NANIMONO[インタビュー前編]“インキャ”たちがニューアルバムで紡ぐ成長の物語「全体を通して魔法少女になってから魔法が解けるまでのストーリーだと思って楽しんでもらえたら」
NANIMONOが、10月16日(水)に2ndフルアルバム『INTERNET MAGICAL GIRL』をリリースした。
“魔法少女”をテーマにした同作には、多彩な楽曲が収められ、彼女たちの魅力がさらに深化。アイドルとしての成長も証明した充実作となった。
今回、Pop’n’Rollでは、NANIMONOの遊乃ヲユタ、眠岸ぷりん、紫苑りんか、輪廻ねるの4名にロングインタビューを実施。前編となる本記事では、同作制作の裏側や各曲にこめた想いについて、じっくり語ってもらった。
撮影:河邉有実莉
NANIMONOのすべての魅力が詰まったアルバムです(眠岸ぷりん)
ーー先日このPop’n’Rollの別企画でみなさんのリーダー、ひなたゆまさんを含めた“ゆまちゃんず”をインタビューしたんです。
一同:
おおおお〜!!
ーーすごくよい記事になりまして。ゆまさんもよかったですけど、初めましてだった後輩のかなたゆま(AZATOY)さん、まゆたゆま(hakanai)さん、おふたりが堂々としていて、とってもいいことを言ってたので、今日は先輩方のいい話がたくさん聞けると期待しております!
一同:
ええええーーーッ!!
りんか:
なんでいきなりハードル上げるんですか!!
ーー(笑)。そんなNANIMONOですが、先日10月16日にリリースされたニューアルバム『INTERNET MAGICAL GIRL』をまだ聴いてない人に向けてひとことで説明すると、どんなアルバムですか?
ぷりん:
NANIMONOのすべての魅力が詰まったアルバムです。
ねる:
それだわ!
ぷりん:
今までのNANIMONOらしい楽曲も、今までにはないNANIMONOの楽曲もどっちも詰まっていて、新しいNANIMONOを知ることのできる、いいとこどりの1枚です。
りんか:
それです!
『INTERNET MAGICAL GIRL』MV
ーー名刺代わりのアルバムですね。
ぷりん:
今までのNANIMONOって《むりなんだがw》の「ジャージは戦闘服★」や「インキャのキャキャキャ」とか、わかりやすいキャッチーな感じだったんですけど、今回は今までやったことのない、カッコいい感じの曲とか、ラップが入ってたり、スキルを要する曲も入ってたりして、初挑戦の楽曲たちが多いんです。みんな、レコーディングも難しかったりした?
ねる:
難しかったぁ。ねるとぷりんはいつも叫ぶんですよ。騒ぐ担当、わちゃわちゃ担当なんで。だから今回のレコーディングもいつものテンションで歌ったら、“違う!”って。“そんな元気はいらないから息で歌って”と言われて、プロデューサーのこゆびちゃんに“どうしたらいいんですか?”って訊いて……レコーディングは大変でしたね。
ーー曲でいうと?
ねる:
「WHITE MUSK」と「After CInDErella」なんですけど、これがすごい難しくて。私はかなりてこずっちゃって。でも新たな一面を見せられたと思います。
「WHITE MUSK」
りんか:
みんな、歌い方のニュアンスとか声のトーンがこれまでとは全体的にガラッと違う。今まではめちゃめちゃ特徴のあるアニメ声みたいな感じでわかりやすかったと思うんですけど、今回はちょっと優しめだったり、大人っぽい一面だったり、新しいメンバーの声のパターンを聴けるから、そこが1番楽しんでもらいやすいんじゃないかな。“この子、こんな歌い方ができたんだ!”みたいに。
ねる:
ねるのファンの人、びっくりしてた。“ねるちゃんってこんなに甘くて優しい歌声出るんだ”って。
りんか:
私たちだって、こんな色気たっぷりで歌えるんだぞ!ってね。
ねる:
ヲユちゃんも最年少だけど、けっこう色っぽい歌詞というか、大人の歌詞を与えられたよね。
ヲユタ:
そう。自分はもともと個性強めの歌が得意じゃなかったんですよ。NANIMONOに入ってから矯正されちゃった。変な曲ばっかりだから。
ぷりん・りんか・ねる:
アハハハハ!!
