疲労の慢性化が20〜40歳代で進行 全国10万人調査で8割が疲労を実感、働き方にも影響か
一般社団法人日本リカバリー協会は5月28日、「日本の疲労状況2025」を発表した。調査結果からは、人々の疲労度が年々高まっていること、特に20〜30歳代の慢性的な疲労の深刻化が浮き彫りになった。
「疲れている」と感じている人は年々増加 全体の8割近くに
全国の20〜79歳の男女10万人を対象に実施された「ココロの体力測定」によると、78.5%が「疲れている」と感じている(「やや疲れている」「非常に疲れている」の合計)。
なかでも、高頻度で疲れを感じる人の割合は年々増加しており、2025年には全体の46.3%に達し、調査開始以来で最も高い数値となった。
同協会は、総務省統計局の人口推計に基づき、全国に換算した場合、約7172万人が疲労状態にあると推計している。
20〜40歳代で特に疲労感が顕著 女性は男性より高い傾向
男女別に見ると、女性の方がより疲れていることがわかった。女性の「疲れている人」の割合は80.2%と、男性よりも3.3ポイント高い(「疲れている人」の合計)。全年代を通じて、女性の疲労度が高い状況が続いていると、同調査では指摘する。
年代別に見ると、若い世代ほど疲労を抱えていることが明らかになった。
「疲れている人(高頻度)」の割合は、20歳代から40歳代まで、いずれも過半数超え。20歳代が最も高く(55.9%)、同年代の「元気な人」(14.4%)の約4倍に達する。
男女ともに、年代が上がるほど「元気な人」が増えており、「疲れている人」の割合は減少していく。
睡眠時間はわずかに減少傾向、「5時間未満」睡眠が微増
疲労の一因とされる睡眠時間についても調査が行われた。「6時間以上8時間未満」の睡眠を取れている人の割合は、半数を切ったことがわかった(49.8%)。
一方、「5時間未満」しか睡眠を取れていない人の割合は20.9%で、前年(20.3%)より微増となった。5時間未満の睡眠だと、「疲れている人(高頻度)」の割合が「元気な人」の約2倍に達するという別のデータも示されており、調査では、十分な睡眠時間の確保が心身の健康に重要であることが示唆された、としている。
2024年2025年(1)(2)(1)÷(2)5時間未満20.3%20.9%0.97倍5時間以上6時間未満23.5%23.0%1.02倍6時間以上8時間未満50.2%49.8%1.01倍8時間以上6.0%6.3%0.96倍
当メディアでは、平日の睡眠時間が7時間を下回ると時間が足りないと感じる「時間貧困」の傾向が強くなるという横浜市大の研究グループの調査結果も紹介している。
「ココロの体力測定」は2017年から一般社団法人日本リカバリー協会、一般社団法人日本疲労学会、ベネクス(神奈川県厚木市)が共同で実施。「ココロの体力測定 2025」は4月25日から5月25日の間、全国の20歳から79歳の10万人(男女各5万人)をスクリーニング調査対象として実施。
厚生労働省「ストレスチェック」B項目を基に点数化し、集計データについては、県・年齢を実際の人口でウエイト修正を行っている。
発表の詳細は一般社団法人日本リカバリー協会の公式リリースにて確認できる。