ノーラン、『デューン 砂の惑星 PART2』は「奇跡の映画化」と感嘆 ─ 「普通は原作を単純化するものだが、これは小説以上の世界だ」
監督が、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『デューン 砂の惑星PART2』に再び大きな賛辞を送った。互いに信頼を寄せるふたりは、いまや盟友と言える関係性。ワーナー・ブラザース主催の上映イベントに登場し、映画製作について熱く語り合っている。
上映後のステージに上がったノーランは、「公には言っていませんでしたが、君に対しては、“前作は大好きだけど、(原作の)ちょうど映画化が難しくなるところで終わらせたよね”とこっそり言っていたんです」と発言。前作『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)を称えつつ、同時に“勝負はここから”とも感じていたこともほのめかした。
「それから数年経って、後編(『PART2』)を観ましたが、奇跡の映画化であり、物語に見事な結末を用意していると思いました。どうやってこんなことをやり遂げたのか、質問はたくさんあるわけです。たとえばウスルやムアディブ、ポール、それからリサーン・アル=ガイブ……ひとりのキャラクターにこんなにたくさん名前をつけて、僕たちがついてこれると思ったのかってね(笑)」
冗談めかしながら語ってみせるノーランだが、「じつは真面目な質問なんです」と言い直す。「ほとんどの翻案は、原作を圧縮し、単純化する作業です。しかし、特に2作目はもう少し踏み込み、複雑な部分を掘り下げ、受け入れることで原作以上の世界を作り上げている。一体どうやったんですか」
Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35397143143/ | Georges Biard https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Christopher_Nolan_Cannes_2018.jpg | Remixed by THE RIVER
この問いかけに対し、ヴィルヌーヴは「説明過多に陥らず、なるべく映画的にするために、脚本段階から膨大な作業をしました。前作は説明が多かったので、今回はベストを尽くしたかったんです」と明かした。映画のオープニングで観客が前作の人間関係や設定を思い出せるように心がけたほか、その精神はあらゆる形で全編を貫いていたそうだ。
ちなみに以前、ノーランは「もしも『デューン 砂の惑星』が『スター・ウォーズ』なら、この『PART2』は『帝国の逆襲』だと思います。『スター・ウォーズ』シリーズで一番好きですし、前作のすべてが信じられないほどエキサイティングに展開している」とも。なお、巨匠スティーブン・スピルバーグも本作を「最も見事なSF映画のひとつ」としている。
現在、『デューン 砂の惑星PART2』はアカデミー賞の有力候補のひとつと目されている。ノーランとヴィルヌーヴによる今回の対談も、来たる賞レースに向けたプロモーションの一環で実施されたものだが、果たしてどこまでの成果を収められるか。トークの最後にも、ノーランは「驚くべき作品だ」と改めて口にした。
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