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ポップな世界で魅せる!釜石のイラストレーター須藤郁美さん デジタルアート展

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 釜石市鵜住居町のイラストレーター須藤郁美(すとう いくみ)さん(36)の作品展「feel(フィール)」が、大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。タブレット端末を使ったデジタルイラストで創り出すポップな世界観を紹介。遊び心を加えた作品もあり、「『かわいい!』『おしゃれー』とか感じてもらえたら」と来場を呼びかける。同ホール自主事業「art at TETTO(アート・アット・テット)」の第14弾。11日まで楽しめる。

 作品づくりのテーマは「ポップ」。似顔絵、擬人化の表現を得意とし、お笑いコンビのサンドウィッチマンなど著名人の描写や自画像、精霊や妖怪の姿を創造したカラフルな作品など約50点を並べる。モミジやイチョウなどの葉っぱに埋もれる人物を描いた「かくれんぼ」(A3サイズ)は、隠れたリスを探す遊びも取り入れた作品。メイン展示品の「釜石大観音と虎舞」(B1サイズ)は、郷土芸能虎舞の継承と街の未来を見守る擬人化された観音様の柔らかな表情が印象に残る。

大小さまざまな作品が並ぶデジタルイラスト展「feel」


カラフルでかわいい作品がずらり。釜石にちなんだ作品も


会場ではかわいらしさが詰まった作品をじっくり楽しめる


 須藤さんはもともと絵を描いたり、物を作ったりするのが好きで、デザインを学ぶため東北工業大に進学。広告、ウェブデザインの基礎を身につける中で、デジタルアートが趣味に加わった。「仕事にしたい」とは考えていたが、「食べていける仕事」とは思えず、卒業後は地元に戻って教員補助、販売員、事務職員として働いた。

 そして、結婚・出産。子育て、仕事と忙しい日々が続く中、全てを頑張ろうとして心身ともに疲弊し、人との関わりに悩んだり、ストレスをうまく解消できず、「適応障害」「抑うつ」と診断されて療養が必要な状態になった。そうした診断があったことで「逆に吹っ切れた」と須藤さん。「キャパオーバー。嫌なことを続けるのはヤダ。いったんリセットしよう」。家族の理解を得て、休息期間に入った。

 「人生に欠かせないもの」という絵を描くことは継続。気持ちに余裕ができた頃、SNS(交流サイト)での作品紹介、ウェブショップでのグッズ販売を始めた。すると、「学校の図書室に掲示するポスターを作ってもらえないか」という依頼が入った。知人らのつてで企業や釣り好きの人向けのステッカー制作、似顔絵の要望も受けるように。ちょうど働かなければと思っていた時期で、「人と会うのは…だけど、病気に負けたくない」「やりたいことをやろう。チャレンジしてみよう」と発起。イラストレーターとしての活動に本腰を入れ、3年目となった。

仕事として請け負う中で創り出した作品も紹介する


制作過程を知らせるパネルやオリジナルの塗り絵も用意


 地元の美術集団「サムディ45」に所属し、グループ展で作品を紹介しているが、個展は初めて。タイトルのフィールには「直感で動くタイプで、感じたままに生きてきた自分」と「デジタルイラストが身近にあふれていることを知り、感じてほしい」との思いを込めた。

 期間中の3、4日には、似顔絵を描いてプレゼントする企画も。「親子一緒に描いてもらいたかったから、うれしい」と満足げな関谷千帆さん(42)は、額に入れて自宅に飾るという。翔也ちゃん(5)は「(ママは)かわいい。(自分は)かっこいい」と、イラストと同じ笑い顔を見せた。

「大満足」。似顔絵そっくり⁉な笑顔を見せる親子


似顔絵を描く須藤さん(右)の傍らで来場者が作品を楽しむ


 アーティスト活動によって、人と触れ合う機会が増えてきた須藤さん。自身の活動を知ってもらうことで、心身の不調を感じる人たちや周囲の人に「ふとしたきっかけで誰にでも起こりうる身近なもの(病気)だよ」「元気を出してほしい」とメッセージを送る。

 「まだ、駆け出し。もっと勉強し、仕事をもらえるようにしたい」。岩手県内には同じようにデジタルアートを活用した活動を展開するイラストレーターが多くいるといい、交流し刺激し合いながら創作の世界観を広げていきたい考え。釜石を飛び出した作品紹介、展示会開催への意欲も持つ。

 午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料。

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