「1票の格差」都内で1.4倍に 次期衆院選 本紙が試算
衆議院選挙が実施されれば、「1票の格差」を是正する「10増10減」が行われた区割り変更後、初となる。東京都内の一票の格差は是正されたのか。東京都選挙管理委員会のデータをもとに本紙が試算した(9月30日起稿)。
目安は2倍未満
1票の格差は選挙区ごとに有権者数が異なることから、議員1人を選ぶ票の価値に差が生じる問題のことで、格差を許容する目安は2倍未満とされる。国はその是正のため、2022年に衆議院の小選挙区の数に対する「10増10減」を実施。都内選挙区は5つ増えた30区となった。
本紙が都選挙管理委員会の議員選挙区別登録者を9月のデータをもとに試算したところ、衆議院議員総選挙が実施された場合、都内で最も登録者数が多いのは15区(江東区)の43万2836人。最も少ないのは9区(練馬区の一部)の30万8470人で、最大で1・4倍になることが分かった。
一方、前回2021年の衆院選時をみると、旧13区(足立区)と旧25区(青梅市、昭島市、福生市など)の間が最大の1・16倍だったことから、都内選挙区は新区割りによって、都内の1票の格差が広がる結果になった。
1票の格差について詳しい横浜市立大学の和田淳一郎教授は「22年に決まった10増10減は人口の少ないエリアに有効な方式を採用したもの。改善がみられた地域がある一方、人口の多い東京では適切に機能していないと言える」と話す。
多摩地域も改定
22年の「10増10減」によって、多摩地域の小選挙区も一部改定された。八王子の一部区域と立川、日野の3市が新しい21区となり、23区は構成していた多摩市の一部区域が除かれ、町田市のみに。一方で、府中や多摩、稲城の3市で新しく30区が新設されるなどした。