浴衣を着る時に気を付けたいポイントも! 花火大会を快適に楽しむための気象条件&熱中症対策
真夏の夜空にドーンと打ちあがる、大きな華。これぞ、日本の夏の風物詩ですよね。花火を眺めながらの散歩はこの季節ならではの楽しみですが、猛暑が予想される今夏は日が暮れてからも蒸し暑さが続きます。せっかくの花火を快適に眺めながら散歩を楽しむための注意点や、花火を見るのにベストな気象条件などをお伝えします。
花火散歩を楽しむなら「風向き」をチェック
7月も半ばを迎えると全国各地で毎週のように花火大会が開催されます。夜空に咲く花火を眺めながら歩けば、いつもの夜道が一瞬で素敵な夏の思い出となります。
花火大会にベストな天気といえば、よく晴れていて雲が少なく、ほどよい風が吹いていることです。風が強すぎると花火が横に流されてしまい、弱すぎると煙がこもって花火が見えにくくなる可能性があるため、風速3m前後の風が吹いている時がちょうどよいのです。
花火大会シーズンは、急な雷雨に台風など天気に翻弄されることが多く、無事に行われるのか直前まで気が気でないこともあります。天気を変えることは難しいですが、天気予報を味方に付けてベストな状況で、花火の夜、街歩きを楽しむポイントはあります。
それは、花火の打ち上げ場所に対して風上側(風が吹いてくる方向)を歩くことです。風下側では花火の煙が流れてきてしまい、せっかくの花火が煙で隠れてしまうかもしれません。花火散歩を満喫するために最新の天気予報で風向きをチェックすることをおすすめします!
花火大会は小雨程度であれば開催されることが多いですが、台風などの荒天が予想される時は中止となります。
たとえば東京都足立区の荒川河川敷で開催される「足立の花火」では、風速7m以上の風が10分以上継続している、大雨警報・洪水警報が発表されている、花火の打ち上げ場所付近で落雷があるまたは落雷のおそれがある時は中止するとウェブサイトに記載されています。天気予報とともに各大会の情報を確認するようにしましょう。
夜も暑さ継続……今すぐできる「手のひら冷却」で熱中症対策を
天気のほかにも、夜も続く厳しい暑さに注意しましょう。たとえば2023年の「隅田川花火大会」の開催時は気温30℃近く、湿度は70%前後(東京の観測データ)と耐え難いほど蒸し暑い気象状況でした。特に人が密集する大きな花火大会は熱中症のリスクが高まります。熱中症といえば、日差しが照っている日中になるイメージが強くあると思いますが、夜間も熱中症になる事例は多数あります。
熱中症対策のポイントは基本的には日中と同じで、水分補給は特に欠かせません。
お酒を飲みながらの花火鑑賞はとても楽しいですが、アルコールは水分補給にはならないため飲み過ぎには注意して、できるだけ水も一緒に飲むようにしてください。
そして、なるべく体に熱がこもらないように「手のひら冷却」と呼ばれる対策を覚えておくと役立ちます。
冷たい飲み物の入ったペットボトルなどを手で持つことで、手のひらから熱が逃げ、体温を効率的に下げられます。混雑していると中々飲み物を買えないこともあるため、花火散歩へ出かける時はよく冷えた飲み物を早めに手に入れておきましょう。
7月~9月にかけて、平年より気温が高いという予想が出ています。体調に気を付けて、街歩きを楽しんでくださいね!
浴衣を着ている時も、熱中症に注意!
せっかくなので、ここからは浴衣のワンポイントを。
待ちに待った花火大会、浴衣で街を歩きたくなりますよね。涼し気なイメージの浴衣ですが、着てみると意外と暑いこともあります。蒸し暑い夜に着ることを想定して、冷却効果のある下着を使ったり、ネッククーラーや冷却シートを身に付けたり工夫してみましょう。
帯を長時間締め付け過ぎるのも注意です。
私たちの体には「半側発汗」という、上半身を圧迫すると反対側の下半身の皮膚温が上がり、上半身の発汗を抑えられる作用があります。たとえば、舞妓さんは帯を高い位置で締めることで顔に汗をかかないようにして、お化粧崩れを防いでいます。便利なように感じますが、慣れていない人が長い時間強く帯を締め付けると体に不調が出るリスクがあるため気を付けましょう。
汗をかかないことで体温がこもり、熱中症になってしまう危険性も考えられます。
また浴衣で散歩する時は、「頻繁にお手洗いに行くことがないように」と水分摂取を控えてしまう人もいるかもしれませんが、これも危険です。
蒸し暑い中、花火に夢中で歩き続けていると知らず知らずのうちに脱水状態になってしまうおそれがあるため、水分補給は忘れないようにしてくださいね。
蒸し暑い夏の夜、熱中症への対策は忘れずに花火散歩で素敵な思い出を作りましょう!
文・写真=片山美紀
参考HP:
あだち観光ネット 第46回足立の花火(2024)
https://www.adachikanko.net/adachi_no_hanabi4
ウェザーニュース 熱中症予防に「前腕冷却」「手のひら冷却」が効果的 アスリートも実践
https://weathernews.jp/s/topics/202307/180145/
秋葉原フロンティアクリニック 半側発汗
https://miradry-japan.jp/word/%E5%8D%8A%E5%81%B4%E7%99%BA%E6%B1%97/
片山美紀
気象予報士
大阪府出身。大学卒業後、放送局での勤務を経て気象予報士、気象キャスターに。街歩きをしながらお天気ネタを探すのが趣味。空を眺めようと上を向きがちです。NHK総合「首都圏ネットワーク」などに出演中。