子どもの足のトラブル増加 足の教育を当たり前に
今日は今、増えている足のトラブルについてです。
足を使う機会が減った?子どもの足のトラブル増加
特に子どもの足に異変が起きているようなんです。足の痛みに特化したサロン「日本巻き爪センター」の代表 鈴木洋さんに伺いました。
日本巻き爪センター 代表 鈴木洋さん
子どもの足のトラブル、例えば、浮き指とか外反母趾、扁平足、そういったものが最近増えていて、原因としては、運動する機会が減ってしまったとか、コロナもあったので外出する機会が減って、足を使うことが減ったんですね。筋力が低下して、そういったトラブルが増えています。子どもの遊ぶ場所、例えば公園や、公園の遊具も減ってきたりしているので、子どもが遊ぶレパートリーが無くなってきているんですね。足を使う機会が減っているということです。少しずつ歪みが生じていくんですけど、大人になって高齢化していくと足を支えている筋力が無くなってくるので、変形がどんどん助長されてしまうんですね。そうすると、転倒しやすくなったり、あと痛みになって歩きたくないと、外に出なくなってしまう。寝たきりになったり、認知症も一つの原因になってしまうと言われています。
鈴木さんのお話では、小・中学生になると足のトラブルが出始めて、今では子どものおよそ8割に、足の変形など何らかのトラブルがあると言われているそうです。
症状は色々あって、爪が横に巻いてしまって肉に食い込んでしまう「巻き爪」、摩擦などで足の皮膚が硬くなって痛みが出る「タコ」や「魚の目」、足の裏の土踏まずのアーチが無くなって平らになる「扁平足」、足の指が地面に付かず、浮いたままの状態になる「浮き指」、親指の関節が出っ張ってしまって親指が小指の方に曲がる「外反母趾」など様々。
サッカークラブでも多くの子どもの足の指が変形
鈴木さんのお話では、運動不足が、足のトラブルの一つの要因ということでしたが、千葉県のサッカークラブ「エクサス松戸」では今年の4月、整骨院の方が出向いてクラブに所属する中学生の足のチェックを行ったところ、こんな結果が出ました。かみやま足腰整骨院 院長 上山和俊さんのお話です。
千葉県松戸市常盤平にある合同会社かみやま足腰整骨院 院長 上山和俊さん
対象は中学2年生、3年生。かなりの割合の子たちが、足の指に変形があるかなと思いましたね。僕としては、かなりの割合の子たちがなっているというのは、行く前から分かってはいたんですね。来る子来る子なっているんで。対象は47人だったんですけど、外反母趾の傾向が見られたのは25名ですね。浮き指の傾向が見られたのは35名です。まだ若いのになっている子がいるのが結構問題ですね。保護者の方は、扁平足は結構聞くかもしれないですけど外反母趾はなんとなく聞いたことがあるくらいで、もちろん浮き指とかも分からないし、我が子がなっていることも分からないし、下手したら保護者の方自身もなっていることが分からないので、説明すると「初めて聞きました」というか、そういう悪い状態になっているのが「そうなんですね」っていうようなことが多かったですね。
整骨院に来る子どものほとんどが外反母趾や扁平足になっていて、1人1人に説明するのもキリがないということで、今回の足の調査を行ったそうです。すると、全体の7割に浮き指、5割に外反母趾の傾向がみられました。
子どもの足トラブルに関する詳しい情報はこちら。https://celobank.org/sdgs/
靴の影響大 ポイントはかかとトントン、毎回紐を結ぶ!
運動不足の子どもたちだけではなく、日常的にスポーツをしている子どもにも足のトラブルが多く見られることが分かりました。それなら、トラブルを解消するためにどうすればいいのでしょうか?冒頭でお話を聞いた、日本巻き爪センターの鈴木洋さんは医科学スタッフとして、東京オリンピックなどでフェンシング日本代表に帯同した経験もあります。再び、その鈴木さんに、足のトラブルのもう1つの原因と、対策を伺いました。
日本巻き爪センター 代表 鈴木洋さん
靴の影響ですね。靴の環境は本当に大きくて、日本は靴の正しい選び方、履き方の情報がないんですね。日本に「足の教育」が実はないなと思っていて、欧米だとあるんですね。私は欧米でいろんなトレーナーさんと交わっているうちに、日本に足の情報がないことが分かったので、それを伝えていきたいと思っています。紐靴だったり、スニーカーのシューズが一番、足には優しいんですけど、それを履いていただくときに、みなさん紐をそのまま結びっぱなしだと思うんですね。そうではなくて、1回ほどいていただいて、足を入れて、かかとトントンって、床にかかとを叩いていただくと、つま先の方が少し余裕できます。その状態で紐をしっかりと締め上げていただくと足の甲の部分で、紐が、足が前に行くのを止めてくれるんですね。そうすると、足と靴がフィットした状態で歩けますので、すごく歩きやすいですし、痛みのトラブルにつながりにくくなりますので、ぜひ「かかとトントンして、しっかり結ぶ」というのをしていただければと思います。
鈴木さんは「足の教育を日本の義務教育にしたい」と話していましたし、整骨院の上山さんも「目や歯の検診はあるのに足はない。足のチェックも行われるべきだ」と話していました。私もつい面倒でスニーカーは靴紐を結んだまま、脱いだり履いたりしていましたが、取材後、教わった通りに履いて、トントンと、かかとに合わせて、紐をぎゅっと結ぶと、感じたことのないような靴のフィット感がありました。
子どもに限らず大人でも、この履き方をすると、足の変形が進むのを抑えられて姿勢も良くなるそうなので、今日から実践してみてください!
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)