カタルシスにつながる「喜び」を描く秘訣は?【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.02 喜び【よろこび】
[英:Pleasure ]
【意味】
うれしさや満足感で溢れる状態。
【類語】
幸せ 歓喜 欣快 愉悦 愉快 悦楽 幸福 満足など
体(フィジカル)の反応
頬が緩むうれしくて体がつい動く騒ぎ立てる胸のあたりがぽかぽかする声が弾む顔色がよくなる鼓動がはやまる身軽に体が動くガッツポーズをとる飛び跳ねる活き活きしている軽やかにスキップする眉尻が上がる感極まって涙を流す鼻歌を口ずさむはにかむ
心(メンタル)の反応
幸せを感じる晴れやかな気持ちになる満足感がある前向きになれる浮足立つ気持ちが華やぐふわふわして落ち着かないテンションが上がる得意げになる誇らしさを感じる心地よい気分有頂天になる人と共有したい大らかな気持ちになる感謝の気持ちが芽生える
負の境遇を一点突破させてこそ「喜び」が活きた物語になる
基本となる人間の四大感情とは「喜怒哀楽」です。ここから 4見開きで、それぞれのポイントについてご説明します。
「喜び」は、勝利や獲得を達成したときの象徴的な心の表れです。物語ではラストシーンで主人公とともに読者が「喜び」を共有して分かち合う必要があります。これがカタルシスにつながります。
そのためには何が必要か?
答えは〝溜め〟です。それに尽きます。
起承転結の起から主人公が絶えず喜んでいたらどう感じますか?「軽い奴だな」「そんなことがうれしいか?」と、共感より違和感や反発心を覚えるでしょう。安易に「喜び」を連発しても、読者は「喜び」ません。書き手はつねに読者の心の裏側を推し量る必要があります。
その最たる点は、主人公の辛苦や絶望や挫折を好むということ。それら負の境遇を連続させて〝溜め〟に〝溜め〟、一点突破した暁に主人公が得る大きな「喜び」に、読者もまた「喜び」ます。
最初から最後まで「喜び」の物語では面白くない
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