築100年以上!歴史ある高岡の古民家がフレンチレストランに【RESTAURANT Moku】新たな息吹を吹き込む20代シェフの挑戦
銅像や仏具の製造販売といった伝統工芸が盛んで、まちにも文化的な香りが残る富山県高岡市。
県内第2の都市として栄えたかつての中心商店街も今は人口減少や郊外の大型ショッピングモールへの商圏の移転などの影響を受け、空き店舗やシャッターが目立つようになってきました。一方で、近年は空き店舗や空き家のリノベーション、改装なども活発化。昔ながらのまちなみや伝統工芸と若い感性やセンスをかけ合わせて、個性的なカラーを打ち出す店も増えています。
今回紹介する「RESTAURANT Moku(レストラン モク)」も、そのひとつ。高岡市中心部の繁華街にあった民家を改装し、2024年4月にオープンしました。
繁華街の裏路地
ぽっかりと時を止めたような築100年超の古民家を改装
店名の「Moku(モク)」には、歴史ある高岡のまちに根付き、成長していく樹木のような店を目指す想いが込められています。
その想いを形にしたように、大小の美しい木々がレストランの庭を彩ります。
周囲は居酒屋や飲食店、バー、スナックなどが林立する高岡市中心部の繁華街。その細い路地を1本入ったところにぽっかりと潜んでいるかのようなレストランは、開放感があり、周囲の喧噪からも放たれて浮世離れ感があります。
10年以上空き家になっていた古民家は、築100年を超える歴史と重厚感ある建物。欄間やふすまなど、その時間を感じさせる佇まいを残しつつ、古くささや暗さを感じさせないようにリノベーションしました。
店を切り盛りするのは、中学校の同級生コンビ、シェフの橋本竜さんとマネージャーの湊伊織さん。
「スタッフや庭師、家具の設計など、店の運営に携わっている私たちのチームはすべて20代です。若い力で高岡を盛り上げていけたらと思っています」(橋本さん)
和モダンなレストランで味わう創作フレンチ
和モダンな空間で味わうことができるのは、シェフ特製のフランス料理。
現在は、予約のディナーコースのみの提供で、ショートコース6品とフルコース8品の2種類です。
この日の前菜は鰆を使ったサラダ仕立ての1皿。
皮目だけ炙られた鰆は、時間をかけて熟成させたもので、香ばしい皮とレアな鰆のうま味を同時に楽しむことができます。アスパラやスナップエンドウなど県産の野菜をふんだんに使ったサラダは、素材の甘みを生かしたオリジナルのソースと一緒に味わえます。
フランスや富山で修行を積んだというシェフの橋本さん。
イチオシのメインディッシュは、豚肉料理です。
地元の食材と大切にしたいと考えた橋本さんが、さまざまな肉を食べ比べた中からチョイスしたのは「八尾おわらクリーンポーク」。8銘柄ある富山県産ブランド豚の中でも流通量が少ない希少種です。
そんなこだわりの豚肉を香ばしく焼き上げた、炭焼き。
上質な脂身はやわらかくてジューシー。甘口ワインを使ったマディラソースには山椒も入っていて、ピリリとしたアクセントもクセになる味わいです。
デザートには「エストラゴン」というハーブを使ったアイスクリーム。
あまり聞き馴染みのないハーブですが、ミントほど強い主張はなく、さわやかな甘い香りを楽しめます。
皿やナイフなどの調度品にもこだわり、料理やデザートの盛り付けも楽しみながら味わいたい渾身の皿ばかりです。
現在はコースのディナーのみですが、ゆくゆくはランチの提供も始める予定なんだとか。ほかにも敷地内の蔵で、高岡銅器や高岡漆器など伝統工芸の職人によるワークショップや作品展などを展開していきたいんだそう。
歴史ある高岡のまちの伝統や文化が、20代の若者の感性とどのように融合していくのか、楽しみになるレストランです。
店舗情報
【RESTAURANT Moku】
住 所 富山県高岡市御旅屋町26
営 業 18:00~23:00
電 話 0766-54-3366
定休日 日曜、不定休
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年5月30日放送
記事編集:nan-nan編集部