「12トンの循環」が描いた未来——GoldwinのGREEN CYCLEが映す“サステナブルの現在地”
衣類の回収重量12,154キロ。
この数字を聞いて、何を思うだろうか。2024年度の1年間で、ゴールドウインが「GREEN CYCLE」プロジェクトとして集めた衣服の総量だ。Tシャツ1枚が約150gとして、実に8万枚以上。廃棄されるはずだったそれらは、もう一度、フィールドに戻る旅へと送り出された。
GREEN CYCLEは2009年にスタートした衣服リサイクル活動。ブランドの垣根を越えて不要になった服を回収し、再資源化や再製品化へつなげていく。リサイクルというと「エコ」や「環境意識」という単語が並びがちだけれど、そこに流れているのはもっと静かな、生活と自然をつなぐ「循環の感覚」だ。
たとえば、富山マラソンのTシャツを再資源化したプロジェクト、あるいはJリーグ・カターレ富山のホームゲーム会場で行われたGREENプロジェクト。これらの活動が、地域とスポーツ、そして自然保全を緩やかにつないでいる。回収量で言えばそれぞれ268kgと1,064kg。それぞれ小さな数字だけれど、未来に残すアクションとしては大きな意味がある。
衣類の中には、ポリエステルやナイロン製品が多く含まれており、それらはケミカルリサイクルという手法で高純度の素材へと生まれ変わる。ゴールドウインは、そうした素材の再循環を活かし、2030年までに製品の90%以上を環境負荷低減素材でつくるという目標を掲げている。
衣服をリサイクルするという行為は、ただの資源の話ではない。それは、次の季節や次の山行へと続く、「暮らしのリズム」をつくる行動だ。山を愛するすべての人にとって、それは静かに、けれど確実に自分のフィールドを守るための選択肢のひとつになりつつある。