ヲユタ:
アニメみたいに歌うのが癖づいちゃって。だからレコーディングの時にプロデューサーに“ヲユはもともとの歌い方でいいよ”って言われたんで、ヲユは逆に歌い方が戻ったかな。でも、ヲユを変にした曲たちも一緒に味わえるっていうのは面白いと思う。
ーーヲユさん本来の歌い方として、聴いてほしい曲はどれですか?
ヲユタ:
やっぱ「After CInDErella」。もとの自分の感じで歌えた。ヲユはあんまり元気じゃないから、これは元気に歌わなくてもよかったので、自分的にもめっちゃよかったです。あと「未確認生物」も自分寄りかも知れない。歌詞がめっちゃ暗いんですよ。NANIMONOって、暗い歌詞を明るく歌ってたんですけど、この曲は、曲も暗いし歌詞も暗い。めっちゃ好きで“うわー!”ってなりながら、自分が好きなものを歌えたなって。
ぷりん:
「未確認生物」の1番最後のサビの《もう暴かないで〜》ってところ、もともとレコーディングするまでは全員パートだったんですけど、ヲユちゃんがレコーディングして、こゆP(こゆびちゃん)が、“ここはヲユだけでいこう”って、ヲユちゃんのソロパートになったんですよ。
ねる:
ハマってるよね。めちゃめちゃいいパートで、メンバーとして聴いても鳥肌立つ。ヲユちゃんの歌声がカッコよくて。
ヲユタ:
でもこれ裏話なんですけど、うちのプロデューサーって、いかにも“NANIMONOのプロデューサー”って感じの性格で、そのパート歌った時に“ここヲユのソロだもんね”って言われて。“え、ここはみんなのパートですよ”って返したら、“あれ? 私、なんでみんなにしたんだっけな?”って。めっちゃプロデューサーのポンコツを感じた(笑)。
ぷりん:
そうなんだ!
ヲユタ:
だからもとからソロで決まってたらしい。
NANIMONO、アーティストだった!(紫苑りんか)
ーー「未確認生物」はこゆびさんがやっていたバンド、“雨ノ弱”の曲ですよね。
ヲユタ:
そう。ほかのインタビューでも話したんですけど、こゆびさんと2人でタクシー乗ってる時があって。その時“「未確認生物」めっちゃ好きなんですよね”ってヲユが言ったら、“いい曲だよねー”って他人事な返事が返ってきたから、“くださいよ”みたいなこと言ったんですよ。そしたら“確かに”って、その時はそれで終わったんですけど、TDCワンマン(<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>2024年6月16日 TOKYO DOME CITY HALL)でお披露目する新曲たちが送られてきた中に「未確認生物」が入ってた。だから、たぶんその時にひらめいてたんだろうなって。
ぷりん:
ありがとー!!
雨ノ弱 「未確認生物」MV
ねる:
プロデューサーの曲をくれるっていうのは引き継いだというか、本当嬉しいです。
ーー逆にプレッシャーみたいなものあります?
