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ブラジル映画として初のアカデミー賞「国際長編映画賞」受賞 軍事政権下時代のブラジル描く『アイム・スティル・ヒア』

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ブラジル映画として初のアカデミー賞「国際長編映画賞」受賞 軍事政権下時代のブラジル描く『アイム・スティル・ヒア』

1970年代、軍事政権下のブラジル。元国会議員であったルーベンス・パイヴァが軍事政権によって誘拐されたという実際の事件をもとに、名匠ウォルター・サレス監督(『セントラルステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』)が、世代を超え、家族の絆と個人の闘いが歴史の中でいかに響き合うのかを描き出した壮大な叙事詩『アイム・スティル・ヒア』(8月公開)が、第97回アカデミー賞(3/2※現地時間)国際長編映画賞を受賞した。

ブラジル映画として初めての国際長編映画賞受賞

1998年、アカデミー賞2部門にノミネートされた『セントラル・ステーション』で世界的な評価を確立したサレス監督。これまで彼は静寂を引き裂く暴力の影と、それに抗う人々の魂を見つめ、映画という表現を通じて彼らの記憶を蘇らせてきたが、本作では突然夫を失ったエウニセ・パイヴァが、どのようにして自らの喪失と絶望に打ち勝ち、時代の潮流に逆らってまで立ち上がったのか?―静かでありながらも圧倒的な闘志姿を美しく、力強い映像で永遠に刻み込み、見事、サレス監督初となる<国際長編映画賞>を受賞した。

さらに、本作はブラジル映画として初めての国際長編映画賞受賞という快挙を達成。これにより、ブラジル映画史に新たな1ページが刻まれた。授賞式の壇上にのぼったサレス監督は、静かながらも確かな声で「この賞は、独裁政権のもとで大きな喪失を経験しながらも、屈せずに抵抗し続けた一人の女性に捧げます。」と語りかけた。それは、圧政に屈せず信念を貫いたエウニセ・パイヴァへの惜しみない賛辞であり、失われた時間と記憶に捧げられた鎮魂の言葉だった。

続いて、劇中でエウニセ・パイヴァを演じたフェルナンダ・トーレスと、トーレスの実の母であり、かつてサレス監督の『セントラル・ステーション』でブラジル人女優として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたフェルナンダ・モンテネグロの名を挙げ、「彼女に命を吹き込んでくれた二人の素晴らしい女性、フェルナンダ・トーレスとフェルナンダ・モンテネグロにも捧げます」と、心からの賛辞を贈った。

原作となったのはルーベンス・パイヴァの実の息子であり作家マルセロ・ルーベンス・パイヴァによる書籍「Ainda Estou Aqui』」(日本未発売)。幼い頃、パイヴァ家と親交を持っていたウォルター・サレス監督にとっては、自らが見聞きし、体験してきた歴史と向き合う重要な作品でもあり、この物語は単なる歴史の再現ではなく、個人的な記憶と深く結びついた16年ぶりのブラジル作品ともなっている。

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