新時代で求められる英語力とは? 英語で新たな一歩を踏み出す勉強法【英会話タイムトライアル】
「英会話タイムトライアル」講師が英会話に必須のスキルを解説!
機械翻訳などの便利なツールの進歩とともに、英語学習は変化を求められています。今、英語学習に求められているものは何なのでしょうか? 「英会話タイムトライアル」講師のスティーブ・ソレイシィ先生が、現代を生き抜くためのスキルを教えてくれます!
教えてくれた人
スティーブ・ソレイシィ
英会話コーチ。国際コミュニケーション博士。アメリカ・フロリダ州出身。著書に『英会話なるほどフレーズ100』(アルク)、『すぐに使える 気持ちが伝わるシンプル英会話表現』(NHK出版)などがある。趣味はスポーツ観戦、登山。X(旧Twitter)ID: @SteveSoresi で活動を発信中。
なぜ今、日本の英語学習は変わるべきなのか?
日本の英語教育は、長年「目の前の英語を理解する」ことをゴールにしたモデルの上に成り立っています。これは「海外の技術や情報を取り入れ、日本の発展に活かす」ことが求められた明治時代から21世紀初頭までは、確かに理にかなっていました。
•細かい文法ルールや正しい単語の組み合わせを選ぶための試験対策
•辞書を駆使して英語の文章を一語一句正確に訳す
しかし、このような学習法は、現代の英語学習者に好ましくない影響も与えてしまっています。
学校教育での10年以上にわたる細かい文法や単語の詰め込みは、「受け身」の学習者を生み出し、結果的に英語を使うことに苦手意識やコンプレックスを抱かせる原因にもなっています。
僕は長年日本の学習者を見ていますが、多くの人が使うフレーズが、「実際に英語を話す前に、まずは基礎を理解してから……」というもの。
まさに「今度とお化けは見たことない」ですね。英語が苦手な人のほとんどは、その「今度」がずっと来ないままになってしまっているのです。
21世紀になり、機械翻訳が登場したことによって英語学習は歴史的な転換点を迎えました。
2006年 – Google翻訳が登場し、無料で使える機械翻訳(MT)が普及
2016年 – AIを活用したニューラル機械翻訳(NMT)が精度を大幅に向上
2020年代 – DeepLやGPTモデルが人間の翻訳に匹敵するレベルに到達
従来の「目の前の英語を正しく読み取る」ための英語力は、機械にお任せできてしまう時代が来てしまったのです。
それでは、機械翻訳が発達した現代を生きる私たちは、どんな英語学習をするべきなのでしょうか?これから求められる英語のリスニング力とは何でしょうか? 試験のリスニング問題では点が取れても、実際の会話ではついていけないと感じたことはありませんか?
これらの疑問の答えとなるキーワードは、「ライブコミュニケーション」です。
世界が求める「ライブコミュニケーション」の力とは?
機械翻訳によって、世界で必要とされる「英語力」の種類はがらりと変わりました。
今は「英語をどれだけ知っているか?」ではなく、「英語でどれだけ自然にやり取りできるか?」 が問われる時代なのです。
英語を使う企業の面接で「この長文を翻訳できますか?」とは聞かれません。
聞かれるのは、「Can you speak English?」 それだけです。
世界に求められる英語の力は、単なるリスニング力や読解力ではなく、
「相手の言ったことを聞き取って、その場で適切に反応・応答できる力」 です。
この力こそが「ライブ・コミュニケーション」です。
日本の従来のリスニング練習は、「会話の中の細かい情報を拾い出して選択肢から答えを選ぶ」というスタイルが長年用いられています。皆さんも学校などでこうした形式のテストを受けたことがあるのではないでしょうか。
実は私も以前、日本の学校教育に携わっていた時に、そうした問題を作成したことがあります。しかし、この方法では、実際のコミュニケーションで必要な反応力が身につきません。録音の音声の中から、問題を解くのに必要な断片的な情報だけを探そうとするため、会話の自然な流れをつかむ力が鍛えられないのです。
この形式では学習者は受け身になってしまい、自分から答えを考えたり、会話に参加したりする機会を失ってしまいます。
「聞くだけ」ではなく「聞いて→話す」
それでは、どのような学習をすればコミュニケーションの力が付くのでしょうか?
音楽の「耳コピ」 を思い浮かべてみましょう。ミュージシャンは「聞いて→弾く(歌う)」を繰り返し、体で覚えます。
「聞いて理解する」だけでは、曲を身につけることはできません。英語にも同じことが言えます。
受け身で英語を聞いたり読んだりするだけではなく、実際に自分で英語を作ってみることが何よりも大切なのです。
例えば、以下のような練習をしてみましょう。
(1) 10秒チャレンジ
目標: 質問を聞いて 10秒以内に「2~3文で返す」
質問と返答例:
What did you do today?(今日何をしましたか?)
→ I went to work, had a meeting, and picked up my kids.(仕事に行って、ミーティングをした後、子どもたちを迎えに行きました。)
Do you have a car?(車を持っていますか?)
→ Yes, I do. I bought it last year.(はい、持っています。去年購入したんです。)
このように、時間制限を意識して英語を話すことで、実際の会話に必要な英語の瞬発力を鍛えることができます。
(2) 会話のキャッチボール
目標: 「5~10往復の会話」 を自分の言葉で作ってみる
初心者は 2〜3往復の「サバイバル会話」しかできないことが多いですが、
日常的な会話や雑談では 1時間で20〜40往復するのが自然です。
英語学習仲間に相手を頼んだり、あるいは生成AIなどをうまく使って、会話の練習をしてみましょう。
新時代の英語スキルを、あなたのぺースで
このような練習を続けることで、あなたの「スピーキングエンジン」を起動させることができます。「受け身」で聞いたり読んだりするだけでなく、自分で文を作り、スピーキングをして自分で走り出すことができる能力が付いていくのです。
今回紹介した「10秒チャレンジ」や「会話のキャッチボール」といった練習方法は、1人で学習している方にとってハードルが高く感じるかもしれません。
そんなあなたにおすすめなのが、僕の講座『英会話タイムトライアル』をリアルタイムで聞いてみることです。
月曜日から木曜日の「SPR(瞬発力)トレーニング」では、制限時間付きで、自分の言いたい日本語を英語にするトレーニングをします。
そして金曜日の「対話カラオケ」のコーナーでは、世界各地からのゲストとの実践的な模擬会話を行いますよ!
前から聞いてくださっている方も、この春から始めるという方も大歓迎です!
今年度のテーマは「世界を巡る 力試しの旅」です。
番組パートナーのジェニー・スキッドモアさんと僕が、あなたを世界各地を巡るクルーズの旅に連れ出します。
この講座での学習は、初めのうちは難しく感じるかもしれません。しかしあきらめずに続けていくと
「先月は10問のうち1問しか答えられなかったけど、半分は答えられるようになった!」
というような成長を必ず実感することができるはずです。
リスナーの中には、この講座で初めて自分で英語を話せるようになった方もいます。そして、それを実際のコミュニケーションの場で使い、自信を持って話せるようになったという声もいただきました。
あなたの英語は、新しい時代のスタンダードに対応できていますか?
「いつか」を待っているだけでは英語の力は身につきません。
一緒に「ライブコミュニケーション」の力を鍛えて、世界で通用する英語を身につけましょう!
◆写真:島 卓也