ねる:
それはありますよ! レコーディングの時に歌ってる本人がいるんですよ。本家がそばで聴いてるので、本当に怖くて。それにこだわりが本人にあるから、ディレクションも細かくて。だからこの曲はすごく大切だし、嬉しいし、頑張ってこれからも歌っていきたい。
ぷりん:
もとに寄せた方がいいのかなと思って、ライブでもカッコいい感じでやってたんですけど、この前、ライブを観ていただいたあとに、こゆPから“もっとアイドルらしくやっていいよ”って言われたんですよ。“えー!? これカッコよくやる曲じゃないんですか?“って言ったら、“いや、これはもうNANIMONOにあげた「未確認生物」だから、あなたたちらしくアイドルにしちゃって“って。もう別物らしいです、こゆP的には。
ーーいい師妹関係ですね。
ねる:
私もこゆびちゃんの歌う「未確認生物」を聴いて歌ったら、“そうじゃなくて、ねるでいいんだよ”って言われた。“アイドルらしくやっていいんだよ“っていうのが、その時からこゆびちゃんの中ではもう決まっていて、レコーディングも最初からそういうイメージでやってたんだなって。NANIMONOの「未確認生物」にしたいっていう想いがすごいわかりましたよ、その話を聞いたら。
『未確認生物』Music Video
“雨ノ弱のMVと同じ監督さんで、リンクする部分も多く盛り込んでいる自信作です!”(OTONA CHILD.代表・談)
ーーそこには、どんな曲でもNANIMONOが歌えばNANIMONOになる、という信頼もあるんじゃないですかね。
ぷりん:
信じてくれてるってことですかね。愛を感じてる! 嬉しい!
ねる:
ああ、でも言われるよね。私たちツーマンライブとかでよく楽曲交換するんですよ。その時に“なんでもNANIMONOになる”って言われる。
ぷりん:
ほかのグループさんの曲もNANIMONO節になっちゃうんですよ。ゆる系になっちゃう。
ーーそこは自信持っていいところじゃないですか。オリジナリティとして昇華できるという。
ぷりん:
いいことですか。よし、自信を持とう!
ーー話は少し戻りますけど、「After CInDErella」めちゃめちゃいい曲ですよね。
りんか:
なんでこの曲が1番最後になってるのかを考えてもらえたら、このアルバムの楽しみ方がより深まるかなと思っていて。1番最初がSEなんですよ。SE(「魔法少女SE」)で私たちは魔法少女になって、最後は魔法が解けてしまったあとのこの曲になってるんです。だからアルバム全体を通して魔法少女になってから魔法が解けるまでのストーリーだと思って楽しんでもらえたら。なぜこの曲が最後にあって、魔法少女の最後として何を伝えたいのか。だから歌詞も考察じゃないけど、楽しんでもらいたいなと思ってますね。
ーー深い。
りんか:
そう! 実はNANIMONOの曲ってめちゃめちゃ深いんですよ。新しい人はこの曲楽しいとか、この曲めっちゃいいメロディラインだなって聴くと思うんですけど、歌詞がマジで深いんで。CDには歌詞カードがついてくるので、読みながら楽しんでもらいたいです。
「After CInDErella」
ーー変な言い方ですけど、アイドルってあんまり歌詞に意味を持たせない方がよかったりもするじゃないですか。でもちゃんと歌っている意味を伝えるというのは、アーティスティックですよね。
一同:
おお〜。
りんか:
NANIMONO、アーティストだった!
ーーだからこそ聴く人に刺さる、歌詞に共感する。実際そういう人も多いですよね。
ぷりん:
けっこういますね。「インキャのキャキャキャ」みたいな、いわゆる意味がなさそうな曲たちよりも、最初の頃のゆったりめの曲が好きで聴いてくれてたファンの方が、今回のアルバムを聴いて大歓喜してました。“俺が聴きたかったのはこういう曲なんだよ!”みたいな人がいっぱいいましたね。だからみんな歌詞の内容とか、深さが好きなんだろうなって改めて思いました。
