆるジャンルを飲み込んでいったセルフプロデュース時代もずっとバンドの基盤になっていた。

こういったアティテュードの表れがサイドボーカル2人を従えたバンド編成だ。当時も今もこういった編成のバンドをなかなか見かけることはない。チェッカーズの場合、サイドボーカルは、音楽的に深みを増すだけでなく、 ステージングにおいて重要なポジションを担っている。今回はこの役割を全うし、強烈な個性を発揮したバスボーカル担当、高杢禎彦の魅力を語っていきたい。

高杢禎彦は、シャ・ナ・ナの “バウザー” ?


高杢禎彦を語る時、まず思い出すのが、チェッカーズのもうひとつのルーツ “シャ・ナ・ナ” だ。シャ・ナ・ナはベトナム戦争で国が混沌とした時代に、古き良きアメリカの復興を掲げ、アメリカが輝いていた1950年代から60年代初頭のロックンロールをリメイクしてデビュー。メンバー12名という大所帯のグループだった。シャ・ナ・ナもまた、魅せて、楽しませてというステージングだった。寸劇などを​​取り入れながら、エンタテインメントに徹した。そして、そこに欠かせなかったのが、バスボーカル担当の “バウザー” ことジョン・バウマンだ。リーゼントに黒いTシャツが似合う優男。機転を効かせたMCやコミカルなダンス、時には観客を呼び寄せステージに登らせるなどショーマンに徹したバウザーは子供からも人気があり、その存在感があってこそのシャ・ナ・ナだった。

このバウザーの役どころが、チェッカーズ結成当時の構想で高杢だったことは想像に難くない。なにしろ、チェッカーズのステージで藤井郁弥(現:藤井フミヤ)の横に立つ高杢の安定感が素晴らしい。ライブ映像を観るたび、これこそがチェッカーズなのだ!と思えてならない。決して出しゃばることはなく、ステージでは重心としてエンタテインメントに徹しながら、メンバーを引き立たせる。そんな高杢がいてこそ、チェッカーズは魅せて、楽しませてというスタンスをずっと貫けたのだ。

ジェームス・ブラウンばりに吠えまくる「Yellow Cab」


もちろん、メインボーカルとしても、数々の名曲を残した。ファーストアルバム『絶対チェッカーズ!!』に収録された「MY ANGEL(I WANNA BE YOUR MAN)」は、フィスティーズ・テイストを全面に打ち出した痛快なロックンロールであったし、セルフプロデュース路線に舵を切った傑作アルバム『GO』に収録されている「GO INTO THE WHOLE」では、ロカビリーっぽいフレーバーを感じさせながら躍動感が漲る名曲だ。チェッカーズの側面である不良っぽさを持ち歌の中で垣間見せるのも高杢の魅力だ。

そして特筆すべきは、バンドの集大成とも言えるラストアルバム『BLUE MOON STONE』に収録されている「Yellow Cab」だ。ジェームス・ブラウンばりに吠えまくり、ファンキーなバンドのグルーヴに溶け合った低音のボーカルは、極上のノリを見せる。そんな高杢の進化もまた、多様性に富んだチェッカーズサウンドの中で唯一無二の個性を発揮し続けた。

チェッカーズの硬質な部分を体現しながらも、エンタテインメントに徹し、魅せて、楽しませて、というチェッカーズのアティチュードの中で必要不可欠な存在だったのが “バスボーカル担当” 高杢禎彦なのだ。

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