緑図書館、あす「30歳」に 館長「今後も地域と連携を」
魅力的な図書との出合いを提供し続け、緑区民らの「知」の探究を支える拠点として幅広い世代に親しまれている緑図書館(十日市場町825の1)が5月9日(金)、開館30周年を迎える。高倉徹館長は「30周年を記念し、今年度は多くの人に楽しんでもらえるようなイベントをたくさん予定しています。期待してください」と話している。
緑図書館の開館は1995年5月9日。横浜市によると、移動図書館を除き18館ある市立図書館のうち、最も新しく開館したのが緑図書館だ。
蔵書数4万5000冊でスタートした緑図書館。2002年には蔵書が10万冊を超え、最新統計という23年度では11万4000冊、入館者数は同年度延べ33万3584人だったという。
若者たちと力合わせ
19年には「子供の読書活動優秀実践図書館」として文部科学大臣表彰を受けている同館。近年は横浜創英大学との連携による「おはなし会」や、東洋英和女学院大学の学生による多言語での絵本の読み聞かせを開催したほか、区内で学ぶ中学生たちが推薦した図書の展示も実施するなど、地域の若者との連携を深めている。
1区1館の達成
横浜市立図書館開業の歴史は100年以上前にさかのぼる。市によると、1919年、第8代市長を務めた久保田政周(きよちか)氏が開港60年・自治制30周年記念事業として、図書館の建設を計画。1921年、横浜公園内の仮閲覧所で図書の閲覧が開始されたという。
ところがその2年後、9月1日に関東大震災が発生。仮閲覧所の建物と蔵書が焼失し、図書館建設計画は灰じんに帰した。ただ、多くの人の尽力があり、震災からわずか3カ月後には現在の南区にバラックの中村町閲覧所が開かれ、閲覧が再開されたという。
1927年、旧老松小学校跡(現在の中央図書館の場所)に横浜市図書館が竣工。戦中・戦後の激動を経て、1974年、2館目の市立図書館となる磯子図書館が開館した。これを皮切りに、約20年間で市内に次々と図書館が誕生。1995年、緑図書館の開館により「1区1館」の達成に至った。
周年祝うメッセージを
開館30周年を記念し、緑図書館は5月9日まで、館内で同館のキャラクター「ぶっくまおやこ」のぬりえと、「お祝いメッセージ」を記入できるカードを配布。完成したぬりえやカードは、12日(月)までに同館に持参すれば、20日(火)から29日(木)まで館内の中廊下に展示される。
また、18日(日)までは、乳幼児から小学生向けのおすすめの本の展示・貸し出しを中廊下で実施している。
高倉館長は「街の皆さんの支えがあり、30周年を迎えられる。多くの人に一層本に親しんでいただけるよう、今後も地域と連携して運営していきたい」と語った。