ーー「オタ恋」とか。
ぷりん:
あれは深そうで、深くない(笑)。すごくよさそうなメロディだけど、とんでもない歌詞。この曲、海外で大人気なんですよね。たぶん意味がわからないから。向こうの方からしたら、ヲタクとアイドルとの感動的な恋愛の曲になってるんじゃないですかね。
りんか:
海外の方に“なんで「オタ恋」好きなの?”って訊いたんですよ。そしたら“MVで白い天使が7人いて、観てると幸せな気持ちになる”って。
「オタ恋」Music Video
ねる:
《今すぐおぎゃりたい!》って言われてもわかんないよね。訳せないもん。
りんか:
逆にそれがいいのかな。わからなさすぎるのが海外の方には楽しみやすい楽曲なのかなって思ってますね。
ーーでも、日本のヲタクはこの歌詞考えさせられますよ。ガチ恋勢、心当たりがあるって。
ぷりん:
確かに(笑)。《オゥフ》とかも意味ありそうですよね。
“歌詞に共感しました”って言ってくれるファンが来てくれるのはやっぱり嬉しい(遊乃ヲユタ)
ーーでは、メンバーさんそれぞれ1曲、推しポイント含めてアピールをお願いします。
ぷりん:
私は「死ぬまで眠りたい」が1番好きです。歌詞に全共感しすぎて、このアルバムで1番魂込めて歌ってます。これはNANIMONO全員が大共感なんですけど、“ザ・社不”の歌ですね。TDCワンマンの時、アニメーションを挟んでシーンが変わる時間があって、そのアニメのオープニングで流していただいた曲で。それが今回、初めて音源として聴けるようになったんです。スカパーの放送にもなかったので、ファンの方はずっと聴きたかったと思うんですよ。それがやっと聴けるようになったのと、歌詞の《働きたくない 外出たくない 各種支払い多すぎない?》とか、本当に日頃から思ってることなんで。NANIMONOメンバー全員、水道、電気、ガスが止まったことがあって。
ヲユタ・りんか・ねる:
もちろんですよっ!
ぷりん:
止まったことありますか?
ーー止まったことはないですね……。
一同:
ええええ〜!!
ぷりん:
ないんですかっ!!
ねる:
すっごい!!
ぷりん:
そういう支払いの方法って教えてもらわなかったじゃないですか、学校で。
ねる:
ポストに入れっぱだもんね。開けたら大量の支払書があって、どうしよう?って……。
ぷりん:
黒に黄色の封筒が届くんですよ。
りんか:
危ないやつだ。
ぷりん:
赤が届くまではセーフ。そうやって、全部共感だから、みんな歌詞をちゃんと読んでねって書いといてください!
ねる:
タイトルがいいもんね、「死ぬまで眠りたい」。寝るの大好きなんですよ。最初に見た時に、ホント、寝たいなって思いましたよ、大共感。
「死ぬまで眠りたい」
ヲユタ:
自分はさっきも言った「未確認生物」が1番好きで、この曲は普通にナウプレ(#NowPlaying)だったんですよ。好きだった曲が自分たちの曲になって、不思議な感覚。ライブでもカバーしてる感覚がまだ抜けないんですよ。歌詞がめっちゃ深くて。歌詞も曲調も暗い。NANIMONO中で1番暗いかもしれない。張り詰めた緊張感のある曲で、カッコいい曲なのに歌詞がめっちゃネガティブで、すごい好きです。NANIMONO、初めてなんでこういう曲。こんな一面もあるんだぞって注目して聴いてもらいたい。あとNANIMONO用に歌詞が変わってるところもあって。聴き比べたりするのも楽しいのかなって。
ーー歌詞を聴いてほしいと言えるのはいいですよね。
ヲユタ:
でも、この曲は歌詞が暗すぎて逆に伝えたいことがわからない曲かもしれない。けど、深読みが捗る曲。
