横須賀市 「痩せすぎ注意」動画で啓発 県福大生と共同制作
厚生労働省の調査で若い女性の5人に1人が「痩せすぎ」の状態にあることが指摘される中、横須賀市は改善を呼び掛ける啓発動画を制作した。当事者世代へ効果的に届けるために、神奈川県立保健福祉大学の生徒に企画段階から参加してもらいストーリーを編んだ。4月中旬から市のホームページや公式LINEほかで配信している。
若い女性ターゲットに
「若い女性の痩せすぎは、将来の健康リスクを高めるだけでなく、後年の不妊症に繋がる原因にもなる」。こう指摘するのは、市民生局健康部健康増進課の川田貴久江課長。本人だけの問題ではなく、胎児に十分な栄養が届かないことで、次世代の子どもの生活習慣病にかかる可能が高まるという。
プレコンセプションケアと呼ばれる「妊娠前の健康管理」を重要視する市は、こうした状況を重く受け止めて動画を用いた独自の啓発に乗り出すことにした。数年前からパンフレットを制作したり、講演会を開いたりして発信を強めてきたが、当事者世代に伝えることの難しさを感じていた。
昨年度、同大の栄養学科の学生らにヒアリングを実施。「『痩せたい』が口癖になっている人が多い」「周囲から『細い』『顔が小さい』と見られたい願望が強い」「朝食を抜く人が多く、食事の優先度は決して高くない」といった声を得た。若者の情報収集手段はSNS中心で、ショート動画を好んで視聴していることも掴んだ。これらを踏まえて動画制作をスタート。市の若手職員と学生らとでチームを組み、「新・デレラ大作戦」と題した4本から成る連続作品を完成させた。
ストーリーはこうだ。
「痩身のシンデレラがダイエットに励む。だが数十年後に待っていたのは、理想としていた未来とはかけ離れた現実。魔法使いとともに過去に戻ったシンデレラは、未来を変えるために生活を見直すことに…」
1話、1分以内。否定や比較を嫌う若者の傾向を踏まえて、前向きな言葉で栄養バランスの良い食事を摂取することや生活習慣の見直し、定期的な健康チェックを呼び掛ける。同課では、デジタルサイネージへの掲出やイベントを通じて視聴を促していく方針。「中高生にも届けたい」と話している。