ねる:
自分は「顔面コンプ期」。この曲は可愛くってキラキラしていて、メロディだけ聴くと王道アイドルソングかなって思うんですけど、歌詞を見ていただくと、めっちゃ暗いんですね。自分にすごくコンプレックスを持ってる主人公の歌詞が最後までずっと続いていて。でも、この曲も歌詞に共感する人は多いはず。今の時代、顔面に対しての正解とか、こうじゃないと可愛くないとか、ネットが発達していくにつれて目にする機会が多くなったんですよね。電車に乗っていても、脱毛や二重整形の広告があったり。そういうのを見ちゃうと、自然と“二重じゃないと可愛くないんだ”って思うようになっちゃう。そういう時代だからこそ、顔面にコンプレックスを抱いてる人は多いと思っていて。そういう人たちがこの曲の歌詞を見ると共感できると思います。でも最後の方には、《未来は笑えるように努力させてよ》とあったり、《明日はきっと今日よりも可愛くなるの》って歌ってる。暗いし、コンプレックスもあるし、憂鬱な気持ちもあるけど、可愛くなりたいから努力して頑張ろうっていう私の気持ちにもすごいぴったり合ってるし、ファンの方にも“すごく共感できる”って言っていただけるので、この曲は好きですね。
ぷりん:
ライブではNANIMONO史上初めて、ガチ恋口上を入れられる曲だから大人気です。
ねる:
歌詞は暗いけど、ファンの方からガチ恋口上で“愛してる”って言ってもらえるから、ちょっとアガるんですよ。だからこの曲はみんなに“愛してる”って言われたいと思った時に、セットリストに入れてもらったりしてます。
「顔面コンプ期」
りんか:
私は「Hello,world」ですね。MVが出てるんですけど、まだねるが加入する前の6人なんです。今回のアルバムはねるも入って歌割りも変えて録ったんですけど、やっと完成したなと思いました。めっちゃ真面目な曲というか、“武道館を目指す上での決意の曲だぞ”っていうのが、今回ねるの歌声が入ったことによって出た。だからやっと完成したなって思っていて。この曲は普段ライブでやらないんですよ。大きい周年ワンマンの時にしかやらないくらい大切にしてる曲なので、こうして7人の形でアルバムに収録されたことが嬉しいんです。この先も大事な時にこの曲を歌いながら、ファンの人に今の決意を届ける1曲だなと思ってるので。私たちがこれだけ大切にしてる曲を、ファンの方にも愛してもらえたらなって思います。
ーーMV、すごくいいですよね。
ぷりん:
こゆPが生まれ育った町で撮ってるから、“これは私の思い入れの強い曲でもあるんだよ”って言ってました。
「Hello, world」Music Video
りんか:
MVでゆまちゃんと手を合わせるところがあるんですけど、TDCワンマンの時もそれを再現したんです。私とゆまちゃんの再会を表してるんですね。私とゆまちゃんって、NANIMONOが始まる前、私が初めてアイドルとしてデビューした日にゆまちゃんに会ってるんですよ。そこから私は1度アイドルを辞めてしまったけど、でもまたNANIMONOという場所でゆまちゃんに再会した。ゆまちゃんがリーダーとして活動しているNANIMONOで一緒に活動できているって、きっと運命なんだろうと思ってるんです。私が1度アイドルを卒業した時も、ゆまちゃんは見てくれていて。私はNANIMONOが最後のアイドル活動だと決めてるんで、だからアイドル最初の時も最後の時も、ゆまちゃんに見てもらえたらなっていう想いもあってやってるんです。
ーーいい話だ。MVの見方が変わりますね。みなさん、歌詞を聴いてほしいと言えるのがやはりいいですね。配信主流のご時世、歌詞を見る機会は減ってしまっていると思うので。例えばほかのアイドルやアーティストを聴く時も歌詞を読んだりします?
ヲユタ:
歌詞で好きになります。暗い曲調が好きなのも大前提なんですけど、歌詞がめちゃめちゃ深いやつしか好きにならなくて。自分、めっちゃ頭悪いんですけど、曲だけは頭よさそうなものしか聴いてない。歌詞にちゃんと意味があるものがいい。
ーーそういうものを、自分が伝える側になっているという。
ヲユタ:
そうなんですよ。だから“歌詞に共感しました”って言ってくれるファンが来てくれるのはやっぱり嬉しいです。でもそう言われる曲はペラい曲の方が多いかな。「404(読み:ノットファウンド)」とか、超歌詞がペラいんですよ。《足りない》って歌ってるだけなんですけど、“わかる!”って言われて、“え?”って。意外とヲタクはペラいのが好きなのかなって。
りんか:
ペラいなりに考察しがいがあるんだと思う。
ヲユタ:
でもこの曲の歌詞の意味はないと思う。
りんか:
NANIMONOのファンの方って、ネガティブな感情を持ったりインキャの方がやっぱり多いから、その時の自分の感情に寄り添ってくれる曲が好きな方がすごく多いんですよ。だから「404」も足りない、満たされてないみたいな時にちょうどその歌詞が当てはまったから好きな人も多いと思う。
ヲユタ:
「404」、「顔面コンプ期」、「死ぬまで眠りたい」とか、超ド直球な歌詞でみんなめっちゃ好きだし。でも歌詞に意味はないんですよ、きっと(笑)。ド直球の方がわかりやすいじゃないですか。NANIMONOのコンセプトもメンバーカラーと個性!って感じでド直球なので、みんなそういうのが好きなのかなっていうのを、このアルバムで改めてめっちゃ思いました。
ぷりん:
私、音楽を聴く時はいつも“アレクサ、曲をかけて”と言って流れてきた曲しか聴かないんですよ。だからド直球な曲じゃないと頭に残らないですよね。だから「404」とかは頭に残るかもって思いました。
「404」
ねる:
ファンの方に言われる。初めて来る方に“なんか足りないの曲が耳に残ってきちゃいました”みたいな。しつこいくらいの曲の方が、耳に残る曲を歌ってるアイドルって感じでいいのかもしれない。だから「404」はペラいかもしれないですけど耳残りがすごいので、初めて聴く人にはすごくいいんじゃないかなって思います。
ぷりん:
最近のアイドルソングって、みんな早口で同じように聴こえちゃったりもするから。その中で新しいアイドルソングになるかもしれない。
アイドルらしくなりましたぁ〜(輪廻ねる)
ーー自分も最初は「アイデンティティー」に侵されてしまったクチですからね。
一同:
フゥ〜〜!!
ーーたまたまイベントで観て……すみません、正直最初はいいとは思わなかったんですけど、とにかくあのフレーズが頭に残って……。
ヲユタ:
そうなんですよ! 自分も正直最初“なんだこれ?”って思ったんですけど、それを初めて聴いた日にお風呂で“アイデンティティ〜♫”と気づいたら歌っちゃっていて。なんか呪われてるなって、すごい怖い。
ぷりん:
そういう戦略なんだ!
ーーそうですよ、きっと。当時の自己紹介SEとも連動してたじゃないですか、「アイデンティティー」。これで余計に離れなくなったんですよ、そこから段々と……。
りんか:
それでNANIMONO大好きになってくださったんですね!!
ーーそれに最初の頃、振り付け講座もやってたじゃないですか。あれも忘れられなくなる。
ぷりん:
今思えば成長したよね。昔のライブ映像、「アイデンティティー」の振り付け講座してるのをこの前観たんですよ。なんかもう社不すぎて衝撃だったよね。無表情で“ちょっとそこの人、左向いてください”みたいに言っていて。そんなの誰も向いてくれるわけないじゃないですか。
ーーそれ、まったく同じことをゆまさんが言ってました(笑)。“ぷりんさんがあまりにも心ない”って。
ぷりん:
言ってましたか!!
ヲユタ:
怒ってるかと思ったもん。ぷりんちゃんじゃなくて“眠岸”だった。最初の頃の「アイデンティティー」映像、みんな真顔で“オイオイ”言ってるし、面白いな。
ねる:
アイドルらしくなりましたぁ〜。
ぷりん:
ホント、成長したよね。
アイデンティティー【LIVE MV】
りんか:
NANIMONOって衣装と一緒にコンセプトも変わるじゃないですか。それでメンバーのライブのスタンスも変わるんですよ。教育番組の時は子どもに向けてやろうとか、どんどんいろんなキャラになりきってきたから、鍛えられた結果、ここまで成長できたんだと勝手に思ってる。ちゃんと意味があったんだなって。あれだけコンセプトと衣装とかが変わると、ブレてるって思われるかもしれないけど、そんなことなくて、何者かになるためにいろんなものになってるんだよっていうのが、結果として出せてるのかなって思ってますね。
ぷりん:
すごい鍛え上げられた。
ヲユタ:
最初は羞恥心がすごくて。挨拶を自分のキャラっぽくやるのでさえ、恥ずかしくて嫌だったんですよ。毎日レッスンとかでめっちゃ大人と喧嘩して、本当にできなかったんです。アイドルをしてる自分を第三者として見たら、なんかキモくて恥ずかしくて……。でも気づいたら、何をやっても何も思わなくなってしまって(笑)。それこそ「オタ恋」とか“オゥフ、オゥフ”とかやったりとか、教育番組でも子どもっぽく行進したり、昨年のエイプリルフールで湘南乃風さんをカバーして……あ、いや、あれは自分たちじゃなくて“何者乃風”っていう人たちがカバーしたんですけど……。
【アイドルが全力でカバーしてみた】睡蓮花 / 湘南乃風【MV】
ヲユタ:
その時ももう本当に恥ずかしさゼロで、いつの日からか変わってしまったなって……。NANIMONOが個性派すぎて、恥ずかしいっていう感情がなくなってしまった。たぶん、ヲユが1番変わったのかも。
ぷりん・りんか・ねる:
うんうん。
ぷりん:
今じゃ1番ウマいまである。
ヲユタ:
え?
ねる:
ヲユちゃんが、“いや、もっと振り切らないとダメだよ”と言ってるのを見てるから、昔そんな恥ずかしくしていたなんて想像できなくて、今話を聞いてびっくりしてます。
りんか:
やらなさすぎて、1番の問題児でしたからね。
ヲユタ:
ホンッッッットにイヤだった!!
ぷりん:
いつも喧嘩してたもんね。
りんか:
“なんでやらないのっ!!”って。
ーーやれるようになったきっかけがあったんですか。
ヲユタ:
いや、気づいたらかもしれないです。こういうインタビューとかも本当に無理だったんですよ。“なんでしゃべらなきゃいけないの?”って、本当に苦痛だったんですよね(笑)。今は緊張しなくなったし、何かしゃべらなきゃというプレッシャーもなくなったし、本当に気づいたらなってたって感じ。社会に馴染んだ。入った時は16〜17歳だったし、それはそうですよね、1番そういうことに敏感な歳じゃないですか。その大事な時期を全部NANIMONOに捧げてきた結果、羞恥心ゼロの人間ができました!
一同:
(大笑)。
ーーいい感じにNANIMONOに染まった感じですね。
ヲユタ:
そうです、今はもう大丈夫!
(後編へ続く)
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■CD ※初回限定盤、通常盤共通
1. 魔法少女SE
2. 未確認生物
3. INTERNET MAGICAL GIRL
4. WHITE MUSK
5. 404
6. 顔面コンプ期
7. インキャのキャキャキャ
8. 死ぬまで眠りたい
9. オタ恋
10. Hello,world
11. After CInDErella
■初回限定盤DVD ※収録時間約33分
1. ジャージは戦闘服★(LIVE @ TOKYO DOME CITY HALL 2024.6.13)
2. INTERNET MAGICAL GIRL(LIVE @ TOKYO DOME CITY HALL. 2024.6.13)
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■CD ※初回限定盤、通常盤共通
1. 魔法少女SE
2. 未確認生物
3. INTERNET MAGICAL GIRL
4. WHITE MUSK
5. 404
6. 顔面コンプ期
7. インキャのキャキャキャ
8. 死ぬまで眠りたい
9. オタ恋
10. Hello,world
11. After CInDErella
■初回限定盤・通常盤
新作トレーディングカード付き(ランダム)
<NANIMONO 2nd ALBUM RELEASE TOUR『魔法少女になれなかった』>
11月2日(土) 青森Quater
11月3日(日) 札幌SPiCE
11月9日(土) 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-4
11月10日(日) 高崎CLUB Jammers
11月16日(土) 広島SIX ONE Live STAR
11月17日(日) 福岡DRUM Be-1
11月23日(土) 沖縄Cyber-Box
11月24日(日) 沖縄Cyber-Box
11月29日(金) 名古屋E.L.L.
12月1日(日) 大阪GORILLA HALL
12月13日(金)豊洲PIT